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オメガ 20230811

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首輪を付けてうなじを守る。それは同時に周囲に対してオメガだと明らかにしてしまう危険も孕んでいた。
「オメガが独り歩き?」
「客待ちか。俺らが遊んでやるよ」
街で1人佇む1人の男に、いかにも素行が良くなさそうな男たちが絡む。男の首には首輪が主張している。
オメガ、それもつがい無しを示している首輪を、ガラの悪い男たちは好きにしていい証と受け取ったらしい。
言い寄られる男は線が細く美しい顔をしていて、周囲はチラチラと視線を寄越すものの助けに入るものはいない。
「結構です。あなた方の相手をする程困っていません」
それなのにオメガの男はキッパリと断るから言いよる男たちは青筋を立てた。
「おまえ……!」
逆上してつかみかかる男たちを躱し、素早い動きで顎に拳を叩きつけた。
地面に転がる男たちを一瞥していると、車が近づきクラクションを鳴らす。
「またオメガ狩り「狩り」してるの」
「首輪ひとつで勘違いできるやつらが羨ましいですよ」
「たしかに。オメガとアルファの違いも分からないとはね」
男は車に乗りこみながらその首輪をするりと外した。傷一つないうつくしいうなじだ。
「こんな恐ろしい男をどう見たらオメガだと間違えれるんだか」
そう言ってハンドルを握り直そうとする男の頭を引き寄せて唇を奪い、男は「貴方も間違えてくれてもいいんですよ」と笑う。
だけど本当に欲しい男は首輪などでは騙されてくれないのだ。


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