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異世界転生 2日目
第25話 「えへへー♪ えへへー♪」
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「えへへー♪ えへへー♪」
嬉しくて堪らないって感じのにこにこウヅキと連れ立って居間へと向かうと、そこには既に朝食――いやもう昼食になるのだろうか――が用意されていた。
ウヅキとハヅキ、グンマさんと俺とで食卓を囲んでいただきますをする。
鳥の香草蒸し、おひたし、白ごはんのメニューだった。
「この鶏さっぱりしてるのに、旨みはこれでもかってくらいにしっかりあるんだよな」
香草により引き立てられた鶏の旨みがこれでもかと食欲を刺激し、これまたとっても美味しくて、どんどんと箸が進んでゆく。
「セーヤさんに気に入ってもらえて良かったです。頑張って作った甲斐がありました、えへへ」
「ほんと美味しいよ、うん。ウヅキは将来いいお嫁さんになるだろうな」
「はわっ! お、お嫁さんっ!?」
ウヅキは一瞬ビクン!と硬直すると、上目づかいでチラッとこっちを見て、すぐに慌てたように目を逸らした。
「あ、いや、そんな特別な意味があって意味があって言ったわけではなくて……」
ちょ、今、ナチュラルにベタなセリフを口走ってたぞ……!?
深夜アニメ見過ぎの弊害か!?
なんていうか異世界転生が順風満帆過ぎて、ちょっと調子に乗ってる感がなくもない!
しかも母性本能をくすぐるラブコメ系A級チート『将来はいいお嫁さん』が発動しているのだ!
「あのっ! セーヤさんは、その、料理が上手な女の子が、す、好き、なんですか……?」
おそるおそる聞いてくるウヅキ。
勇気出して聞いてみちゃった! ってのがよくわかるくらいに、顔が真っ赤になっていた。
「あ、うん、まぁ、そうかな。家庭的って感じがするし、好みのタイプだと思う」
「よかったぁ……あの、わたし、これからもっとお料理頑張りますから!」
「もう今でも十分に上手だと思うけど、うん楽しみにしてるね」
ちなみにグンマさんは終始優しい目で見守ってくれており、ハヅキはご飯を食べるのに夢中になっていた。
こそばゆい雰囲気の中、だいたい半分くらい食べ終えた時だった。
ところで、とグンマさんは前置きすると、
「村の住民には朝のうちに伝えたのですが、実は昨日、急な村長会議がありましての。マナシロさまにもその内容を伝えておこうと思いまして」
そう切り出した。
グンマさんが語ったことによると、最近この近くの森のどこかに妖魔の群れが住み着いたらしい。
街にいる帝国駐留騎士団(帝国が各地に配備している防衛任務にあたる騎士団だそうだ)は有事即応体制をとっており、近く大規模な討伐隊が編成されるとのことだった。
「そのせいでわたしも襲われたんですね……」
昨日の恐怖を思い出したのか、しょんぼりと肩を落とすウヅキ。
「しばらくは寄り道をせずに、絶対に街道からは離れぬようにな」
「うん、おじいちゃん」
「ハヅキもあまり遠くまで遊びにいってはならんぞ」
「うにゅ、きを、つける」
そんなハヅキは早々に自分のご飯を食べ終えると、胡座をかいた俺の上にすっぽり収まりながら甘えるようにちょこんと座っていた。
病気を治してくれた恩人だとでも思っているのだろうか、なんかこうえらく懐かれたというか、一人っ子の俺にはまるで急に妹ができたみたいで可愛らしいことこの上ないのだった。
俺はどちらかというと低めは見逃し三振オッケーで、優しくてえっちなお姉さんタイプが好きなんだけど、こうやって甘えてこられると意外とぺたんこ妹系もありだな、と思わなくもない。
それくらい保護欲をくすぐられるというか甘え上手っていううか、小動物に懐かれてるみたいで、なんだかほっこりするのだった。
少し物騒な話を聞かされながらも、それ以外は終始、和気あいあいとした楽しい昼食を大方食べ終わった頃だった。
「大変だ、村長!」
村人だろうか、中年男性が一人、慌てた様子で駆け込んできた――
嬉しくて堪らないって感じのにこにこウヅキと連れ立って居間へと向かうと、そこには既に朝食――いやもう昼食になるのだろうか――が用意されていた。
ウヅキとハヅキ、グンマさんと俺とで食卓を囲んでいただきますをする。
鳥の香草蒸し、おひたし、白ごはんのメニューだった。
「この鶏さっぱりしてるのに、旨みはこれでもかってくらいにしっかりあるんだよな」
香草により引き立てられた鶏の旨みがこれでもかと食欲を刺激し、これまたとっても美味しくて、どんどんと箸が進んでゆく。
「セーヤさんに気に入ってもらえて良かったです。頑張って作った甲斐がありました、えへへ」
「ほんと美味しいよ、うん。ウヅキは将来いいお嫁さんになるだろうな」
「はわっ! お、お嫁さんっ!?」
ウヅキは一瞬ビクン!と硬直すると、上目づかいでチラッとこっちを見て、すぐに慌てたように目を逸らした。
「あ、いや、そんな特別な意味があって意味があって言ったわけではなくて……」
ちょ、今、ナチュラルにベタなセリフを口走ってたぞ……!?
深夜アニメ見過ぎの弊害か!?
なんていうか異世界転生が順風満帆過ぎて、ちょっと調子に乗ってる感がなくもない!
しかも母性本能をくすぐるラブコメ系A級チート『将来はいいお嫁さん』が発動しているのだ!
「あのっ! セーヤさんは、その、料理が上手な女の子が、す、好き、なんですか……?」
おそるおそる聞いてくるウヅキ。
勇気出して聞いてみちゃった! ってのがよくわかるくらいに、顔が真っ赤になっていた。
「あ、うん、まぁ、そうかな。家庭的って感じがするし、好みのタイプだと思う」
「よかったぁ……あの、わたし、これからもっとお料理頑張りますから!」
「もう今でも十分に上手だと思うけど、うん楽しみにしてるね」
ちなみにグンマさんは終始優しい目で見守ってくれており、ハヅキはご飯を食べるのに夢中になっていた。
こそばゆい雰囲気の中、だいたい半分くらい食べ終えた時だった。
ところで、とグンマさんは前置きすると、
「村の住民には朝のうちに伝えたのですが、実は昨日、急な村長会議がありましての。マナシロさまにもその内容を伝えておこうと思いまして」
そう切り出した。
グンマさんが語ったことによると、最近この近くの森のどこかに妖魔の群れが住み着いたらしい。
街にいる帝国駐留騎士団(帝国が各地に配備している防衛任務にあたる騎士団だそうだ)は有事即応体制をとっており、近く大規模な討伐隊が編成されるとのことだった。
「そのせいでわたしも襲われたんですね……」
昨日の恐怖を思い出したのか、しょんぼりと肩を落とすウヅキ。
「しばらくは寄り道をせずに、絶対に街道からは離れぬようにな」
「うん、おじいちゃん」
「ハヅキもあまり遠くまで遊びにいってはならんぞ」
「うにゅ、きを、つける」
そんなハヅキは早々に自分のご飯を食べ終えると、胡座をかいた俺の上にすっぽり収まりながら甘えるようにちょこんと座っていた。
病気を治してくれた恩人だとでも思っているのだろうか、なんかこうえらく懐かれたというか、一人っ子の俺にはまるで急に妹ができたみたいで可愛らしいことこの上ないのだった。
俺はどちらかというと低めは見逃し三振オッケーで、優しくてえっちなお姉さんタイプが好きなんだけど、こうやって甘えてこられると意外とぺたんこ妹系もありだな、と思わなくもない。
それくらい保護欲をくすぐられるというか甘え上手っていううか、小動物に懐かれてるみたいで、なんだかほっこりするのだった。
少し物騒な話を聞かされながらも、それ以外は終始、和気あいあいとした楽しい昼食を大方食べ終わった頃だった。
「大変だ、村長!」
村人だろうか、中年男性が一人、慌てた様子で駆け込んできた――
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