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第3章 世界滅亡の日
第57話 俺の人生初の本気の本気の本気の本気を舐めるなよ!
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「この世界にきてすぐの時に言ったかと思いますが、わたしはトールに身も心も全て捧げる覚悟で世界を渡りました。だからトールを守るために命を張るくらいは安いものなんです」
「な――っ」
あの言葉を、お前はそんな強い気持ちで言ってたのかよ。
そこまでの思いだったのかよ。
なのに俺はそんなエリカの決意ともいうべき強い思いを、冗談交じりだと思って軽く受け流してしまっていて――。
「それにわたしは元々この世界の人間ではありません。そういう意味でも適役だったんですよ」
「適役って――」
「この世界に来た時点で、既にわたしの役目は果たされています。今はちょっとした延長戦なんです。ね、そうは思ったら少しは気も楽になりませんか?」
「そんなもん……なるわけないだろうが……!」
なにがちょっとした延長戦だ、ふざけるな――!
「ふふっ、やっぱりトールは優しいですね」
優しい?
いいや違う。俺はただ馬鹿なだけだ。
いい年して何も考えずに流されるように生きていて。
こうやって失う寸前になって初めてその価値に気づかされて。
今さらになってあたふたするどうしようもない大馬鹿者だ。
そして今、そんな馬鹿な俺のせいで、エリカに取り返しのつかないことをしてしまったんだ――!
「俺のせいだ」
「はい?」
「俺がエリカを召喚したから……俺がエリカをこの世界に連れてきてしまったから。だからエリカをこんな目にあわせてしまったんだ。俺は、俺はなんて事を──」
「もう逆ですよトール。トールにこの世界に召喚してもらったおかげで、わたしはこうやってトールを守ることができたんですから。トールの住む世界を守ることができたんですから。大好きな人を守ることができたんですから」
「エリカ……」
「故郷のみんな、女神さま、見ていてくれましたか? エリカは見事務めを果たしましたよ!」
どうして……どうしてエリカはそうなんだよ?
どうしてそんな風に平気な顔していられるんだよ?
元をただせば俺のせいで死ぬっていうのに、なんで俺を責めないんだよ……。
俺がどうしようもない自責の念にかられている間にも、時計の針は容赦なく進んで行き。
エリカを映していたモニターの映像が少しずつ乱れ始めた。
「エリカ、おいどうした!? なにかあったのか!?」
「映像と音声が乱れ始めましたね? なるほど、これが聞いていた超巨大隕石アーク・シィズの特殊な磁場の影響というやつでしょうか」
「だからなに呑気に言ってるんだよお前は!」
俺はもう焦燥感で頭も心もいっぱいで、いても立ってもいられないって言うのに──!
「事ここに至っては、何をどうもしようがありませんからね。最期にこうやってトールとゆっくりお話ができるだけで、わたしにはもう思い残すことはありません」
エリカがふんわりと優しく微笑んだ。
今まで見た中で一番美しくて、一番優しくて、一番穏やかで、一番綺麗な――最高の笑顔だった。
だから俺は、
「嘘をつくなよ」
それが嘘だと見た瞬間に分かってしまったのだ。
「え――?」
そしてエリカの視線が一瞬ブレたのを、必死な思いでエリカを見つめていた俺は見逃しはしなかった。
必死であったがゆえに。
今までの人生では見落としてきたことを、俺はやっと見落とさずに済んだのだ。
「まったくよ、こんな状況で俺に嘘なんてつくなよな」
「何を言うんですかトール。わたしはトールに嘘なんかついては──」
「いいや、ついてるな」
「トールは何を根拠にそんなこと言うんですか? わたしはすごく頑張ったのに、なのに最後の最後でトールに信じてもらえないだなんて、わたし泣いちゃいますよ? ぐすん」
エリカが可愛らしく泣きまねをする。
いつ覇権アニメの感動の最終回に使われてもいいくらいに、泣きまねをするエリカの姿は目に入れても痛くないほどにどうしようもなく可愛かった。
(だけどな! そんなもんは今の俺には通用しないんだよ! 俺の人生初の本気の本気の本気の本気を舐めるなよ!)
「な――っ」
あの言葉を、お前はそんな強い気持ちで言ってたのかよ。
そこまでの思いだったのかよ。
なのに俺はそんなエリカの決意ともいうべき強い思いを、冗談交じりだと思って軽く受け流してしまっていて――。
「それにわたしは元々この世界の人間ではありません。そういう意味でも適役だったんですよ」
「適役って――」
「この世界に来た時点で、既にわたしの役目は果たされています。今はちょっとした延長戦なんです。ね、そうは思ったら少しは気も楽になりませんか?」
「そんなもん……なるわけないだろうが……!」
なにがちょっとした延長戦だ、ふざけるな――!
「ふふっ、やっぱりトールは優しいですね」
優しい?
いいや違う。俺はただ馬鹿なだけだ。
いい年して何も考えずに流されるように生きていて。
こうやって失う寸前になって初めてその価値に気づかされて。
今さらになってあたふたするどうしようもない大馬鹿者だ。
そして今、そんな馬鹿な俺のせいで、エリカに取り返しのつかないことをしてしまったんだ――!
「俺のせいだ」
「はい?」
「俺がエリカを召喚したから……俺がエリカをこの世界に連れてきてしまったから。だからエリカをこんな目にあわせてしまったんだ。俺は、俺はなんて事を──」
「もう逆ですよトール。トールにこの世界に召喚してもらったおかげで、わたしはこうやってトールを守ることができたんですから。トールの住む世界を守ることができたんですから。大好きな人を守ることができたんですから」
「エリカ……」
「故郷のみんな、女神さま、見ていてくれましたか? エリカは見事務めを果たしましたよ!」
どうして……どうしてエリカはそうなんだよ?
どうしてそんな風に平気な顔していられるんだよ?
元をただせば俺のせいで死ぬっていうのに、なんで俺を責めないんだよ……。
俺がどうしようもない自責の念にかられている間にも、時計の針は容赦なく進んで行き。
エリカを映していたモニターの映像が少しずつ乱れ始めた。
「エリカ、おいどうした!? なにかあったのか!?」
「映像と音声が乱れ始めましたね? なるほど、これが聞いていた超巨大隕石アーク・シィズの特殊な磁場の影響というやつでしょうか」
「だからなに呑気に言ってるんだよお前は!」
俺はもう焦燥感で頭も心もいっぱいで、いても立ってもいられないって言うのに──!
「事ここに至っては、何をどうもしようがありませんからね。最期にこうやってトールとゆっくりお話ができるだけで、わたしにはもう思い残すことはありません」
エリカがふんわりと優しく微笑んだ。
今まで見た中で一番美しくて、一番優しくて、一番穏やかで、一番綺麗な――最高の笑顔だった。
だから俺は、
「嘘をつくなよ」
それが嘘だと見た瞬間に分かってしまったのだ。
「え――?」
そしてエリカの視線が一瞬ブレたのを、必死な思いでエリカを見つめていた俺は見逃しはしなかった。
必死であったがゆえに。
今までの人生では見落としてきたことを、俺はやっと見落とさずに済んだのだ。
「まったくよ、こんな状況で俺に嘘なんてつくなよな」
「何を言うんですかトール。わたしはトールに嘘なんかついては──」
「いいや、ついてるな」
「トールは何を根拠にそんなこと言うんですか? わたしはすごく頑張ったのに、なのに最後の最後でトールに信じてもらえないだなんて、わたし泣いちゃいますよ? ぐすん」
エリカが可愛らしく泣きまねをする。
いつ覇権アニメの感動の最終回に使われてもいいくらいに、泣きまねをするエリカの姿は目に入れても痛くないほどにどうしようもなく可愛かった。
(だけどな! そんなもんは今の俺には通用しないんだよ! 俺の人生初の本気の本気の本気の本気を舐めるなよ!)
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