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異世界転生 26日目
第537話 地底都市
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でもそれはないだろ?
だって――、
「今いるところって確か地面の下だったよな?」
「う、うん……そのはずだけど……」
「なのに前を見たら街があるんだけど」
「あるね……」
「上を見たら空があるんだけど」
「あるよね……」
「夕焼け空が綺麗なんだけど」
「時間的にそろそろ夜になるからね……ってでもあれ? なんだかちょっと不自然かも?」
「ん……? そうだな……言われてみれば……」
「なんだかちょっとのっぺりしてるっていうか、空が近いって言うか――」
ココの指摘したとおりだった。
「……この空、本物そっくりに見えるけどニセモノだな。そうか、天井に空の映像を投影しているんだ」
プロジェクションマッピングみたいな感じだろうか。
自動ドアといい、この地底都市にはかなり高度な技術があるみたいだな。
俺は視線を下げると再び地底に作られた街を見やった。
それなりに大きな街で10階建てくらいのビルが多数見える。
そして明らかに電気の光がきらめいていた。
俺が来たこの異世界はおおむね中世っぽかったのに、ここだけまるで現代の様相だ。
でもトワ=《スサノオ》と戦った格納庫だか研究施設だかは、俺がいた地球よりはるかに文明が進んでいたっぽかったもんな。
荷電粒子砲を装備した人型兵器とか、俺の時代ではアニメや映画の中限定の存在だったし。
それを考えればそこまで不思議ってほどでもないのか……?
「ねーねーおにーさん! もしかしてこれ、伝説の古代先史文明!? ココたちから隠れてずっと地面の下に住んでたってこと!?」
ココの言葉に、
「その可能性は大だな」
俺は同意せざるを得なかった。
ふと、核シェルターという言葉が頭をよぎる。
大昔に何らかの大異変なり環境汚染なりがあって地上では文明が一度滅び、地下に避難した人々は取り残されたまま長い時が過ぎた――。
こんな展開もありえない話じゃない。
もちろんこの規模になると避難と言うよりは移住だろうけど。
「とりありず今いるここは街の外れかな?」
振り返ると出口の周りは天井まで続く岩で覆われていて、洞窟の入り口みたいになっていた。
周りは頑丈な柵で封鎖してあって、
「感知センサーがついてるな――」
知覚系S級チート『龍眼』が、侵入者探知用の警報装置の存在を教えてくれる。
自動ドアといいセンサーといい、ビル群といい、人工の空といい、何より地下にある大都市といい――、
「なんか俺テンション上がってきたんだけど!?」
「おにーさん!?」
はっ、しまった!?
俺の男の子の部分がこの突然のSF展開に激しく反応して、ジェシカを救うという当初の目的を一瞬完全に忘れてしまっていたよ!
「わ、悪い、そうだよな、ジェシカが大変なことになってるかもしれないのにテンション上がってちゃまずいよな……」
俺は大いに反省していた。
猛省していた。
ジェシカを姉と慕うココの前で、さすがにこれは空気が読めないにもほどがある。
――と思っていたんだけれど、
「ううん違うの。だって――」
「だって……?」
「だってその気持ちすっごくわかるもん! なにこれすごい! 地面の下にこんな世界があったなんて! アンビリーバボだよ!」
俺にお姫様抱っこされながら、ココは期待とワクワクで目をキラキラと輝かせていた……。
だって――、
「今いるところって確か地面の下だったよな?」
「う、うん……そのはずだけど……」
「なのに前を見たら街があるんだけど」
「あるね……」
「上を見たら空があるんだけど」
「あるよね……」
「夕焼け空が綺麗なんだけど」
「時間的にそろそろ夜になるからね……ってでもあれ? なんだかちょっと不自然かも?」
「ん……? そうだな……言われてみれば……」
「なんだかちょっとのっぺりしてるっていうか、空が近いって言うか――」
ココの指摘したとおりだった。
「……この空、本物そっくりに見えるけどニセモノだな。そうか、天井に空の映像を投影しているんだ」
プロジェクションマッピングみたいな感じだろうか。
自動ドアといい、この地底都市にはかなり高度な技術があるみたいだな。
俺は視線を下げると再び地底に作られた街を見やった。
それなりに大きな街で10階建てくらいのビルが多数見える。
そして明らかに電気の光がきらめいていた。
俺が来たこの異世界はおおむね中世っぽかったのに、ここだけまるで現代の様相だ。
でもトワ=《スサノオ》と戦った格納庫だか研究施設だかは、俺がいた地球よりはるかに文明が進んでいたっぽかったもんな。
荷電粒子砲を装備した人型兵器とか、俺の時代ではアニメや映画の中限定の存在だったし。
それを考えればそこまで不思議ってほどでもないのか……?
「ねーねーおにーさん! もしかしてこれ、伝説の古代先史文明!? ココたちから隠れてずっと地面の下に住んでたってこと!?」
ココの言葉に、
「その可能性は大だな」
俺は同意せざるを得なかった。
ふと、核シェルターという言葉が頭をよぎる。
大昔に何らかの大異変なり環境汚染なりがあって地上では文明が一度滅び、地下に避難した人々は取り残されたまま長い時が過ぎた――。
こんな展開もありえない話じゃない。
もちろんこの規模になると避難と言うよりは移住だろうけど。
「とりありず今いるここは街の外れかな?」
振り返ると出口の周りは天井まで続く岩で覆われていて、洞窟の入り口みたいになっていた。
周りは頑丈な柵で封鎖してあって、
「感知センサーがついてるな――」
知覚系S級チート『龍眼』が、侵入者探知用の警報装置の存在を教えてくれる。
自動ドアといいセンサーといい、ビル群といい、人工の空といい、何より地下にある大都市といい――、
「なんか俺テンション上がってきたんだけど!?」
「おにーさん!?」
はっ、しまった!?
俺の男の子の部分がこの突然のSF展開に激しく反応して、ジェシカを救うという当初の目的を一瞬完全に忘れてしまっていたよ!
「わ、悪い、そうだよな、ジェシカが大変なことになってるかもしれないのにテンション上がってちゃまずいよな……」
俺は大いに反省していた。
猛省していた。
ジェシカを姉と慕うココの前で、さすがにこれは空気が読めないにもほどがある。
――と思っていたんだけれど、
「ううん違うの。だって――」
「だって……?」
「だってその気持ちすっごくわかるもん! なにこれすごい! 地面の下にこんな世界があったなんて! アンビリーバボだよ!」
俺にお姫様抱っこされながら、ココは期待とワクワクで目をキラキラと輝かせていた……。
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