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異世界転生 12日目(後編)
第244話 最後の最後にこれだけ! ねっ、ねっ!?
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「答えはチョコレートです」
「……」
「えっと、チョコレートですよ……?」
「はい……正解です……」
しぶしぶ……って感じで正解を告げる精霊さん。
「おおっ! すごいぞウヅキ、すごすぎる! まさか歴史資料集まで頭の中に入っているなんて!」
しかも絵に描かれているお菓子の種類まで覚えてるとか、テストで全教科満点を叩きだしたのは伊達じゃない!
「くうっ……! こんなのありえないでしょ!? いいえ、こんなのはたまたま、たまたまの大まぐれよ! 大間の黒マグレよ! たまたまこの絵をしっかり見ていて、記憶に残ってただけ――そうに違いないわ! じゃあ次の問題!」
「いやなんで当たり前のように次の問題があるんだよ。ちゃんとウヅキが正解しただろ」
「ふーんだ、誰も一問で終わるなんて言ってないしー」
「おまえは負けたら『3回勝負だから』って言いだす小学生かよ……」
「まぁまぁセーヤさん、最後にもう1問くらいなら」
「ほら、その子だってそう言ってるじゃない」
「そりゃまぁウヅキが良いってんならいいけど……」
「ってわけで、コンセンサスを得たところで第2問!」
「どうぞ……!」
そうして再開した精霊さんvsウヅキの第2ラウンド。
「聖母マリアは全教科満点のグランドスラムを取れたのに、最後のテストだけわざと0点を取ることで順位を下げて、テストの成績が留学条件である友人の留学の夢をかなえてあげました。では、その友人の名前はなんでしょう?」
「おいこらちょっと待てや?」
「なによ?」
「一応確認させてくれ。その友人の名前ってのはそれなりに有名なんだろうな?」
「ちゃんと歴史資料集には載ってるわよ? 欄外にちっこくだけどね」
「誰がそんなもん見るんだよ!」
「どんなものでも、人生に無駄なものはないんだよねー」
やれやれーみたいな上から目線で、とってつけたような人生哲学を語ってくれちゃう精霊さん。
調子にのっている、明らかに調子にのっているぞ……!
それに、さすがのウヅキでもこんな細かい問題は――、
「アーニャですね」
ウヅキが即答し、
「……ふぇ?」
精霊さんがぽかーんとした。
「アナスタシア=タミナミ、愛称はアーニャです」
「……」
「えっと、アーニャです、よ?」
「あ、うん……正解……」
念を押すようなウヅキの問いかけに、精霊さんがしょぼーんって感じで答えた。
「おおっ! 半端ないって、ウヅキマジ半端ないって! 歴史資料集の欄外にちっこく載ってる、どう贔屓目に見てもテストには出ない友達の名前まで覚えているなんて!」
俺は改めてウヅキの記憶力に感心しきりだった。
これをテストの度に見せつけられたら、そりゃサーシャも心が折れるわな……。
「奥方殿のこの才能はほんに驚異的なのじゃ」
「おねぇ、ほんき」
「記憶力が良いとは聞いていましたが、まさかこれほどとは……」
「巫女エルフになりませんかー?」
《神焉竜》、ハヅキ、トワ、そして巫女エルフちゃんまでもがもろ手をあげてウヅキを褒めたたえた。
「いや、最後はなんかちょっとおかしいけど」
っていうか巫女エルフはエルフでしょ? なれるの?
――しかし納得いかないのが若干1名。
「いやいや、おかしいでしょ!? なんでこんなのまで覚えてるのよ!? しかもフルネームだし!」
「えへへ、記憶力には自信があるんです……」
「くぅぅっ! ぜんぜん弱っちそうなくせに……意外な伏兵!」
言って、むきー!って地団太を踏んで悔しがる精霊さん。
いや精霊さんは浮いてるから実際には踏んでないんだけど、そんな感じの動きをしたんだよ。
「じゃあ今度こそウヅキの勝ちで――」
「だ、第3問!」
「……おいこら、なにが第3問だ。さっき最後って言っただろ」
「最後の最後にこれだけ! ねっ、ねっ!?」
「本当に往生際の悪いやつだな……」
「まぁまぁセーヤさん、もう1問だけ」
「まぁウヅキがそう言うんなら……」
「アンタ話が分かるわね! じゃあ第3問! 聖母マリアは自身のメイドのことをいつも気にかけていました。では問題です、次の専属メイドを聖母マリアに仕えた順に並べなさい」
言いながら精霊さんが掲げたパネルには、4人の名前が書かれていて――、
「ミスティ、ナスターシャ、ウェルシア、アイリーンの順ですね」
「こふぅ……っっ!? これまた即答っ!?」
それを見たウヅキがサクッと瞬殺してみせた。
「じゃ、じゃあ次――」
…………
……
その後。
なんだかんだで最終的に50問の歴史問題が出題され、しかしそのことごとくを即答してみせたウヅキ。
「ありえない、ありえないわ……あはははは……あ、分かった! これはきっと夢なんだ! もうリアルな夢ね、まったく……あは、あははははは……」
完膚なきまでに叩きのめされ、しまいには現実逃避を始めた精霊さん。
その手から、歴史資料集がするっと滑り落ちた――。
「……」
「えっと、チョコレートですよ……?」
「はい……正解です……」
しぶしぶ……って感じで正解を告げる精霊さん。
「おおっ! すごいぞウヅキ、すごすぎる! まさか歴史資料集まで頭の中に入っているなんて!」
しかも絵に描かれているお菓子の種類まで覚えてるとか、テストで全教科満点を叩きだしたのは伊達じゃない!
「くうっ……! こんなのありえないでしょ!? いいえ、こんなのはたまたま、たまたまの大まぐれよ! 大間の黒マグレよ! たまたまこの絵をしっかり見ていて、記憶に残ってただけ――そうに違いないわ! じゃあ次の問題!」
「いやなんで当たり前のように次の問題があるんだよ。ちゃんとウヅキが正解しただろ」
「ふーんだ、誰も一問で終わるなんて言ってないしー」
「おまえは負けたら『3回勝負だから』って言いだす小学生かよ……」
「まぁまぁセーヤさん、最後にもう1問くらいなら」
「ほら、その子だってそう言ってるじゃない」
「そりゃまぁウヅキが良いってんならいいけど……」
「ってわけで、コンセンサスを得たところで第2問!」
「どうぞ……!」
そうして再開した精霊さんvsウヅキの第2ラウンド。
「聖母マリアは全教科満点のグランドスラムを取れたのに、最後のテストだけわざと0点を取ることで順位を下げて、テストの成績が留学条件である友人の留学の夢をかなえてあげました。では、その友人の名前はなんでしょう?」
「おいこらちょっと待てや?」
「なによ?」
「一応確認させてくれ。その友人の名前ってのはそれなりに有名なんだろうな?」
「ちゃんと歴史資料集には載ってるわよ? 欄外にちっこくだけどね」
「誰がそんなもん見るんだよ!」
「どんなものでも、人生に無駄なものはないんだよねー」
やれやれーみたいな上から目線で、とってつけたような人生哲学を語ってくれちゃう精霊さん。
調子にのっている、明らかに調子にのっているぞ……!
それに、さすがのウヅキでもこんな細かい問題は――、
「アーニャですね」
ウヅキが即答し、
「……ふぇ?」
精霊さんがぽかーんとした。
「アナスタシア=タミナミ、愛称はアーニャです」
「……」
「えっと、アーニャです、よ?」
「あ、うん……正解……」
念を押すようなウヅキの問いかけに、精霊さんがしょぼーんって感じで答えた。
「おおっ! 半端ないって、ウヅキマジ半端ないって! 歴史資料集の欄外にちっこく載ってる、どう贔屓目に見てもテストには出ない友達の名前まで覚えているなんて!」
俺は改めてウヅキの記憶力に感心しきりだった。
これをテストの度に見せつけられたら、そりゃサーシャも心が折れるわな……。
「奥方殿のこの才能はほんに驚異的なのじゃ」
「おねぇ、ほんき」
「記憶力が良いとは聞いていましたが、まさかこれほどとは……」
「巫女エルフになりませんかー?」
《神焉竜》、ハヅキ、トワ、そして巫女エルフちゃんまでもがもろ手をあげてウヅキを褒めたたえた。
「いや、最後はなんかちょっとおかしいけど」
っていうか巫女エルフはエルフでしょ? なれるの?
――しかし納得いかないのが若干1名。
「いやいや、おかしいでしょ!? なんでこんなのまで覚えてるのよ!? しかもフルネームだし!」
「えへへ、記憶力には自信があるんです……」
「くぅぅっ! ぜんぜん弱っちそうなくせに……意外な伏兵!」
言って、むきー!って地団太を踏んで悔しがる精霊さん。
いや精霊さんは浮いてるから実際には踏んでないんだけど、そんな感じの動きをしたんだよ。
「じゃあ今度こそウヅキの勝ちで――」
「だ、第3問!」
「……おいこら、なにが第3問だ。さっき最後って言っただろ」
「最後の最後にこれだけ! ねっ、ねっ!?」
「本当に往生際の悪いやつだな……」
「まぁまぁセーヤさん、もう1問だけ」
「まぁウヅキがそう言うんなら……」
「アンタ話が分かるわね! じゃあ第3問! 聖母マリアは自身のメイドのことをいつも気にかけていました。では問題です、次の専属メイドを聖母マリアに仕えた順に並べなさい」
言いながら精霊さんが掲げたパネルには、4人の名前が書かれていて――、
「ミスティ、ナスターシャ、ウェルシア、アイリーンの順ですね」
「こふぅ……っっ!? これまた即答っ!?」
それを見たウヅキがサクッと瞬殺してみせた。
「じゃ、じゃあ次――」
…………
……
その後。
なんだかんだで最終的に50問の歴史問題が出題され、しかしそのことごとくを即答してみせたウヅキ。
「ありえない、ありえないわ……あはははは……あ、分かった! これはきっと夢なんだ! もうリアルな夢ね、まったく……あは、あははははは……」
完膚なきまでに叩きのめされ、しまいには現実逃避を始めた精霊さん。
その手から、歴史資料集がするっと滑り落ちた――。
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