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ーインタールードー 5
第398話 『始まりの世界』-アリッサ=コーエン-
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「い、いったい何が起こっているのでしょうか……!?」
完全にお手上げ、理解の範疇を越えています……!
まったくもって何の答えも出せなかった私に、
「……ねぇアリッサ。君は疑問に感じたことはないかな? なぜ異なるルール、異なる物理法則が定まっている多様な異世界で、しかし共通のルール――つまりはチートが運用可能なのか、ということを」
しかし局長は唐突にぜんぜん違った話をしはじめたのだった。
今はそんなことを話している場合では――とは思ったものの、しかし局長が何の脈絡もなく無関係の話をするはずがないわけで。
つまりこれは一見関係ないように見えて、重要なお話に違いないのだ。
そうであるならば!
全力でそれに答えなければ、アドバイザーとして格別に引き立ててもらった私の存在意義はないに等しくなってしまう!
考えろ、考えるんだアリッサ=コーエン。
異なるルールなのに、なぜ共通のチートが運用できるのか――。
「それは――世界が異なり一見ルールが違っているように見えても、その実、根幹となるルールは同じだから、でしょうか?」
「素晴らしい、100点満点の回答だ」
「ほ――っ」
局長からお褒めの言葉をいただいて、私はほっと一息をついた。
「そう、ある異世界と別の異世界の違いは、あくまで枝葉末節の差異に過ぎず、実は土台となる根っこの部分は同じであり、違っているのは外形上だけに過ぎないのだ」
「つまり異世界転生局のチートは、その共通部分を利用・干渉することでどの異世界であっても同じ効果を発動できるわけですね?」
「その通りだ。ではそれを踏まえて次の質問だ。なぜ『世界の根幹のルール』は同じなのだろうか?」
「えっと、それは――」
それは今まで考えたこともないような突拍子もない質問だった。
『世界の根幹のルール』が全異世界で共通な理由?
「申し訳ありません、わかりかねます……」
必死に考えたものの、どうしても答えを導きだせなかった私はしぶしぶと白旗を上げた。
「なに、構わないよアリッサ。……そうだね、君は知っているかな? 全ての異世界は、共通のとある1つの世界から生み出された兄弟姉妹のようなものだ、という説があることを」
「あ、最上位世界である『唯一世界』の存在があるとする『唯一世界起源説』――」
「おや、こんな参考書にものっていないマイナーな学説をよく知っていたね。さすがはアリッサだ、私が見込んだだけはある」
「こう見えて実は、大学では異世界考古学を専攻しておりましたので……」
ちなみに希望したゼミに入れず(成績で足切りするなんてひどいよね)、しぶしぶ入ったいわゆる「はずれ」で「不人気」な「売れ残り」のゼミだった。
入ってみたら意外と面白かったので2年続けて履修したのだけれど。
「知っているのなら話は早い。『唯一世界起源説』によれば、異世界とは共通の祖である『始まりの世界』が自身をコピーすることによって、新たに誕生する」
「その時にコピーにズレが生じて、それがそれぞれの異世界としての個性になっていくんですよね……あ、そういうことですか!」
そこまできて私は局長の言いたいことに思い至った。
「だから『世界の根幹のルール』が共通なんですね? そもそもたった一つの『始まりの世界』から分岐して生まれているんだから、違いようがないというか」
完全にお手上げ、理解の範疇を越えています……!
まったくもって何の答えも出せなかった私に、
「……ねぇアリッサ。君は疑問に感じたことはないかな? なぜ異なるルール、異なる物理法則が定まっている多様な異世界で、しかし共通のルール――つまりはチートが運用可能なのか、ということを」
しかし局長は唐突にぜんぜん違った話をしはじめたのだった。
今はそんなことを話している場合では――とは思ったものの、しかし局長が何の脈絡もなく無関係の話をするはずがないわけで。
つまりこれは一見関係ないように見えて、重要なお話に違いないのだ。
そうであるならば!
全力でそれに答えなければ、アドバイザーとして格別に引き立ててもらった私の存在意義はないに等しくなってしまう!
考えろ、考えるんだアリッサ=コーエン。
異なるルールなのに、なぜ共通のチートが運用できるのか――。
「それは――世界が異なり一見ルールが違っているように見えても、その実、根幹となるルールは同じだから、でしょうか?」
「素晴らしい、100点満点の回答だ」
「ほ――っ」
局長からお褒めの言葉をいただいて、私はほっと一息をついた。
「そう、ある異世界と別の異世界の違いは、あくまで枝葉末節の差異に過ぎず、実は土台となる根っこの部分は同じであり、違っているのは外形上だけに過ぎないのだ」
「つまり異世界転生局のチートは、その共通部分を利用・干渉することでどの異世界であっても同じ効果を発動できるわけですね?」
「その通りだ。ではそれを踏まえて次の質問だ。なぜ『世界の根幹のルール』は同じなのだろうか?」
「えっと、それは――」
それは今まで考えたこともないような突拍子もない質問だった。
『世界の根幹のルール』が全異世界で共通な理由?
「申し訳ありません、わかりかねます……」
必死に考えたものの、どうしても答えを導きだせなかった私はしぶしぶと白旗を上げた。
「なに、構わないよアリッサ。……そうだね、君は知っているかな? 全ての異世界は、共通のとある1つの世界から生み出された兄弟姉妹のようなものだ、という説があることを」
「あ、最上位世界である『唯一世界』の存在があるとする『唯一世界起源説』――」
「おや、こんな参考書にものっていないマイナーな学説をよく知っていたね。さすがはアリッサだ、私が見込んだだけはある」
「こう見えて実は、大学では異世界考古学を専攻しておりましたので……」
ちなみに希望したゼミに入れず(成績で足切りするなんてひどいよね)、しぶしぶ入ったいわゆる「はずれ」で「不人気」な「売れ残り」のゼミだった。
入ってみたら意外と面白かったので2年続けて履修したのだけれど。
「知っているのなら話は早い。『唯一世界起源説』によれば、異世界とは共通の祖である『始まりの世界』が自身をコピーすることによって、新たに誕生する」
「その時にコピーにズレが生じて、それがそれぞれの異世界としての個性になっていくんですよね……あ、そういうことですか!」
そこまできて私は局長の言いたいことに思い至った。
「だから『世界の根幹のルール』が共通なんですね? そもそもたった一つの『始まりの世界』から分岐して生まれているんだから、違いようがないというか」
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