134 / 566
異世界転生 7日目
第129話 低湿地ぱい
しおりを挟む
とまぁそんな感じでウヅキとサーシャと俺との三人で、お茶を飲みながら楽しく話をしていると、
「おねぇ、きがえた……」
今度はハヅキが居間へとやってきた。
着替えを手伝ってくれたのだろう、サーシャ専属メイドのクリスさんも一緒である。
そのハヅキの姿はというと、これまたえらく可愛らしい服を着ていた。
つまりこれが――、
「サーシャにもらった服か……うんうん、良く似合ってるじゃないか。サイズもピッタリみたいだし。すごく可愛いぞ」
「うにゅ、まなしー、ありがと……」
可愛らしく照れりこするハヅキ。
「ははっ、ちゃんとサーシャにもお礼言うんだぞ?」
「うん、サーシャ、ありがと……」
「いいえ、どういたしまして。それにしてもよく似合ってますわね! 本当になんて可愛いのかしら……! ねぇ、ハヅキちゃん? わたくしのことも親しみを込めて『おねぇ』と呼んでくださって構わないのですわよ?」
浮かれた様子で語りかけるサーシャだが、
「ううん、おねぇは、おねぇだけ」
「そ、そうですか……そうですわよね……」
断られて一転、しょぼーんとなってしまう。
ハヅキってばそのへん意外とシビアなんだな……と思っていたら、
「だから、サシャねぇ」
「え?」
「サーシャは、サシャねぇって、よぶ」
「……っ!」
ハヅキのその言葉で、サーシャの顔がパァッと一気にほころんだのだった。
うむうむ、女の子の笑顔はいいものだよ、それだけで男の子は元気になれるのだ。
サーシャはさ、最初こそ嫌な感じだったけどこうやって仲良くなってみると、とても感情の起伏にとんだいい子なんだよな。
時々ちょっと起伏が激しすぎるみたいだけれど。
ま、まぁでもほら?
それもまた個性、みたいな?
「おようふく、ありがと、サシャねぇ」
「いいえ! いいえいいえ! 良いのですわ、わたくしがもう着れなくなったお古ですもの! 全然かまいませんわ!」
「でも、本当にいいんですか? すごく可愛くて生地も薄いのにしっかりしてて、縫製もすごく繊細で丁寧ですし――」
サシャねぇと呼ばれてテンションアゲアゲなサーシャとは対照的に、ウヅキはちょっと申し訳なさそうな顔をしている。
「おねぇのも、あれば、よかった、のにね」
「し、仕方がないじゃありませんか! そもそもわたくしの方がウヅキより背が低いのですし、それに、む、むむ……胸のサイズが少々合わないのですから……」
「しょーしょー?」
ハヅキが二人の胸を見比べてから、不思議そうに小首をかしげた。
「ううっ……! 何の裏もない正直すぎる反応……ああ、今のわたくしは、さながら見えない服を着飾ろうとした馬鹿な王様ですわ……ええ、そうですわね! わたくしは素直にただ一つの事実を認めなくてはなりませんわ! 今のわたくしときたら、本当につまらない見栄を張ってしまいましたの……っ!」
純真無垢なハヅキの正直すぎる反応を見せられ、がっくりと肩を落として懺悔するサーシャ。
「わたくしもトラヴィスの女です! 事ここに至っては潔く訂正いたしますわ! 少々ではなく、全然おっぱいのサイズが違うから何をどうやったって無理なんですわーー!!」
「サーシャ、こういうのはただの個人差ですから気にしちゃいけませんよ」
ウヅキが持ち前の優しさでもって、そっと助け船を出そうとしたんだけど、
「それをウヅキが言います!? 言っちゃいます!? ハヅキちゃんとまったく胸のサイズが変わらないわたくしに、世代最強の呼び声高いウヅキがそれ言っちゃいます!?」
はい、完全な追い打ちでした。
「おい、サーシャ、目が据わってるぞ……」
お嬢さま口調も完全にどっか行っちゃってるし。
っていうかやっぱ女の子から見ても世代最強クラスなんだな、ウヅキのおっぱいは……ごくり。
「ふふっ、みなさんどうぞお笑いになって……我慢などなさらずに、好きなだけ笑ってくれてよろしいのですわ……先日の身体測定でも、トップとアンダーの差がまさかのマイナスになってしまった、この惨めなわたくしのことを……」
「えーと……その……」
「うにゅ?」
「い、いや、まぁそのなんだ、そういうことも、あるかも、っていう……?」
なにそれ笑えねぇ……マジ笑えねぇ……。
「それを見た計測係の人のお情けで、記録上だけは差し引きゼロにしてもらった……そんな、実は海抜ゼロですらない、この憐れな低湿地帯のようなおっぱいを! 悲しみの涙に湿気る低湿地ぱいだと、笑えばよいのですわーー!!」
サクライ家に、悲しみに染まったサーシャの慟哭が響き渡った今日この頃。
世の中にはいろんな格差があるけれど、なにはともあれ平和な日常であることは素晴らしいことだと思います。
「おねぇ、きがえた……」
今度はハヅキが居間へとやってきた。
着替えを手伝ってくれたのだろう、サーシャ専属メイドのクリスさんも一緒である。
そのハヅキの姿はというと、これまたえらく可愛らしい服を着ていた。
つまりこれが――、
「サーシャにもらった服か……うんうん、良く似合ってるじゃないか。サイズもピッタリみたいだし。すごく可愛いぞ」
「うにゅ、まなしー、ありがと……」
可愛らしく照れりこするハヅキ。
「ははっ、ちゃんとサーシャにもお礼言うんだぞ?」
「うん、サーシャ、ありがと……」
「いいえ、どういたしまして。それにしてもよく似合ってますわね! 本当になんて可愛いのかしら……! ねぇ、ハヅキちゃん? わたくしのことも親しみを込めて『おねぇ』と呼んでくださって構わないのですわよ?」
浮かれた様子で語りかけるサーシャだが、
「ううん、おねぇは、おねぇだけ」
「そ、そうですか……そうですわよね……」
断られて一転、しょぼーんとなってしまう。
ハヅキってばそのへん意外とシビアなんだな……と思っていたら、
「だから、サシャねぇ」
「え?」
「サーシャは、サシャねぇって、よぶ」
「……っ!」
ハヅキのその言葉で、サーシャの顔がパァッと一気にほころんだのだった。
うむうむ、女の子の笑顔はいいものだよ、それだけで男の子は元気になれるのだ。
サーシャはさ、最初こそ嫌な感じだったけどこうやって仲良くなってみると、とても感情の起伏にとんだいい子なんだよな。
時々ちょっと起伏が激しすぎるみたいだけれど。
ま、まぁでもほら?
それもまた個性、みたいな?
「おようふく、ありがと、サシャねぇ」
「いいえ! いいえいいえ! 良いのですわ、わたくしがもう着れなくなったお古ですもの! 全然かまいませんわ!」
「でも、本当にいいんですか? すごく可愛くて生地も薄いのにしっかりしてて、縫製もすごく繊細で丁寧ですし――」
サシャねぇと呼ばれてテンションアゲアゲなサーシャとは対照的に、ウヅキはちょっと申し訳なさそうな顔をしている。
「おねぇのも、あれば、よかった、のにね」
「し、仕方がないじゃありませんか! そもそもわたくしの方がウヅキより背が低いのですし、それに、む、むむ……胸のサイズが少々合わないのですから……」
「しょーしょー?」
ハヅキが二人の胸を見比べてから、不思議そうに小首をかしげた。
「ううっ……! 何の裏もない正直すぎる反応……ああ、今のわたくしは、さながら見えない服を着飾ろうとした馬鹿な王様ですわ……ええ、そうですわね! わたくしは素直にただ一つの事実を認めなくてはなりませんわ! 今のわたくしときたら、本当につまらない見栄を張ってしまいましたの……っ!」
純真無垢なハヅキの正直すぎる反応を見せられ、がっくりと肩を落として懺悔するサーシャ。
「わたくしもトラヴィスの女です! 事ここに至っては潔く訂正いたしますわ! 少々ではなく、全然おっぱいのサイズが違うから何をどうやったって無理なんですわーー!!」
「サーシャ、こういうのはただの個人差ですから気にしちゃいけませんよ」
ウヅキが持ち前の優しさでもって、そっと助け船を出そうとしたんだけど、
「それをウヅキが言います!? 言っちゃいます!? ハヅキちゃんとまったく胸のサイズが変わらないわたくしに、世代最強の呼び声高いウヅキがそれ言っちゃいます!?」
はい、完全な追い打ちでした。
「おい、サーシャ、目が据わってるぞ……」
お嬢さま口調も完全にどっか行っちゃってるし。
っていうかやっぱ女の子から見ても世代最強クラスなんだな、ウヅキのおっぱいは……ごくり。
「ふふっ、みなさんどうぞお笑いになって……我慢などなさらずに、好きなだけ笑ってくれてよろしいのですわ……先日の身体測定でも、トップとアンダーの差がまさかのマイナスになってしまった、この惨めなわたくしのことを……」
「えーと……その……」
「うにゅ?」
「い、いや、まぁそのなんだ、そういうことも、あるかも、っていう……?」
なにそれ笑えねぇ……マジ笑えねぇ……。
「それを見た計測係の人のお情けで、記録上だけは差し引きゼロにしてもらった……そんな、実は海抜ゼロですらない、この憐れな低湿地帯のようなおっぱいを! 悲しみの涙に湿気る低湿地ぱいだと、笑えばよいのですわーー!!」
サクライ家に、悲しみに染まったサーシャの慟哭が響き渡った今日この頃。
世の中にはいろんな格差があるけれど、なにはともあれ平和な日常であることは素晴らしいことだと思います。
0
お気に入りに追加
1,938
あなたにおすすめの小説
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる