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異世界転生 12日目(後編)
第247話 さてはアンタ、悪いドラゴンね!
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《神焉竜》のひとっ飛びによって、俺たちがフィニッシュ地点の塔へと到達するや否や、
「ちょっと! ちょっとちょっと! ちょっとアンタたち一体なにしてくれちゃってんのよ!?」
すっ飛んできて激しく抗議をはじめた精霊さん。
だよなぁ……そりゃ怒るよなぁ……。
「なにと言われると? 空を飛んできたのじゃが?」
それに悪びれもせずしれっと答える《神焉竜》。
「空を飛んでまっすぐ迷路を攻略するヤツがどこにいんのよ!?」
「目の前におるじゃろうに」
「くっふぅぅぅぅ……っっっ! ああいえばこうゆう!? なんなのほんと! ほんとなに考えてんのよ、もう! アンビリーバボゥ! 信じらんない! っていうかアンタ、ドラゴンだったの!?」
「ええっ!? 精霊さん気付いてなかったの!?」
「なんで気付くのよ?」
……素で返された。
「なんでって。だってみんな《神焉竜》って呼んでたじゃん」
「てっきり、そういうオサレカッコイイ名前を名乗りたい『お年頃』なんだと思ってたわ? アタシそういうのに理解がある女の子だからねっ! いちいちツッコんだり野暮なことはしないんだからっ!」
変なところで気を回しすぎな精霊さんだった。
「ふむ、なら空を飛んで攻略することも、理解して納得したというわけじゃな」
「うがーっ! そんなわけないでしょうが!」
「まぁまぁ落ち着けって」
「これが落ち着いていられますか! 100年かけて作った『迷いの森』を、こんな無視するみたいなやり方で攻略されて!」
「その努力に免じて、ちゃんと壊さずにおいたじゃろうて。空気を読んだ妾の優しさに、いたく感じ入るがよいのじゃ」
「感じ入るわけないでしょ!? なにその発想、リアル破壊神なの!? まるで暴力が服を着て歩いているようだわっ! っていうか――」
そこで言葉を切ると、精霊さんが俺のほうを見た。
「そこの《神滅覇王》! 『知恵比べ』の一番の相手はアンタなのに、アンタだけ何もしてないじゃない!」
「え、俺?」
「だってそうでしょ! 精霊並の転移術を使う巫女エルフ。天性の閃きをもった幼女2人。記憶力抜群のカワイ子ちゃん。あとメチャクチャするワガママドラゴン――」
「いちいち煽らないでいいからね? 《神焉竜》を怒らせるとほんと怖いんだからね……?」
「なのに《神滅覇王》のアンタだけ見てるだけで何もしてないじゃない!」
「言われてみれば、確かに今回の俺って何もしてないな……」
はっ!?
「知恵比べ」バトルで全部見てるだけとか、実は俺ってアホキャラの立ち位置だったのか……!?
思わぬ事実を突きつけられて、愕然としてしまう俺だった。
「それは違うのじゃ。妾たちの手柄は主様の手柄なのじゃ。つまり全て主様がクリアしたと同義なのじゃ」
「なんていうオレ様理論!? ジャイアニズムなの!? さすがは《神滅覇王》ね!? っていうかさっきからものすっごく邪悪な波動を感じるんですけど!? さてはアンタ、悪いドラゴンね!」
「善悪などと矮小な精霊ごときの価値観で、この竜の王たる妾を計るでないわ」
《神焉竜》の瞳が凶悪な色に染まった。
強烈な殺気が精霊さんに向けて放たれる。
改めて説明する間でもないんだけれど。
今の《神焉竜》の姿は綺麗で可愛いお姉さんではなく、泣く子も黙る超凶悪なブラックドラゴンである。
つまりめちゃくちゃ怖かった。
しかし精霊さんはというと、そんな《神焉竜》の射殺すような視線を浴びせられながら、
「なに、アタシを脅そうってわけ? はん! ならこっちにも考えがあるんだからね!」
すげーわ、この状況で一歩も引かない精霊さんのメンタル、マジすげーわ……!
「ちょっと! ちょっとちょっと! ちょっとアンタたち一体なにしてくれちゃってんのよ!?」
すっ飛んできて激しく抗議をはじめた精霊さん。
だよなぁ……そりゃ怒るよなぁ……。
「なにと言われると? 空を飛んできたのじゃが?」
それに悪びれもせずしれっと答える《神焉竜》。
「空を飛んでまっすぐ迷路を攻略するヤツがどこにいんのよ!?」
「目の前におるじゃろうに」
「くっふぅぅぅぅ……っっっ! ああいえばこうゆう!? なんなのほんと! ほんとなに考えてんのよ、もう! アンビリーバボゥ! 信じらんない! っていうかアンタ、ドラゴンだったの!?」
「ええっ!? 精霊さん気付いてなかったの!?」
「なんで気付くのよ?」
……素で返された。
「なんでって。だってみんな《神焉竜》って呼んでたじゃん」
「てっきり、そういうオサレカッコイイ名前を名乗りたい『お年頃』なんだと思ってたわ? アタシそういうのに理解がある女の子だからねっ! いちいちツッコんだり野暮なことはしないんだからっ!」
変なところで気を回しすぎな精霊さんだった。
「ふむ、なら空を飛んで攻略することも、理解して納得したというわけじゃな」
「うがーっ! そんなわけないでしょうが!」
「まぁまぁ落ち着けって」
「これが落ち着いていられますか! 100年かけて作った『迷いの森』を、こんな無視するみたいなやり方で攻略されて!」
「その努力に免じて、ちゃんと壊さずにおいたじゃろうて。空気を読んだ妾の優しさに、いたく感じ入るがよいのじゃ」
「感じ入るわけないでしょ!? なにその発想、リアル破壊神なの!? まるで暴力が服を着て歩いているようだわっ! っていうか――」
そこで言葉を切ると、精霊さんが俺のほうを見た。
「そこの《神滅覇王》! 『知恵比べ』の一番の相手はアンタなのに、アンタだけ何もしてないじゃない!」
「え、俺?」
「だってそうでしょ! 精霊並の転移術を使う巫女エルフ。天性の閃きをもった幼女2人。記憶力抜群のカワイ子ちゃん。あとメチャクチャするワガママドラゴン――」
「いちいち煽らないでいいからね? 《神焉竜》を怒らせるとほんと怖いんだからね……?」
「なのに《神滅覇王》のアンタだけ見てるだけで何もしてないじゃない!」
「言われてみれば、確かに今回の俺って何もしてないな……」
はっ!?
「知恵比べ」バトルで全部見てるだけとか、実は俺ってアホキャラの立ち位置だったのか……!?
思わぬ事実を突きつけられて、愕然としてしまう俺だった。
「それは違うのじゃ。妾たちの手柄は主様の手柄なのじゃ。つまり全て主様がクリアしたと同義なのじゃ」
「なんていうオレ様理論!? ジャイアニズムなの!? さすがは《神滅覇王》ね!? っていうかさっきからものすっごく邪悪な波動を感じるんですけど!? さてはアンタ、悪いドラゴンね!」
「善悪などと矮小な精霊ごときの価値観で、この竜の王たる妾を計るでないわ」
《神焉竜》の瞳が凶悪な色に染まった。
強烈な殺気が精霊さんに向けて放たれる。
改めて説明する間でもないんだけれど。
今の《神焉竜》の姿は綺麗で可愛いお姉さんではなく、泣く子も黙る超凶悪なブラックドラゴンである。
つまりめちゃくちゃ怖かった。
しかし精霊さんはというと、そんな《神焉竜》の射殺すような視線を浴びせられながら、
「なに、アタシを脅そうってわけ? はん! ならこっちにも考えがあるんだからね!」
すげーわ、この状況で一歩も引かない精霊さんのメンタル、マジすげーわ……!
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