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オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)
第51話 茜色のプロポーズ(3)
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「好意には気付かなかったんだが、本当に似合っているとは思ったんだぞ? さすがミリアリアだなって感心した」
俺は言い訳を重ねた。
情けない言い訳だが、しないよりはいいはずだ――と思う。
俺なりの誠実な気持ちが伝わったのか、ミリアリアは苦笑すると、言った。
「ま、そういう乙女心に疎いところも、カケルの素敵なところですよね。チャラ男と比べたら圧倒的にグッドですから。なにより結果が最高にオーライだったので、今日のところはOKとしておきましょう。これからおいおい、女心も学んでいってくださいね」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「それに、かくいうわたしもカケルが異性として好意を持っていてくれたことに気付いていなかったわけですし。おあいこといえば、おあいこですよね」
「ミリアリアって意外と自己評価が低いんだな。ミリアリアは客観的評価が上手だから、自分を過小評価しているのが少し意外な感じだ」
俺に限らずほとんど全ての世の男性は、ミリアリアという素敵な女性を前にすれば好意を持つはずだ。
ミリアリアはどうやらそのことに気付いていなかったらしい――と俺は思ったのだが。
「ち・が・い・ま・す~! カケルが朴念仁だったせいです~! カケルが普通の反応をするような一般的な男性なら、わたしだってちゃんと気付いていました~!!」
「そ、そうか。悪かった」
「言っておきますけどね。さっきだって、別に悩んでいたわけじゃないんですからね?」
「そうなのか?」
「まさかカケルからプロポーズされるだなんて思ってもみなかったので、ビックリして、あまりの現実感のなさに脳が状況を理解できなくてフリーズしちゃっただけなんですから」
「そ、そうだったんだな。てっきり、なんて答えればいいか悩んでいたもんだとばっかり思っていたよ」
どうやら俺という男は、女性の気持ちが全くと言っていいほど分かっていなかったらしい。
しかしミリアリアとともに歩むと決めた以上は、現状のままではいられない。
これからはミリアリアにいろいろと教えて貰って、俺も変わらないとだ。
「ですが――」
「なんだ?」
「カケルにプロポーズしてもらえて、本当に嬉しかったです。今日という日は、わたしの人生で最高に最高の1日になりました。素敵な思い出をありがとうございます」
「こちらこそ、プロポーズを受けてくれてありがとう」
「茜色に染まる世界が、すごく素敵で。なんだかんだ言って、カケルも結構シチュエーションとか考えてるんだなって、そこは高評価ポイントでしたから」
「……」
「あれ? カケル? 急に黙り込んでどうしたんですか? まさか――」
ルームミラーに映るミリアリアがジト目になった。
「まぁその、狙っていたというわけでは、必ずしもなかった的な感じというかだな……」
「もぅ、本当にカケルは朴念仁なんですから」
「すまん。あまりに至らなさ過ぎて、申し開きの言葉もない」
「でも、そういうカケルがわたしは大好きなんです。だから少しずつ進んでいきましょうね」
ミリアリアがにっこりと微笑んだ。
いつも俺に向けてくれていた素敵な笑顔だが、今の俺なら分かる。
そこに俺への強い好意が込められていたということに。
ずっと気付かなかったことに対して申し訳なさを感じるとともに。
これからはこの笑顔をずっと向けてもらえるのだということに、俺は言いようのない幸せを感じていた。
穏やかな温もりが俺の心を満たしていく。
茜色に染まる世界での、ルームミラー越しのプロポーズは無事に成功し、さて後は帰るだけ――そう思っていた俺たちを、しかし突然の事態が襲った。
ズドーンッ!
突然、至近で雷でも落ちたかのような激しい音と衝撃がして、運転していた車が大きくバウンドした。
俺は言い訳を重ねた。
情けない言い訳だが、しないよりはいいはずだ――と思う。
俺なりの誠実な気持ちが伝わったのか、ミリアリアは苦笑すると、言った。
「ま、そういう乙女心に疎いところも、カケルの素敵なところですよね。チャラ男と比べたら圧倒的にグッドですから。なにより結果が最高にオーライだったので、今日のところはOKとしておきましょう。これからおいおい、女心も学んでいってくださいね」
「そう言ってもらえると助かるよ」
「それに、かくいうわたしもカケルが異性として好意を持っていてくれたことに気付いていなかったわけですし。おあいこといえば、おあいこですよね」
「ミリアリアって意外と自己評価が低いんだな。ミリアリアは客観的評価が上手だから、自分を過小評価しているのが少し意外な感じだ」
俺に限らずほとんど全ての世の男性は、ミリアリアという素敵な女性を前にすれば好意を持つはずだ。
ミリアリアはどうやらそのことに気付いていなかったらしい――と俺は思ったのだが。
「ち・が・い・ま・す~! カケルが朴念仁だったせいです~! カケルが普通の反応をするような一般的な男性なら、わたしだってちゃんと気付いていました~!!」
「そ、そうか。悪かった」
「言っておきますけどね。さっきだって、別に悩んでいたわけじゃないんですからね?」
「そうなのか?」
「まさかカケルからプロポーズされるだなんて思ってもみなかったので、ビックリして、あまりの現実感のなさに脳が状況を理解できなくてフリーズしちゃっただけなんですから」
「そ、そうだったんだな。てっきり、なんて答えればいいか悩んでいたもんだとばっかり思っていたよ」
どうやら俺という男は、女性の気持ちが全くと言っていいほど分かっていなかったらしい。
しかしミリアリアとともに歩むと決めた以上は、現状のままではいられない。
これからはミリアリアにいろいろと教えて貰って、俺も変わらないとだ。
「ですが――」
「なんだ?」
「カケルにプロポーズしてもらえて、本当に嬉しかったです。今日という日は、わたしの人生で最高に最高の1日になりました。素敵な思い出をありがとうございます」
「こちらこそ、プロポーズを受けてくれてありがとう」
「茜色に染まる世界が、すごく素敵で。なんだかんだ言って、カケルも結構シチュエーションとか考えてるんだなって、そこは高評価ポイントでしたから」
「……」
「あれ? カケル? 急に黙り込んでどうしたんですか? まさか――」
ルームミラーに映るミリアリアがジト目になった。
「まぁその、狙っていたというわけでは、必ずしもなかった的な感じというかだな……」
「もぅ、本当にカケルは朴念仁なんですから」
「すまん。あまりに至らなさ過ぎて、申し開きの言葉もない」
「でも、そういうカケルがわたしは大好きなんです。だから少しずつ進んでいきましょうね」
ミリアリアがにっこりと微笑んだ。
いつも俺に向けてくれていた素敵な笑顔だが、今の俺なら分かる。
そこに俺への強い好意が込められていたということに。
ずっと気付かなかったことに対して申し訳なさを感じるとともに。
これからはこの笑顔をずっと向けてもらえるのだということに、俺は言いようのない幸せを感じていた。
穏やかな温もりが俺の心を満たしていく。
茜色に染まる世界での、ルームミラー越しのプロポーズは無事に成功し、さて後は帰るだけ――そう思っていた俺たちを、しかし突然の事態が襲った。
ズドーンッ!
突然、至近で雷でも落ちたかのような激しい音と衝撃がして、運転していた車が大きくバウンドした。
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