「無敵転生 ――全チート、フル装備。」 この異世界で、ハーレムマスターに俺はなる！ ～最強チートフル装備で異世界で人生やりなおし～

異世界転生 ２６日目

第529話 なぜそこでどや顔するのか。

　しかし俺はそんな《神焉竜しんえんりゅう》の荒ぶる姿を見て、少しだけほっとしていたのだった。

　というのも、

「明らかにイラついているのにドアを破壊せずに入ってきた！　なんて進歩なんだ！　ブラボー！　マーベラス！　《神焉竜しんえんりゅう》、お前はやればできる子だったんだな！」

「おにーさんも苦労してるんだね……ほろり……」

　素直に賞賛する俺を見たココが、同情するようにそっと呟いた。

　そんなちょっとだけ成長した《神焉竜しんえんりゅう》はというと、しかしココをギラリと睨みつけると、

「主様ぬしさまとお泊りデートをしようなどと、まったく油断も隙もない泥棒ネコじゃの」

　苦り切った口調でそんな風に言い捨てた。
　――んだけど、それってつまり、

「お前『龍眼』を使って俺たちの会話を盗み聞きしてたな……？」
　ということに他ならないわけで。

　これはいけませんね。
　麻奈志漏まなしろさんちの誠也くんのプライバシーが、激しく侵害されちゃっていますよ。

　ちゃんと理由を問いただして教育をしないと――、

「それはもちろんなのじゃ」
「もちろん！？　今『もちろん』って言った！？」

　俺の会話を盗み聞きするのが「もちろん」だって！？

「驚くほどのことではないのじゃ。なにせ人のよい奥方殿は良くも悪くも無防備じゃからの。妾わらわが影よりそっと助力をするのは当然のことじゃろうて」

「確かにそれはそうかもしれないし、《神焉竜しんえんりゅう》がウヅキを守ってくれるなら、その点に関しては過剰防衛さえしなければありがたいんだけど――」

「じゃろう？」
　なぜそこでどや顔するのか。

「いやでも、やっていることがちょっとおかしくないかな？　かな？」

　俺には私生活が存在しない的な？
　日々監視されちゃっている感じ？

　さすがに部屋にいる時は覗のぞかれていないとは思うんだけど……覗かれてないよね？

　そういえば外を歩いていると俺を見ているような視線を感じた気がしてたんだけど……お前だったのか《神焉竜しんえんりゅう》……。

「主様ぬしさま、今はその話はよいではないか」

「いや、よくはないかなぁ」

「そんなことよりもしっぽり抜け駆けお泊りデートの件じゃが」

　そんなことって……ぐすん。

「……ふむ、ではこうするのじゃ、妾わらわも主様ぬしさまたちに一緒に着いていくのじゃ」

　言って、《神焉竜しんえんりゅう》はさも名案とばかりにポンと手を打った。

　もちろん最強の王竜の決めたことに逆らうものなどそうはいない。
　最早これは決定事項だ――そう俺が諦めかけた時だった。

　意外なところから反論の声が上がったのは。

「あ、えっと、その、《神焉竜しんえんりゅう》さんにはご遠慮いただけないかな、と……」

　なんとココが恐るおそる提言したのだ。

「あぁ？　立場をわきまえよ、地べたを這はいずり回るしか能のない愚鈍なケモノが。誰に意見しておると思うておるのじゃ？」

　当然《神焉竜しんえんりゅう》はそういう反応するよね、うん。