52 / 77
上流階級出身オメガくんの巣作り。 20230531
しおりを挟む
上流階級出身オメガくん。オメガだけど大事に可愛がられて育てられ周囲の環境も良好。友達のオメガはチラホラ許嫁が出来たり、早い子は恋愛で番ったりして自分もそろそろ…とソワソワしちゃうお年頃。雑誌で初めての巣作り特集なんか読んで未来のアルファに夢を見る。
そんなオメガくん、なんと運命の番いと出会う。だけど彼はまだ大学生で、その上身寄りがない苦学生だった。バイトと学業に忙殺される中、オメガくんとの時間を捻出してくれる。お金ならあるよ、と今まで貯めたお小遣いを出してもアルファくんには悲しい顔をされ慌てて引っ込める。
時間もお金もなくて外に遊びにも行けないけど、アルファくんの小さなアパートで慎ましく愛を育む二人。まだキス止まりでうなじも噛んでもらえていないけど、オメガくんは幸せだった。家でもニコニコふわふわしちゃって、家族にアラアラ…って見守られてる。
そんなオメガくん、付き合ってから初めての発情期に入った。アルファくんのそばに居たくて、ベータの運転手に無理を言ってアルファくんちまで押しかけるも留守。合鍵で中に入って待つものの、発情期で頭がぼんやり。「そうだ、巣作りしよう…上手に巣を作って褒めてもらお…へへへ」
だけどアルファくんちはとにかく物がない。服も2着を着回してるから外に干してるまだ乾いてない服と、今夜着るスエット。
仕方なく予備の下着を引っ張り出して、タオルとコップと教科書を敷布団の上に乗せた。真ん中に蹲って上から布団を掛ける。
「…なんか違う気がする」
雑誌で見た巣作りは、もっと服がこんもり綺麗な形をしてた。恥ずかしがる友達から聞き出した巣作りは、沢山の番いの私物に囲まれて幸せいっぱいだったと言っていた。
自分の巣を見てみると、下着と、硬い教科書やコップ。オメガくんは発情期の中で、ひとりで泣いた。
スンスン泣いてるところにアルファくんが帰ってくる。発情期のオメガくんが泣いててビックリ。慌てて駆け寄ると「来ないで!」って言われる。「巣が…巣が上手く出来なくて」
オメガくんの周りに綺麗に並べられた自分の私物。外にはためく服やスエットはそこになくて、「使って良かったのに」って言うと「だけど使ったら夜寝る時も明日も困るでしょ」って発情期にハフハフしながらも気遣ってくれるオメガくんに、胸がキューッとなるアルファくん。
「上手に巣作り出来てるよ。物がなくてごめん」って謝られてオメガくんは首を横に振る。
「上手く作れないから嫌われたらどうしようかって不安だった」と泣くオメガくん。物を持たない自分が悪いのにいじらしいことを言うオメガくんが可愛くて可愛くて。今までも、今も、鉄の理性で耐えてたアルファくんはとうとう陥落しちゃう。
うなじを噛むのは耐えに耐えたけど。
腕の中で眠るオメガくんのために、アルファくんは決心をする。
ヒートが明けるとオメガくんを連れて一緒に服を買いに行った。山盛り買ってオメガくんは目を白黒させる。
両親の遺した遺産や不労所得もあるから決して貧しい訳じゃない事。物を持たないのは趣味で、オメガくんを悲しませてまで貫きたい訳じゃない事。
「今度また巣作り見せてくれる?」って聞かれて笑顔で頷くオメガくん。
ふたりはそれからずっと幸せに暮らしましたとさ。
おしまい
そんなオメガくん、なんと運命の番いと出会う。だけど彼はまだ大学生で、その上身寄りがない苦学生だった。バイトと学業に忙殺される中、オメガくんとの時間を捻出してくれる。お金ならあるよ、と今まで貯めたお小遣いを出してもアルファくんには悲しい顔をされ慌てて引っ込める。
時間もお金もなくて外に遊びにも行けないけど、アルファくんの小さなアパートで慎ましく愛を育む二人。まだキス止まりでうなじも噛んでもらえていないけど、オメガくんは幸せだった。家でもニコニコふわふわしちゃって、家族にアラアラ…って見守られてる。
そんなオメガくん、付き合ってから初めての発情期に入った。アルファくんのそばに居たくて、ベータの運転手に無理を言ってアルファくんちまで押しかけるも留守。合鍵で中に入って待つものの、発情期で頭がぼんやり。「そうだ、巣作りしよう…上手に巣を作って褒めてもらお…へへへ」
だけどアルファくんちはとにかく物がない。服も2着を着回してるから外に干してるまだ乾いてない服と、今夜着るスエット。
仕方なく予備の下着を引っ張り出して、タオルとコップと教科書を敷布団の上に乗せた。真ん中に蹲って上から布団を掛ける。
「…なんか違う気がする」
雑誌で見た巣作りは、もっと服がこんもり綺麗な形をしてた。恥ずかしがる友達から聞き出した巣作りは、沢山の番いの私物に囲まれて幸せいっぱいだったと言っていた。
自分の巣を見てみると、下着と、硬い教科書やコップ。オメガくんは発情期の中で、ひとりで泣いた。
スンスン泣いてるところにアルファくんが帰ってくる。発情期のオメガくんが泣いててビックリ。慌てて駆け寄ると「来ないで!」って言われる。「巣が…巣が上手く出来なくて」
オメガくんの周りに綺麗に並べられた自分の私物。外にはためく服やスエットはそこになくて、「使って良かったのに」って言うと「だけど使ったら夜寝る時も明日も困るでしょ」って発情期にハフハフしながらも気遣ってくれるオメガくんに、胸がキューッとなるアルファくん。
「上手に巣作り出来てるよ。物がなくてごめん」って謝られてオメガくんは首を横に振る。
「上手く作れないから嫌われたらどうしようかって不安だった」と泣くオメガくん。物を持たない自分が悪いのにいじらしいことを言うオメガくんが可愛くて可愛くて。今までも、今も、鉄の理性で耐えてたアルファくんはとうとう陥落しちゃう。
うなじを噛むのは耐えに耐えたけど。
腕の中で眠るオメガくんのために、アルファくんは決心をする。
ヒートが明けるとオメガくんを連れて一緒に服を買いに行った。山盛り買ってオメガくんは目を白黒させる。
両親の遺した遺産や不労所得もあるから決して貧しい訳じゃない事。物を持たないのは趣味で、オメガくんを悲しませてまで貫きたい訳じゃない事。
「今度また巣作り見せてくれる?」って聞かれて笑顔で頷くオメガくん。
ふたりはそれからずっと幸せに暮らしましたとさ。
おしまい
43
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
選択的ぼっちの俺たちは丁度いい距離を模索中!
きよひ
BL
ぼっち無愛想エリート×ぼっちファッションヤンキー
蓮は会話が苦手すぎて、不良のような格好で周りを牽制している高校生だ。
下校中におじいさんを助けたことをきっかけに、その孫でエリート高校生の大和と出会う。
蓮に負けず劣らず無表情で無愛想な大和とはもう関わることはないと思っていたが、一度認識してしまうと下校中に妙に目に入ってくるようになってしまう。
少しずつ接する内に、大和も蓮と同じく意図的に他人と距離をとっているんだと気づいていく。
ひょんなことから大和の服を着る羽目になったり、一緒にバイトすることになったり、大和の部屋で寝ることになったり。
一進一退を繰り返して、二人が少しずつ落ち着く距離を模索していく。
蔑まれ王子と愛され王子
あぎ
BL
蔑まれ王子と愛され王子
蔑まれ王子
顔が醜いからと城の別邸に幽閉されている。
基本的なことは1人でできる。
父と母にここ何年もあっていない
愛され王子
顔が美しく、次の国大使。
全属性を使える。光魔法も抜かりなく使える
兄として弟のために頑張らないと!と頑張っていたが弟がいなくなっていて病んだ
父と母はこの世界でいちばん大嫌い
※pixiv掲載小説※
自身の掲載小説のため、オリジナルです
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる