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様子がおかしいらしい
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王宮からいつものコノエの家に転移してきた。
玄関口から見える部屋はいつも通り、いつものテーブル、いつもの食器棚。ただその中で違うのは。
抱きこまれていた腕は緩められるが、一度離してしまった目線を合わせる事は難しい。俺はなんだかこの男が怖いのだと、熱を持った身体が冷めていくと同時にコノエへの恐怖心が増していく。
思えば最初から分からない男だった。希代の魔法使いが、何故こんな森の中にひっそりと住んでいるのか。奪われた色と言うのがこの俺の髪色を指しているのなら、何故俺の髪の毛がそれになっているのか。
「――リク、僕が怖い?」
耳元で優しく囁かれ、身体がビクリと強張った。
あ、まずい。これはばれた。
コノエの空気が明らかに変化したのを肌で感じる。これはさっき王宮で感じたような、ピリピリとした嫌な感覚だ。背中を冷たい汗が伝い、自分の失敗をひしひしと感じ取る。
何言ってんだアホ魔法使い、といつも通りに言えば良かったのに俺は選択を間違えたのだ。
「ひ……っうわ!」
ダイニングテーブルに押し倒されると、乱暴にローブを剥ぎ取られた。テーブルに押し付けられた拍子に乗せてあった小物は崩れ落ちるが持ち主は全く気にしないようだ。
常ににこにこと人当たりの良すぎる笑顔を浮かべていた男は、今はその美貌を鋭利なものへと変えていた。
「リク、僕が怖いの?僕が色なしだから?色なしの癖に生きているから?」
「ちょ……っ、まて!おい!」
「でも色が無いのは僕のせいじゃない。生き残ったのも僕のせいじゃないよ?それにホラ、君には上手に色を乗せれた。僕はまだ生きてるんだ」
「おちつけ…って!」
俺を見ているようで一切見ていない。俺の赤毛を嬉しそうに触っていても、その目はどこか遠くを見ている。
それが無性にむかついて、近づく男の顔を拳で殴った。
「……っ、ごめ……」
思いがけず鈍い音がして、大分痛みを与えてしまったように思う。
口の端が切れたのか、少し滲むそれを男の赤い舌がゆっくりと舐めとった。
「抵抗しないで。……優しくできない」
優しくする気なんて無かったくせに。
ギラギラとした欲情を隠さないコノエは、今まで見たことのない男の顔をしていた。
今まで与えられたセックスは実に優しいものだったのだと、今になって痛感する。
なんだかんだいってコノエは俺に甘く、優しく、生意気な俺をそのまま受け入れてくれていた。恥ずかしい事は沢山されたが、痛い事や本当に嫌な事はされていない。それが魔力交歓の副作用であったとしても、俺もそれを気持ちよく感じ受け入れていた。
「く…るし……っ、も、抜け……っ!」
唾液や精液を介して与えられる魔力は身体を発情させてくれる。この稀人の身体はその気になっていなくても、キスさえすればお手軽に濡れて男を受け入れる身体になる。
だが今コノエは俺をその気にするつもりすら無いらしい。
俺をテーブルに抑えつけたままボトムを全て取り去ると、俺の口元に指を突っ込み唾液を絡めとった。
そしてその指をアナルに入れると、ただただ男の欲望を突っ込むためにそこを拡げる。
「ひ……っ、くるしいって、やだ……」
魔法により身体の抵抗は封じられている。
一本、二本と指を増やされ、今までに無く抵抗の強い俺のアナルを性急に解していく。
魔力を流されていない俺の身体は酷く頑なで、顔も見えず声すら聞こえない男を相手に快感ひとつ拾えない。
強い圧迫感と内臓をかき回される不快感、そして見知らぬ他人のようなコノエの態度が酷く恐ろしく、俺にはそこに気持ちよさを感じる要素なんて無かった。
「おい……なんとか言えよ!っひ、うあ……」
言葉の抵抗すら許さないつもりなのか、ぐりっと弱い部分を圧迫されて声が出た。強い不快感が襲う中で、その僅かな快楽を拾いたくなる。でも嫌だ。
良く分からないけが……今この男に抱かれるのはごめんだ。
「くそ……!魔法がなけりゃ抱けねえ腰抜けが……っやめろ!離せよ!」
「――リク、あなたまで僕を否定するの?許さない、僕だけのものだ。あなたは僕だけの色」
温度の無い言葉が通り過ぎ、そのあまりの冷たさに一瞬抵抗を忘れた。
そしてグッとそこに熱い昂ぶりが押し当てられる。コノエの大きなモノを受け入れるには不十分なそこに。
「――っ!!!」
熱い、苦しい、息が出来ない。
容赦なく奥まで入れられたそれは、今まで感じたことのない圧迫感。
狭い筒を無理やり拡げて押し入られ、はくはくと酸素を求めて口が開く。
「や、め……!」
まだ息が整わず、受け入れる事に馴染まないその孔の中を、猛ったモノは躊躇なく律動を始める。普段より潤いが足りないソコは摩擦が大きく、引き抜かれる度に男のペニスに追いすがるようだ。
「ひ、や、あっあ…!やだぁ……!」
「好き、好きだよリク。あなただけが僕の色。僕の全て。だから受け入れて」
「くそが…ン!」
好きだ、なんて聞いていない。
そして、そんな言葉一つで絆されて受け入れられるほど俺も単純な性格はしていないし、この男を想っている訳でも無い。
「んっ、う…っあ……」
「リク……リク」
がくがくと腰を揺さぶられる。
俺を感じさせるいつもの余裕はどこにもなくて、自分の射精のために俺の肉を使って自慰をしているこの男。
でも――そうだな。いつもの胡散臭い笑顔よりはマシかもしれない。
うさん臭さも冷たさもとっぱらって、必死に腰を打ち付けて俺に愛を囁く。悪くない。
意識してアナルをギュウッと締めてやれば、男の息がぐっと詰まる。
気持ちイイかよ、そうか。俺は全然良くないけどな!
「リク……リク、好き」
さっきまでの非情な態度はどこへやら、俺に甘える様にうなじにキスを落としてくる。
そして一層強くペニスを出し入れするとビクビクと震え、俺の一番奥で射精した。
じんわりと広がる魔力が、少しずつ俺の頭を溶かしていく。
でも駄目だ。許さない。
後孔からペニスがずるりと抜け落ちる。
二人分の荒い息が室内を満たし、身体を戒めていた魔法もどうやら解かれたらしい。
人が変わったように俺を抱き上げ、子どものように抱きついてきた。
「リク。お願いだから僕を見て。僕だけの色」
「うるせえボケ。触んなアホ」
この勝手な魔法使いはどこまでも勝手だ。俺をこんな所に呼び出すわ、身体丸っと変えちまうわ、挙句の果てに変な執着を見せてくる。
お前そんなキャラだっけ?と驚くくらいキャラ変したかと思えば、全然気持ちよくないセックスをしてくるし。
ペニスが抜け落ちた孔からは、ドロリとしたものが伝い出てテーブルを汚す。
「とりあえず最高に気持ちよくしてみろよ」
魔力を注がれ敏感になった肌を、飢えた男の前に差し出した。
玄関口から見える部屋はいつも通り、いつものテーブル、いつもの食器棚。ただその中で違うのは。
抱きこまれていた腕は緩められるが、一度離してしまった目線を合わせる事は難しい。俺はなんだかこの男が怖いのだと、熱を持った身体が冷めていくと同時にコノエへの恐怖心が増していく。
思えば最初から分からない男だった。希代の魔法使いが、何故こんな森の中にひっそりと住んでいるのか。奪われた色と言うのがこの俺の髪色を指しているのなら、何故俺の髪の毛がそれになっているのか。
「――リク、僕が怖い?」
耳元で優しく囁かれ、身体がビクリと強張った。
あ、まずい。これはばれた。
コノエの空気が明らかに変化したのを肌で感じる。これはさっき王宮で感じたような、ピリピリとした嫌な感覚だ。背中を冷たい汗が伝い、自分の失敗をひしひしと感じ取る。
何言ってんだアホ魔法使い、といつも通りに言えば良かったのに俺は選択を間違えたのだ。
「ひ……っうわ!」
ダイニングテーブルに押し倒されると、乱暴にローブを剥ぎ取られた。テーブルに押し付けられた拍子に乗せてあった小物は崩れ落ちるが持ち主は全く気にしないようだ。
常ににこにこと人当たりの良すぎる笑顔を浮かべていた男は、今はその美貌を鋭利なものへと変えていた。
「リク、僕が怖いの?僕が色なしだから?色なしの癖に生きているから?」
「ちょ……っ、まて!おい!」
「でも色が無いのは僕のせいじゃない。生き残ったのも僕のせいじゃないよ?それにホラ、君には上手に色を乗せれた。僕はまだ生きてるんだ」
「おちつけ…って!」
俺を見ているようで一切見ていない。俺の赤毛を嬉しそうに触っていても、その目はどこか遠くを見ている。
それが無性にむかついて、近づく男の顔を拳で殴った。
「……っ、ごめ……」
思いがけず鈍い音がして、大分痛みを与えてしまったように思う。
口の端が切れたのか、少し滲むそれを男の赤い舌がゆっくりと舐めとった。
「抵抗しないで。……優しくできない」
優しくする気なんて無かったくせに。
ギラギラとした欲情を隠さないコノエは、今まで見たことのない男の顔をしていた。
今まで与えられたセックスは実に優しいものだったのだと、今になって痛感する。
なんだかんだいってコノエは俺に甘く、優しく、生意気な俺をそのまま受け入れてくれていた。恥ずかしい事は沢山されたが、痛い事や本当に嫌な事はされていない。それが魔力交歓の副作用であったとしても、俺もそれを気持ちよく感じ受け入れていた。
「く…るし……っ、も、抜け……っ!」
唾液や精液を介して与えられる魔力は身体を発情させてくれる。この稀人の身体はその気になっていなくても、キスさえすればお手軽に濡れて男を受け入れる身体になる。
だが今コノエは俺をその気にするつもりすら無いらしい。
俺をテーブルに抑えつけたままボトムを全て取り去ると、俺の口元に指を突っ込み唾液を絡めとった。
そしてその指をアナルに入れると、ただただ男の欲望を突っ込むためにそこを拡げる。
「ひ……っ、くるしいって、やだ……」
魔法により身体の抵抗は封じられている。
一本、二本と指を増やされ、今までに無く抵抗の強い俺のアナルを性急に解していく。
魔力を流されていない俺の身体は酷く頑なで、顔も見えず声すら聞こえない男を相手に快感ひとつ拾えない。
強い圧迫感と内臓をかき回される不快感、そして見知らぬ他人のようなコノエの態度が酷く恐ろしく、俺にはそこに気持ちよさを感じる要素なんて無かった。
「おい……なんとか言えよ!っひ、うあ……」
言葉の抵抗すら許さないつもりなのか、ぐりっと弱い部分を圧迫されて声が出た。強い不快感が襲う中で、その僅かな快楽を拾いたくなる。でも嫌だ。
良く分からないけが……今この男に抱かれるのはごめんだ。
「くそ……!魔法がなけりゃ抱けねえ腰抜けが……っやめろ!離せよ!」
「――リク、あなたまで僕を否定するの?許さない、僕だけのものだ。あなたは僕だけの色」
温度の無い言葉が通り過ぎ、そのあまりの冷たさに一瞬抵抗を忘れた。
そしてグッとそこに熱い昂ぶりが押し当てられる。コノエの大きなモノを受け入れるには不十分なそこに。
「――っ!!!」
熱い、苦しい、息が出来ない。
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「や、め……!」
まだ息が整わず、受け入れる事に馴染まないその孔の中を、猛ったモノは躊躇なく律動を始める。普段より潤いが足りないソコは摩擦が大きく、引き抜かれる度に男のペニスに追いすがるようだ。
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「好き、好きだよリク。あなただけが僕の色。僕の全て。だから受け入れて」
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でも――そうだな。いつもの胡散臭い笑顔よりはマシかもしれない。
うさん臭さも冷たさもとっぱらって、必死に腰を打ち付けて俺に愛を囁く。悪くない。
意識してアナルをギュウッと締めてやれば、男の息がぐっと詰まる。
気持ちイイかよ、そうか。俺は全然良くないけどな!
「リク……リク、好き」
さっきまでの非情な態度はどこへやら、俺に甘える様にうなじにキスを落としてくる。
そして一層強くペニスを出し入れするとビクビクと震え、俺の一番奥で射精した。
じんわりと広がる魔力が、少しずつ俺の頭を溶かしていく。
でも駄目だ。許さない。
後孔からペニスがずるりと抜け落ちる。
二人分の荒い息が室内を満たし、身体を戒めていた魔法もどうやら解かれたらしい。
人が変わったように俺を抱き上げ、子どものように抱きついてきた。
「リク。お願いだから僕を見て。僕だけの色」
「うるせえボケ。触んなアホ」
この勝手な魔法使いはどこまでも勝手だ。俺をこんな所に呼び出すわ、身体丸っと変えちまうわ、挙句の果てに変な執着を見せてくる。
お前そんなキャラだっけ?と驚くくらいキャラ変したかと思えば、全然気持ちよくないセックスをしてくるし。
ペニスが抜け落ちた孔からは、ドロリとしたものが伝い出てテーブルを汚す。
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