ブラック社畜の俺、部屋でアニメを見ていたら説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と元気に勇者やってます!
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
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第5話 ≪対ドラゴン連合同盟≫(1)
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リュスターナに連れられてしばらく歩いた後、到着したのはごついお城だった。
「ここが私たち≪対ドラゴン連合同盟≫が拠点にしているお城になります。対ドラゴンの前線基地であり、絶対防衛ラインの最大の要でもあります」
城壁の上を見上げてみると、弓を持った人や槍を持った兵士が大勢見張りをしている。
リュスターナの言うとおりで、王宮とかの華美なお城と違っていかにも前線基地って感じだ。
一言で言うと質実剛健。
「おおー!! なんかすごいな! 防御の要って感じがする!」
西洋の城を生で見るのが初めての俺はかなり興奮していた。
そう遠くない未来にフルダイブでRPGゲームができるようになったら、きっとこんな興奮でいっぱいなんだろうな。
「ふふ、そう言っていただけると嬉しいです。それでは中に入りましょうか。もうすぐ戦略会議が始まりますので、そこで勇者様を皆に紹介しますね」
リュスターナに手を引かれながら城の中を進んだ俺は、会議室へと案内された。
部屋の中には長テーブルがあって、そこに椅子が並べられており、10人ほどの人がいる。
全員身分の高そうな人たちだ。
「おお、あなたが勇者殿か!! よくぞ参られた!」
その中から一人の男がすっくと立ち上がった。
白髪交じりのおじさんだ。
いかにも偉い人ですってオーラを漂わせているけど、不思議と嫌な感じではなかった。
人々を導く清く正しい指導者って言えばいいのかな。
異世界転移前に俺が勤めていたクソみたいな会社の「労働は社会への恩返し」「働ける喜び」が口癖で、サービス残業を強要してきたクソ社長とはえらい違いだ。
しかもそのクソ社長ときたらそういうことを言っている癖に、自分は経費や接待費を使って高級外車を乗り回して、ゴルフにサーフィンに合コンにキャバクラと遊びまくっていたのだ。
「初めまして。ええっと……」
「おお、これは失礼した。ワシはこの城の司令官を務めるメンデルと申す者。ささっ、勇者殿。どうぞこちらにおかけ下さい」
「メンデル司令官ですね。俺の名前は――」
俺は座る前に自己紹介をしようとしたんだけど、
「おお、自己紹介など不要であるぞ。既にリュスターナから連絡は受けておるからの」
「え、連絡? リュスターナが?」
「街を襲うドラゴンをパンチ一発で消滅させた勇者リョーマ=オクムラ殿であろう? ぜひとも我々≪対ドラゴン連合同盟≫に力を貸していただきたい」
会ったことのない俺の名前やら何やらが既に知られていることを、俺は当然疑問に感じる。
「ごめん、リュスターナはずっと俺と一緒にいたよな? いつ俺のことを連絡したんだ? そんなタイミングあったけか?」
不思議に思って出会ってからの記憶を何度掘り返してみても、間違いなくリュスターナは俺とずっと一緒にいた。
誰かに何かを言伝るようなタイミングはなかったはずだ。
どういうことだ?
「最初は普通に紹介しようと思っていたんですけど、こっちの方が話が早いと思って≪念話≫というスキルを使って勇者様のことを伝えておいたんです」
「ネンワ……? チワワの友達か……?」
「わかりやすく言うとテレパシーのことですね。≪念話≫スキルを持っている者同士なら、遠隔でも会話ができるんですよ」
「へぇ、そんな便利なものがあるんだな」
さすが異世界だと俺はおおいに納得する。
さっきリュスターナは光の盾――≪プロテクション≫って言ってたっけ――を張っていたし、魔法とかスキルがあるファンタジー系の異世界なんだな。
そうだ、もしかして俺も《念話》を使えないかな?
せっかくだし試してみるか。
リュスターナ、リュスターナ!
俺の声が聞こえるか?
聞こえたら右手を上げてみてくれ!
俺は心の中で強く念じた。
さあ、どうなる!?(ワクワク!)
…………
……
「ここが私たち≪対ドラゴン連合同盟≫が拠点にしているお城になります。対ドラゴンの前線基地であり、絶対防衛ラインの最大の要でもあります」
城壁の上を見上げてみると、弓を持った人や槍を持った兵士が大勢見張りをしている。
リュスターナの言うとおりで、王宮とかの華美なお城と違っていかにも前線基地って感じだ。
一言で言うと質実剛健。
「おおー!! なんかすごいな! 防御の要って感じがする!」
西洋の城を生で見るのが初めての俺はかなり興奮していた。
そう遠くない未来にフルダイブでRPGゲームができるようになったら、きっとこんな興奮でいっぱいなんだろうな。
「ふふ、そう言っていただけると嬉しいです。それでは中に入りましょうか。もうすぐ戦略会議が始まりますので、そこで勇者様を皆に紹介しますね」
リュスターナに手を引かれながら城の中を進んだ俺は、会議室へと案内された。
部屋の中には長テーブルがあって、そこに椅子が並べられており、10人ほどの人がいる。
全員身分の高そうな人たちだ。
「おお、あなたが勇者殿か!! よくぞ参られた!」
その中から一人の男がすっくと立ち上がった。
白髪交じりのおじさんだ。
いかにも偉い人ですってオーラを漂わせているけど、不思議と嫌な感じではなかった。
人々を導く清く正しい指導者って言えばいいのかな。
異世界転移前に俺が勤めていたクソみたいな会社の「労働は社会への恩返し」「働ける喜び」が口癖で、サービス残業を強要してきたクソ社長とはえらい違いだ。
しかもそのクソ社長ときたらそういうことを言っている癖に、自分は経費や接待費を使って高級外車を乗り回して、ゴルフにサーフィンに合コンにキャバクラと遊びまくっていたのだ。
「初めまして。ええっと……」
「おお、これは失礼した。ワシはこの城の司令官を務めるメンデルと申す者。ささっ、勇者殿。どうぞこちらにおかけ下さい」
「メンデル司令官ですね。俺の名前は――」
俺は座る前に自己紹介をしようとしたんだけど、
「おお、自己紹介など不要であるぞ。既にリュスターナから連絡は受けておるからの」
「え、連絡? リュスターナが?」
「街を襲うドラゴンをパンチ一発で消滅させた勇者リョーマ=オクムラ殿であろう? ぜひとも我々≪対ドラゴン連合同盟≫に力を貸していただきたい」
会ったことのない俺の名前やら何やらが既に知られていることを、俺は当然疑問に感じる。
「ごめん、リュスターナはずっと俺と一緒にいたよな? いつ俺のことを連絡したんだ? そんなタイミングあったけか?」
不思議に思って出会ってからの記憶を何度掘り返してみても、間違いなくリュスターナは俺とずっと一緒にいた。
誰かに何かを言伝るようなタイミングはなかったはずだ。
どういうことだ?
「最初は普通に紹介しようと思っていたんですけど、こっちの方が話が早いと思って≪念話≫というスキルを使って勇者様のことを伝えておいたんです」
「ネンワ……? チワワの友達か……?」
「わかりやすく言うとテレパシーのことですね。≪念話≫スキルを持っている者同士なら、遠隔でも会話ができるんですよ」
「へぇ、そんな便利なものがあるんだな」
さすが異世界だと俺はおおいに納得する。
さっきリュスターナは光の盾――≪プロテクション≫って言ってたっけ――を張っていたし、魔法とかスキルがあるファンタジー系の異世界なんだな。
そうだ、もしかして俺も《念話》を使えないかな?
せっかくだし試してみるか。
リュスターナ、リュスターナ!
俺の声が聞こえるか?
聞こえたら右手を上げてみてくれ!
俺は心の中で強く念じた。
さあ、どうなる!?(ワクワク!)
…………
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