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【外伝】わたし、マリア=セレシア、17歳! 真性クズなんだけど、後世で聖母って言われちゃってるの……
第287話 お、おおおおお父さまの大事に育てていた盆栽を蹴飛ばしてボコボコにへし折ってしまったわ……!?
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「やばい、やばいやばい、マジやばい……!」
その日、わたしはちょお大ピンチを迎えていた。
「お、おおおおお父さまが大事に大事に育てていた盆栽を、蹴飛ばしてボコボコにへし折ってしまったわ……!?」
ちょお忙しいお父さまが唯一まったりと心を許せる時間が、この盆栽を手入れする盆栽タイムなのだ……!
その中でもこれはお父さまが若いころから大事に育ててきたっていう、特にお気に入りの奴じゃん……!
それをぼーっとしていて蹴飛ばしてしまったのだ……!
やばい、これ本気でヤバい。
あふぅ、こんなのバレたらお小遣い減らされるじゃすまないよぉ……。
「どうする、どうしよ、どうしようもない!」
よし、こうなったらバレないうちに逃げちゃおう。
「誰も見てないもんね! そんなん逃げるしかないじゃん!」
わたしは何も知らないし、盆栽ルームには入りもしなかった、うん。
――そう思ってぴゅーっと逃げようとしたら、
「ぎゃーーっ!!」
お、おおおお父さまがこっちにやって来たじゃない!!??
「ああ、もうだめ、これは言い訳がきかない……間違いなく現行犯でギルティ……ああ、さようならわたしのお小遣い……次のパーリーのための新しいドレスが欲しかったのに……」
悲嘆にくれる私がいる盆栽ルームへとやってきたお父さま。
ボコボコになった愛盆栽を一瞥すると、
「……マリア、これはいったいどういうことなのかね?」
なんとも重々しく口を開いたのだった。
「これはその、お父さま。アレでナニと申しますのでしょうか? 実はですね、お父さまには大変申しあげにくいことなのですが、これには海よりも深く山よりも高い大変込み入った事情があったりなかったりでございまして……あのそのつまり……どうかお小遣いだけは見逃していただけないかと……」
半べそで詫びを入れてお小遣いだけは見逃してもらおうとした時だった。
「マリア様は悪くありません! 悪いのは私なんです!」
なんかメイドが一人走ってやってきたのだった。
えーと確か、盆栽係のメイドだった……かな?
わたしとはあんまり接点ないからよく覚えてないや。
そのメイドはというと、
「本当は私が犯人なんです! お館様が大事にされていた盆栽の枝を折ってしまったんです! それで私、怖くなって思わず逃げてしまって! それで今、様子をうかがいに戻ってきたら、マリア様が代わりに怒られているのを見てしまって……!」
「な、なんと……!」
メイドの告白を聞いたお父さまの顔色が、ビビーン!って変わった。
「マリア様はきっと私の身代わりになるため、盆栽を敢えて落としてぼこぼこにして、罪を被ろうとなさってくれたのです!」
「ふえっ!? 身代わり!?」
なにそれ初耳だよ!?
「だから悪いのは私なんです! マリア様は何も悪くないんです! 盆栽を折っただけでなく、逃げだしてしまい誠に申し訳ありませんでした……すべては私の咎にございます! それをよりにもよってマリア様に罪をなすりつけてしまうなどと……どうか愚かな私めに、罰をお与えくださいませ!」
必死に謝罪をつづける盆栽係のメイド。
ん?
ってことはあれ?
なんかメイドが壮絶に勘違いしてくれたおかげで、わたし助かったっぽい……?
「そうか……そういうことだったのか。よろしい、下がりなさい。今回の一件は全て不問に付すとしよう」
「お父さま……?」
「罰を与えるなどとんでもない。だって今の私は娘の成長を実感できて、とても気分がいいのだから。マリア、素敵なレディに成長したね」
「え? あ、はい……」
「まさか使用人の罪をあえて自分が被ろうとするとは。まだまだ小さな子供だと思っていたけど、もうすっかり一人前のレディになっていたんだね」
「そ、そう、です、ね……?」
やばい、もうほんとのことなんて言えないふいんき。
よしきた、一生黙っておこう……。
「そう言えばマリア、もうすぐ大きなパーティがあると言っていたね? 新しいドレスを買うのにお金がいるだろう? 今月のお小遣いは2倍にしておくからね」
「うそ! ほんと!? やた!! だからお父さま大好き!!」
「ははっ、そういうところはまだまだ子供だね」
いやーうん、一時はどうなることかと思ったけど、お小遣いなくなるどころか2倍だよ2倍!
やったね!!
その日、わたしはちょお大ピンチを迎えていた。
「お、おおおおお父さまが大事に大事に育てていた盆栽を、蹴飛ばしてボコボコにへし折ってしまったわ……!?」
ちょお忙しいお父さまが唯一まったりと心を許せる時間が、この盆栽を手入れする盆栽タイムなのだ……!
その中でもこれはお父さまが若いころから大事に育ててきたっていう、特にお気に入りの奴じゃん……!
それをぼーっとしていて蹴飛ばしてしまったのだ……!
やばい、これ本気でヤバい。
あふぅ、こんなのバレたらお小遣い減らされるじゃすまないよぉ……。
「どうする、どうしよ、どうしようもない!」
よし、こうなったらバレないうちに逃げちゃおう。
「誰も見てないもんね! そんなん逃げるしかないじゃん!」
わたしは何も知らないし、盆栽ルームには入りもしなかった、うん。
――そう思ってぴゅーっと逃げようとしたら、
「ぎゃーーっ!!」
お、おおおお父さまがこっちにやって来たじゃない!!??
「ああ、もうだめ、これは言い訳がきかない……間違いなく現行犯でギルティ……ああ、さようならわたしのお小遣い……次のパーリーのための新しいドレスが欲しかったのに……」
悲嘆にくれる私がいる盆栽ルームへとやってきたお父さま。
ボコボコになった愛盆栽を一瞥すると、
「……マリア、これはいったいどういうことなのかね?」
なんとも重々しく口を開いたのだった。
「これはその、お父さま。アレでナニと申しますのでしょうか? 実はですね、お父さまには大変申しあげにくいことなのですが、これには海よりも深く山よりも高い大変込み入った事情があったりなかったりでございまして……あのそのつまり……どうかお小遣いだけは見逃していただけないかと……」
半べそで詫びを入れてお小遣いだけは見逃してもらおうとした時だった。
「マリア様は悪くありません! 悪いのは私なんです!」
なんかメイドが一人走ってやってきたのだった。
えーと確か、盆栽係のメイドだった……かな?
わたしとはあんまり接点ないからよく覚えてないや。
そのメイドはというと、
「本当は私が犯人なんです! お館様が大事にされていた盆栽の枝を折ってしまったんです! それで私、怖くなって思わず逃げてしまって! それで今、様子をうかがいに戻ってきたら、マリア様が代わりに怒られているのを見てしまって……!」
「な、なんと……!」
メイドの告白を聞いたお父さまの顔色が、ビビーン!って変わった。
「マリア様はきっと私の身代わりになるため、盆栽を敢えて落としてぼこぼこにして、罪を被ろうとなさってくれたのです!」
「ふえっ!? 身代わり!?」
なにそれ初耳だよ!?
「だから悪いのは私なんです! マリア様は何も悪くないんです! 盆栽を折っただけでなく、逃げだしてしまい誠に申し訳ありませんでした……すべては私の咎にございます! それをよりにもよってマリア様に罪をなすりつけてしまうなどと……どうか愚かな私めに、罰をお与えくださいませ!」
必死に謝罪をつづける盆栽係のメイド。
ん?
ってことはあれ?
なんかメイドが壮絶に勘違いしてくれたおかげで、わたし助かったっぽい……?
「そうか……そういうことだったのか。よろしい、下がりなさい。今回の一件は全て不問に付すとしよう」
「お父さま……?」
「罰を与えるなどとんでもない。だって今の私は娘の成長を実感できて、とても気分がいいのだから。マリア、素敵なレディに成長したね」
「え? あ、はい……」
「まさか使用人の罪をあえて自分が被ろうとするとは。まだまだ小さな子供だと思っていたけど、もうすっかり一人前のレディになっていたんだね」
「そ、そう、です、ね……?」
やばい、もうほんとのことなんて言えないふいんき。
よしきた、一生黙っておこう……。
「そう言えばマリア、もうすぐ大きなパーティがあると言っていたね? 新しいドレスを買うのにお金がいるだろう? 今月のお小遣いは2倍にしておくからね」
「うそ! ほんと!? やた!! だからお父さま大好き!!」
「ははっ、そういうところはまだまだ子供だね」
いやーうん、一時はどうなることかと思ったけど、お小遣いなくなるどころか2倍だよ2倍!
やったね!!
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