ブラック社畜の俺、部屋でアニメを見ていたら説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と元気に勇者やってます!
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
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第57話 エピローグ
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戦争が終わり平和になった世界で。
一番初めのメンデル指令との約束通り、金銀財宝を貰ってリュスターナも嫁に貰った俺は、いい感じのお屋敷を買って悠々自適の生活を始めた。
「勇者様♡ はい、あーん♡」
リュスターナの差し出した手作りチョコチップクッキーを、俺はパクリと口で咥えた。
甘すぎない生地に、チョコチップの甘みが乗って絶妙な美味しさだ。
「うん、うまい。リュスターナは料理だけじゃなくてお菓子作りも上手なんだなぁ」
「えへへ、喜んでもらえてよかったです♡ もう一つどうぞ♡ はい、あーん♡」
差し出されたチョコチップクッキーをまたまたパクリと咥える。
もぐもぐ……ごくん。
「あれからドラゴンたちはおおむね静かなもんだし、平和だなぁ」
「実質的にドラゴンたちのトップになったハイペリオルドラゴンが、人間に危害を加えないように厳命しているそうですよ」
「あのドラゴン、ほんといいドラゴンだよな」
「ハイペリオルドラゴンがにらみをきかせてくれているなら、人類もこれからしばらくは安心できますよね」
「でもメイリンに聞いたんだけどさ。大魔竜ドラグバーンの掲げたドラゴン至上主義を信奉する反乱分子が、まだ一部しぶとく残ってるんだろ?」
メイリンは戦争が終わった今もまだなお、情報収集や戦後処理など様々なことを戦時中と同じか、むしろそれ以上のレベルで行っているらしい。
『戦後の混乱期はなにが起こるか分からないからね。社会が安定するまでは気が抜けないのさ』
とかなんとか言っていた。
大魔竜ドラグバーンを倒して休戦したことで、全て終わってめでたしめでたし――とか単純に思っていた俺とはえらい違いである。
「それでしたらミストルティアが片っ端から出向いていって、これでもかと完膚なきまでに徹底して壊滅してまわってるそうですよ」
「ミストルティアの言う『徹底して壊滅』は文字通り『徹底して壊滅』なんだろうな……」
ミストルティアときたら、敵対するなら実の親ですら容赦なく殺そうとするのだ。
それこそ反乱分子なんざ、見つけた瞬間に皆殺しにしていることだろう。
そんな話をしていると、
「ヤッホー! おにーさん、リュスターナさん、遊びに来たよー♪」
噂のミストルティアがひょこっと現れた。
もちろん人間の姿をしている。
「こんにちは、ミストルティア」
「よ、ミストルティア。相変わらず元気そうだな」
「あ、チョコチップクッキーだ! ボクも食べる!」
テーブルの上のチョコチップクッキーをめざとく見つけたミストルティアは、挨拶もそこそこにテーブルに駆け寄った。
「ふふっ、どうぞ召し上がれ」
「わーい! もぐもぐ、ごくん……とってもおいしい! いっぱい食べてもいい?」
「たくさん焼いたので大丈夫ですよ」
「やったぁ♪ リュスターナさんは優しいから大好き!」
「ふふっ、ありがとうございます」
なんか年の離れた姉妹みたいだな。
実年齢は長命のドラゴンのミストルティアの方がだいぶ上なんだろうけど。
「ねぇねぇ、盛り上がってたみたいだけど2人で何の話してたの?」
「お前が反乱分子を容赦なく皆殺しにしてるって話だよ」
「ふぇ? ボクそんなことしてないよ?」
「ほんとかよ? 見つけ次第ぶち殺してるんだろ?」
「そんなことないもーん。ちゃんと話し合って、それでも聞いてくれない時は、仕方ないからぶち殺すだけだもーん」
「なんか聞いてた話と違うな?」
「ボクの悪い噂をばらまくなんてひどいヤツがいるもんだね! プンプンだ!」
ミストルティアがほっぺを膨らませてぶーたれる。
「しかしお前が説得だなんて、ちょっと見ない間に大人になったもんだなぁ。ちなみに説得ってどんな風にやってるんだ?」
「うーんとね、こんな感じ」
ミストルティアが自信満々で(下手くそな)一人二役の劇を始めた。
『おい、そこのドラゴン! これからは昔みたいに人間とは仲よくするんだぞ!』
『断る!』
『じゃあ死ね!』
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!』
「こんな感じだよ♪」
「それのどこが説得だってんだよ!? なにが『じゃあ死ね!』だ! 説得以前に、過程すっ飛ばし過ぎてもはや会話にすらなってねぇよ!」
まったく。
どうせそんなこったろうと思ったよ。
「ええー、そんなことないしー。ね、リュスターナさん♪」
「えーとその、あー……どうでしょう? あはは……」
心優しいリュスターナは笑って誤魔化すことにしたようだった。
ともあれ。
まだ少し問題は残っているものの、俺の活躍によって世界は一応の平穏を取り戻した。
メイリンやハイペリオルドラゴンはしばらく戦後処理に忙殺されているだろうけど、そういう小難しいことはやっぱり頭のいい皆さんにお任せするとして。
極めて平凡な頭脳しか持たない勇者の俺は、平和な世の中をリュスターナやミストルティアと一緒に満喫するとしよう。
願わくば、もう二度と勇者の力を戦争で使うことがありませんように――。
ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制送還される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に勇者やってます! (完)
一番初めのメンデル指令との約束通り、金銀財宝を貰ってリュスターナも嫁に貰った俺は、いい感じのお屋敷を買って悠々自適の生活を始めた。
「勇者様♡ はい、あーん♡」
リュスターナの差し出した手作りチョコチップクッキーを、俺はパクリと口で咥えた。
甘すぎない生地に、チョコチップの甘みが乗って絶妙な美味しさだ。
「うん、うまい。リュスターナは料理だけじゃなくてお菓子作りも上手なんだなぁ」
「えへへ、喜んでもらえてよかったです♡ もう一つどうぞ♡ はい、あーん♡」
差し出されたチョコチップクッキーをまたまたパクリと咥える。
もぐもぐ……ごくん。
「あれからドラゴンたちはおおむね静かなもんだし、平和だなぁ」
「実質的にドラゴンたちのトップになったハイペリオルドラゴンが、人間に危害を加えないように厳命しているそうですよ」
「あのドラゴン、ほんといいドラゴンだよな」
「ハイペリオルドラゴンがにらみをきかせてくれているなら、人類もこれからしばらくは安心できますよね」
「でもメイリンに聞いたんだけどさ。大魔竜ドラグバーンの掲げたドラゴン至上主義を信奉する反乱分子が、まだ一部しぶとく残ってるんだろ?」
メイリンは戦争が終わった今もまだなお、情報収集や戦後処理など様々なことを戦時中と同じか、むしろそれ以上のレベルで行っているらしい。
『戦後の混乱期はなにが起こるか分からないからね。社会が安定するまでは気が抜けないのさ』
とかなんとか言っていた。
大魔竜ドラグバーンを倒して休戦したことで、全て終わってめでたしめでたし――とか単純に思っていた俺とはえらい違いである。
「それでしたらミストルティアが片っ端から出向いていって、これでもかと完膚なきまでに徹底して壊滅してまわってるそうですよ」
「ミストルティアの言う『徹底して壊滅』は文字通り『徹底して壊滅』なんだろうな……」
ミストルティアときたら、敵対するなら実の親ですら容赦なく殺そうとするのだ。
それこそ反乱分子なんざ、見つけた瞬間に皆殺しにしていることだろう。
そんな話をしていると、
「ヤッホー! おにーさん、リュスターナさん、遊びに来たよー♪」
噂のミストルティアがひょこっと現れた。
もちろん人間の姿をしている。
「こんにちは、ミストルティア」
「よ、ミストルティア。相変わらず元気そうだな」
「あ、チョコチップクッキーだ! ボクも食べる!」
テーブルの上のチョコチップクッキーをめざとく見つけたミストルティアは、挨拶もそこそこにテーブルに駆け寄った。
「ふふっ、どうぞ召し上がれ」
「わーい! もぐもぐ、ごくん……とってもおいしい! いっぱい食べてもいい?」
「たくさん焼いたので大丈夫ですよ」
「やったぁ♪ リュスターナさんは優しいから大好き!」
「ふふっ、ありがとうございます」
なんか年の離れた姉妹みたいだな。
実年齢は長命のドラゴンのミストルティアの方がだいぶ上なんだろうけど。
「ねぇねぇ、盛り上がってたみたいだけど2人で何の話してたの?」
「お前が反乱分子を容赦なく皆殺しにしてるって話だよ」
「ふぇ? ボクそんなことしてないよ?」
「ほんとかよ? 見つけ次第ぶち殺してるんだろ?」
「そんなことないもーん。ちゃんと話し合って、それでも聞いてくれない時は、仕方ないからぶち殺すだけだもーん」
「なんか聞いてた話と違うな?」
「ボクの悪い噂をばらまくなんてひどいヤツがいるもんだね! プンプンだ!」
ミストルティアがほっぺを膨らませてぶーたれる。
「しかしお前が説得だなんて、ちょっと見ない間に大人になったもんだなぁ。ちなみに説得ってどんな風にやってるんだ?」
「うーんとね、こんな感じ」
ミストルティアが自信満々で(下手くそな)一人二役の劇を始めた。
『おい、そこのドラゴン! これからは昔みたいに人間とは仲よくするんだぞ!』
『断る!』
『じゃあ死ね!』
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!』
「こんな感じだよ♪」
「それのどこが説得だってんだよ!? なにが『じゃあ死ね!』だ! 説得以前に、過程すっ飛ばし過ぎてもはや会話にすらなってねぇよ!」
まったく。
どうせそんなこったろうと思ったよ。
「ええー、そんなことないしー。ね、リュスターナさん♪」
「えーとその、あー……どうでしょう? あはは……」
心優しいリュスターナは笑って誤魔化すことにしたようだった。
ともあれ。
まだ少し問題は残っているものの、俺の活躍によって世界は一応の平穏を取り戻した。
メイリンやハイペリオルドラゴンはしばらく戦後処理に忙殺されているだろうけど、そういう小難しいことはやっぱり頭のいい皆さんにお任せするとして。
極めて平凡な頭脳しか持たない勇者の俺は、平和な世の中をリュスターナやミストルティアと一緒に満喫するとしよう。
願わくば、もう二度と勇者の力を戦争で使うことがありませんように――。
ブラック社畜の俺、部屋で深夜アニメを見ていたら駄女神に説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制送還される。でも今は≪盾の聖女≫と共に元気に勇者やってます! (完)
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