61 / 68
オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)
第61話「システムコード『Berserk』を実行しました」
しおりを挟む
「システムコード『Berserk』を実行しました」
それが魔法で作られた人工音声なのだと、すぐに理解する。
同時に俺は周囲の魔力が、異常なまでに高まり始めたのを感じ取っていた。
何かが起こっている。
そして俺は何もしていない。
つまり今ここで何か事を起こせる奴は、エンドレス・ウォーカーしかいなかった。
「今、何をした?」
俺はエンドレス・ウォーカーの胸ぐらを掴んで引き寄せながら問いかける。
「はっ、はははっ! あははははははっ!」
するとエンドレス・ウォーカーはそれはもう可笑しそうに、あざけ笑いに満ち満ちた声を返してきた。
「何が可笑しい?」
「聞きたいか? 聞きたいよな? くくっ、いいだろう、冥途の土産に教えてやる! 今まさに世界が終わろうとしているのだよ! 君はその目撃者になるのだ!」
「冥途の土産? 世界が終わるだと? どういう意味だ?」
「言葉通りの意味さ。魔力の高まりを感じているだろう? これはね、実験体334号の天使炉が暴走しようとしているのさ」
「なっ!? サファイアの天使炉が暴走だと!?」
「そうだ。私と実験体334号のアクセスが外部から無理矢理切断された時、天使炉が暴走するように、あらかじめプログラムが設定されていたのさ。それがシステムコード『Berserk』。世界に終焉をもたらす破滅のコードだ!」
「な──っ」
「暴走した天使炉は臨界を超えて、その膨大なエネルギーを一気に外へと放出する。周囲数百キロに及ぶ大爆発は、その範囲内を完全に破壊し尽くすだけでなく、数千トンに及ぶ膨大な粉塵を空へと巻き上げるだろう」
「まさか、人工的な寒冷化を引き起こすってのか――」
「おやおや、脳筋かと思っていたが、意外と察しがいいんだね。そうだ! 世界中が分厚い雲に覆われ、太陽は地上を照らすことはなくなり、世界は闇に沈み、大地は凍る!」
「なんてことをしやがる……!」
「私じゃない。君のせいだ」
「はぁ? 何をわけの分からないことを」
「いいや、君のせいで世界が滅ぶのだよ! 君が私に勝ってしまったせいで、私は天使炉へのアクセスを失い、天使炉は暴走し、世界が滅ぶ! ははは、自分のせいで世界が滅ぶと知って、どんな気分だ正義の味方! ザマァみろだな!」
「止める方法を言え。今すぐにだ!」
「もはや何をどうやっても、止められないさ。システムコード『|Berserk(ベルセルク)』は一度実行されると終わりの、不可逆の命令だからね。たとえこの私であっても止めることはできない。ゆえにペラペラと君にも何が起こっているかを喋っているわけだ。無力感と絶望を与えるためにね!」
「くそ野郎――」
「おおっと。そういえば止める方法が1つだけあったか」
「それはなんだ! 言え! 言うんだ!! 言わないようなら、もはや手段は選ばない」
さすがにここまでの緊急事態となったからには、法の順守なんてことは言っていられない。
隠すつもりなら実力行使してでも吐かせる――と俺は強烈な意思とともにエンドレス・ウォーカーの胸倉をつかみ上げてグイッと引き寄せたたのだが。
エンドレス・ウォーカーは傲慢に笑みを浮かべたまま、嬉しそうに言いやがった。
「簡単なことさ。実験体334号を殺せばいい。そうすれば天使炉も止まる。天使炉は実験体334号と完全に一体化しているからね。アレを殺せば当然、天使炉も止まる。君風に言うと、簡単な話だ」
それが魔法で作られた人工音声なのだと、すぐに理解する。
同時に俺は周囲の魔力が、異常なまでに高まり始めたのを感じ取っていた。
何かが起こっている。
そして俺は何もしていない。
つまり今ここで何か事を起こせる奴は、エンドレス・ウォーカーしかいなかった。
「今、何をした?」
俺はエンドレス・ウォーカーの胸ぐらを掴んで引き寄せながら問いかける。
「はっ、はははっ! あははははははっ!」
するとエンドレス・ウォーカーはそれはもう可笑しそうに、あざけ笑いに満ち満ちた声を返してきた。
「何が可笑しい?」
「聞きたいか? 聞きたいよな? くくっ、いいだろう、冥途の土産に教えてやる! 今まさに世界が終わろうとしているのだよ! 君はその目撃者になるのだ!」
「冥途の土産? 世界が終わるだと? どういう意味だ?」
「言葉通りの意味さ。魔力の高まりを感じているだろう? これはね、実験体334号の天使炉が暴走しようとしているのさ」
「なっ!? サファイアの天使炉が暴走だと!?」
「そうだ。私と実験体334号のアクセスが外部から無理矢理切断された時、天使炉が暴走するように、あらかじめプログラムが設定されていたのさ。それがシステムコード『Berserk』。世界に終焉をもたらす破滅のコードだ!」
「な──っ」
「暴走した天使炉は臨界を超えて、その膨大なエネルギーを一気に外へと放出する。周囲数百キロに及ぶ大爆発は、その範囲内を完全に破壊し尽くすだけでなく、数千トンに及ぶ膨大な粉塵を空へと巻き上げるだろう」
「まさか、人工的な寒冷化を引き起こすってのか――」
「おやおや、脳筋かと思っていたが、意外と察しがいいんだね。そうだ! 世界中が分厚い雲に覆われ、太陽は地上を照らすことはなくなり、世界は闇に沈み、大地は凍る!」
「なんてことをしやがる……!」
「私じゃない。君のせいだ」
「はぁ? 何をわけの分からないことを」
「いいや、君のせいで世界が滅ぶのだよ! 君が私に勝ってしまったせいで、私は天使炉へのアクセスを失い、天使炉は暴走し、世界が滅ぶ! ははは、自分のせいで世界が滅ぶと知って、どんな気分だ正義の味方! ザマァみろだな!」
「止める方法を言え。今すぐにだ!」
「もはや何をどうやっても、止められないさ。システムコード『|Berserk(ベルセルク)』は一度実行されると終わりの、不可逆の命令だからね。たとえこの私であっても止めることはできない。ゆえにペラペラと君にも何が起こっているかを喋っているわけだ。無力感と絶望を与えるためにね!」
「くそ野郎――」
「おおっと。そういえば止める方法が1つだけあったか」
「それはなんだ! 言え! 言うんだ!! 言わないようなら、もはや手段は選ばない」
さすがにここまでの緊急事態となったからには、法の順守なんてことは言っていられない。
隠すつもりなら実力行使してでも吐かせる――と俺は強烈な意思とともにエンドレス・ウォーカーの胸倉をつかみ上げてグイッと引き寄せたたのだが。
エンドレス・ウォーカーは傲慢に笑みを浮かべたまま、嬉しそうに言いやがった。
「簡単なことさ。実験体334号を殺せばいい。そうすれば天使炉も止まる。天使炉は実験体334号と完全に一体化しているからね。アレを殺せば当然、天使炉も止まる。君風に言うと、簡単な話だ」
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる