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異世界転生 8日目

第139.5話 最強のシナジー

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「ウォォォォオオオオオンン!」
「おおおおぉぉぉぉっっっ!!」

 《シュプリームウルフ》の嵐のような猛攻が続く中、俺はかわし、受け流し、時には強引に弾き返しながらも、虎視眈々こしたんたん反撃カウンターのタイミングを探っていく。

 チャンスはおそらく、そうはないだろう。
 だが多くは必要ない。
 いいや、今の俺なら一度のチャンスがあれば十分だ……!

 そして、さらに激しくやり合う中で――、
「っ! ここだ――!」

 今までは受け止めていた攻撃――しかし既に『龍眼』によって完全に見切っている右爪の振り下ろし。
 体重がしっかり乗った強烈な振り下ろしは、当たれば一撃必殺の威力をもつ要注意・要チェックの攻撃だ。

 しかしそれは強烈な分だけ技の後にわずかだが、次の動作に移れない技後硬直があった――!

 俺は右爪の振り下ろしをギリギリまで引きつけると、日本刀クサナギを瞬時に納刀しながら、左足を軸に時計回りにクルッと背中側へと回転する。

 円運動の体捌きによってヒラリと爪撃そうげきを回避すると、その動きの流れのままに一回転しながら日本刀クサナギを抜刀した――!

「世界よ、真白ましろまたたけ――」

 それは戦闘系S級チート『剣聖』の最終奥義――!

 抜刀とともに爆発的に解放された剣気が、光輝ひかりとなってきらめいて――!

「剣気解放――、《紫電一閃しでんいっせん》!!」

 ギャリギャリッ、ギャガガツン――――ッ!!

 車がコンクリート壁に突っ込んだような、大気を震わす激突音が夜の平原に鳴り響いた。
 必殺の奥義でもって、刀の腹で居合抜きに《シュプリームウルフ》の後頭部に強烈な一撃を叩き込んだのだ!

「ァグッ――、ガッ――」
 それは世界を真白ましろく染める閃光。刹那のきらめき。
 そしてこの戦いで俺が初めて放った攻撃だった。

 しかしそのたったの一撃で、4メートルを超える巨狼はグラリと腰砕けに崩れ落ちる。
 脳震盪をおこしたのだ。

「ふぅ、ま、こんなもんか。しかし『剣聖』と『龍眼』の組み合わせは、文字通り反則チートだよな……」

 知覚系S級チート『龍眼』が相手を分析して丸裸にし、それを元に戦闘系の最強チートである『剣聖』が最良の戦術を組み立てるする。
 特に《シュプリームウルフ》のような技術ではなく力と速さに物を言わせた「野性的な接近戦タイプ」は、この『龍眼』&『剣聖』が特にハマるタイプと言ってもいいだろう。

「むしろ『真なる龍眼』によって俺の『龍眼』が完全無効化される上に、『剣聖』の攻撃力じゃ何をどうしても通らない異次元の防御力をもった《神焉竜》と当たったのが、そもそもの間違いだったんだよな……」
 相性最悪の相手といきなり初手からマッチングしてしまったのだから。

「でもま、普通にやれれば、S級とS級で合わせてSS級……とまでは言わないけど、この組み合わせシナジーはそれに近い力が出せるってわけさ」

「セーヤ様、鮮やかすぎる手際、本当に凄いのですわ!」

 戦いが終わるとともに、興奮冷めやらぬって顔のサーシャが駆け寄ってきた。
 そしてそのままギュッと左腕に抱き着いてくる。

 その感触は……まぁなんていうの?
 人それぞれ、それもまた個性でいいんじゃないかと思います。

「さて、と」
 言って俺は日本刀クサナギを這いつくばる巨狼の鼻先へと突きつけた。

「《シュプリームウルフ》……でいいんだよな? お前には聞きたいことがある。洗いざらい喋ってもらうぜ?」
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