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第六部「チート学園」  異世界転生 ??日目

第473話 なぜなら俺は! 全チートたちのマスターだからだ!

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 わずかな静寂せいじゃくがあった後、

 フォン。

 《2年S組の剣おたまブレード》がほんのわずか、小さく震えた。

 それはいかにもしぶしぶ、しゃーなしって感じで、ぜんぜんちっとも本意ではないのが伝わってはきたのだけれど――、

「うん、俺の気持ちをんでくれたみたいで嬉しいよ。ありがとうな、『剣聖』。あと2年S組のみんなも。きっとみんなが『剣聖』を納得させてくれたんだよな」

 《2年S組の剣おたまブレード》が震えたってことは、つまりきっとそういうことなのだ。

「ほんとありがとうな」

 俺はもう一度、いっつも俺を助けてくれる素敵なチートたちに心からの感謝の気持ちを伝えると、

「さぁケンセー、俺はもう逃げないぜ」
 ケンセーをまっすぐ見据えて啖呵たんかを切った――!

「今から俺が、お前の気持ちをこれでもかって受け止めてやる。そしてその上で、今度こそ俺はお前を納得させる、納得させてみせる。それが俺の、モテモテハーレム異世界生活を目指す俺、《神滅覇王しんめつはおう麻奈志漏まなしろ誠也の生きざまだ――!」

 女の子の泣いてる顔なんて見たくない。
 女の子の心が壊れたっていうのなら、俺の手で癒してあげたい、治してあげたい。
 その原因が俺を好きなせいでって言うんなら、なおさらだろう?

 なにせ俺はそれを為しうる力を手にしているのだから――!

「そろそろ最後の勝負といこうじゃないか。ほら、いくらでも好きなだけかかってこい、ケンセー!!」

「あはっ! やっとせーやくんがみてくれた! だいすき! だいだいだいすき!!」

 耳まで真っ赤に紅潮させて、とろけたような極上の笑顔を浮かべたケンセーが、テンションマックスのまま俺に向かって真っすぐ一直線に突っ込んできた。

「速い――っ!」

 今までで一番の速くて鋭い踏み込みだ……!
 そんなケンセーの神速の動きを、本当にギリギリかろうじてのところで、知覚系SS級チート『真なる龍眼』が補足する。

 さらにそれと連動して『剣聖』が動き出した。
 もちろんここからは、受け流したりといった小手先の技術を使ったりはしない。

 俺は腰を落としてどっしりと構えると――、

「おおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっっ――――っっ!!」
 《2年S組の剣おたまブレード》でケンセーの突進を真っ向から叩き返した――!

 激突した瞬間、激しい衝撃とともに《2年S組の剣おたまブレード》が弓なりに大きくたわんで、あわやへし折れそうになる。

ってぇ……!!」
 強烈な負荷がかかった俺の両手首も、骨がミシミシギリギリと悲鳴を上げていた。
 まるで台風で木造家屋がきしんだ時のような、不安をかき立てるいやーな音だ。

 だがそれも仕方のないことだった。
 なにせ今のケンセーは限りなくSSS級に近い存在だからな。

 完全格上であるケンセーの全力アタックと真正面から打ち合ったのだから、そりゃ俺も《2年S組の剣おたまブレード》も無事ではいられないさ。

 だけどな――、
「《2年S組の剣おたまブレード》は決して折れはしない!」

 《2年S組の剣おたまブレード》はへし折れそうになりながらも、しかし大きくたわんだだけで後一歩のところで折れずに踏みとどまっていた。
 2年S組のみんなが、必死に力を合わせて踏ん張ってくれているのがこれでもかと伝わってくるぜ――!

 みんなもケンセーがこのままじゃだめだって思ってくれているんだ――!
 であるならば当然、俺も!
 俺の心も折れたりはしない――!

「ぬぉりゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!」

 なぜなら俺は!
「俺は! 全チートたちのマスターだからだ!」

 チートっ子たちが頑張ってるっていうのに、マスターである俺がどのつら下げて白旗しろはた上げていられるかってんだよ!
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