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第六部「チート学園」 異世界転生 ??日目
第455話 チートとともにあらんことを――
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「ああもう、なんだかんだで結局セーヤくんはカッコいいんだから――」
そう言ったミロノヴィーナスちゃんは一瞬、目をあらぬ方向に泳がせたかと思ったら、不意に俺との距離を詰めてきて――、
「ちゅ――っ」
次の瞬間、俺たちは唇と唇を軽く触れ合わせていた――。
「ん――」
振れるか触れ合わないかといったくらいに一瞬のライトなキスはしかし、確かなぬくもりを俺の心に残していって――。
「May the cheat be with you! セーヤくんがチートとともにあらんことを――!」
ちょっと頬を赤くして最後の一言、そう外国映画みたいにオシャレに言い残したミロノヴィーナスちゃんは、すぐにその姿を失うと輝く光の粒子となって俺の中に入ってきて――。
最期の瞬間、その瞳に薄っすらとにじんでいた涙を見て、俺は魂が揺さぶられるような想いで心が一杯になっていた。
「そうだよな……みんな自我を持ってたんだもんな……消えてしまうのは、辛いはずだよな」
俺の中に帰ってきて、そして今まさに右手に集まり続けている力は、自らの存在を犠牲にしてまでチートっ子たちが返してくれた力なのだ。
「みんなの想いがこもったこの力を使って、俺は必ず勝ってみせる――いや必ず勝つ!」
こうして。
大きな体育館に残っているのは、今はもう俺とケンセーのたった2人だけになってしまっていた。
さっきまでスポーツチャンバラ大会で騒がしかったのがウソのようにシーンと静まり返った巨大な箱庭の中で。
「ケンセー、もう終わりにするぞ」
俺は一歩を踏み出しながら向かいに立つ少女に告げた。
右の手のひらが灼けるように熱い。
小学校5年生の時、家庭科のべっこう飴づくりで跳ねた熱々の飴の元を握りこんでしまって、手のひらを大やけど(全治2か月)したことがあった。
その時を思い出すような手のひらの猛烈な熱さはしかし、
「痛いとか不快とかそういう感じはちっとも感じないんだよな。むしろ熱いのに優しく背中を押されるような、そんな不思議な熱さだ――」
きっとこれはチートっ子たちの想いの熱さなのだ。
勝利を掴めととどろき叫ぶ熱き血潮なのだ――!
さっきまでチートっ子たちだったエネルギーが、エアーソフト剣にまとわりつくように集まりながらどんどんと凝縮されてゆく。
彼女たちの想いによって編まれた新たなる神剣が、今まさに生まれ落ちようとしていた――!
溢れんばかりの熱量に突き動かされるように一歩を踏み出した俺を、ケンセーはなんとはなしに見つめながら――、
「あーあ……みんなほんとバカなんだから……ここにいれば、チート学園をやっていれば、セーヤくんとずっと楽しく過ごせてたっていうのに……ほんとバカばっか……」
――ぽつんと、力のない小さな声でつぶやいた。
そう言ったミロノヴィーナスちゃんは一瞬、目をあらぬ方向に泳がせたかと思ったら、不意に俺との距離を詰めてきて――、
「ちゅ――っ」
次の瞬間、俺たちは唇と唇を軽く触れ合わせていた――。
「ん――」
振れるか触れ合わないかといったくらいに一瞬のライトなキスはしかし、確かなぬくもりを俺の心に残していって――。
「May the cheat be with you! セーヤくんがチートとともにあらんことを――!」
ちょっと頬を赤くして最後の一言、そう外国映画みたいにオシャレに言い残したミロノヴィーナスちゃんは、すぐにその姿を失うと輝く光の粒子となって俺の中に入ってきて――。
最期の瞬間、その瞳に薄っすらとにじんでいた涙を見て、俺は魂が揺さぶられるような想いで心が一杯になっていた。
「そうだよな……みんな自我を持ってたんだもんな……消えてしまうのは、辛いはずだよな」
俺の中に帰ってきて、そして今まさに右手に集まり続けている力は、自らの存在を犠牲にしてまでチートっ子たちが返してくれた力なのだ。
「みんなの想いがこもったこの力を使って、俺は必ず勝ってみせる――いや必ず勝つ!」
こうして。
大きな体育館に残っているのは、今はもう俺とケンセーのたった2人だけになってしまっていた。
さっきまでスポーツチャンバラ大会で騒がしかったのがウソのようにシーンと静まり返った巨大な箱庭の中で。
「ケンセー、もう終わりにするぞ」
俺は一歩を踏み出しながら向かいに立つ少女に告げた。
右の手のひらが灼けるように熱い。
小学校5年生の時、家庭科のべっこう飴づくりで跳ねた熱々の飴の元を握りこんでしまって、手のひらを大やけど(全治2か月)したことがあった。
その時を思い出すような手のひらの猛烈な熱さはしかし、
「痛いとか不快とかそういう感じはちっとも感じないんだよな。むしろ熱いのに優しく背中を押されるような、そんな不思議な熱さだ――」
きっとこれはチートっ子たちの想いの熱さなのだ。
勝利を掴めととどろき叫ぶ熱き血潮なのだ――!
さっきまでチートっ子たちだったエネルギーが、エアーソフト剣にまとわりつくように集まりながらどんどんと凝縮されてゆく。
彼女たちの想いによって編まれた新たなる神剣が、今まさに生まれ落ちようとしていた――!
溢れんばかりの熱量に突き動かされるように一歩を踏み出した俺を、ケンセーはなんとはなしに見つめながら――、
「あーあ……みんなほんとバカなんだから……ここにいれば、チート学園をやっていれば、セーヤくんとずっと楽しく過ごせてたっていうのに……ほんとバカばっか……」
――ぽつんと、力のない小さな声でつぶやいた。
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