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第3章 世界滅亡の日
第49話 気づかいのできる男
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俺はいぶかしげな顔でそんなエリカを見つめた。
「ごめんエリカ、急に何の話をしてるんだ?」
「トール。ヒナギクさんは緊急事態の真っ最中に、用事もないのに朝5時に人の家を訪ねたりはしませんよ。裏を返せば、用事があるからヒナギクさんはここに来たんです」
「そ、そうなのか? つまりここに来たら、世界滅亡の危機を打開するための策が見つかるってことなのか!?」
「さすがエリカさんですわね。全てお見通しというわけですか」
おおっ、マジみたいだ!
全部お見通しなエリカすごい!
策のあるヒナギクさんもすごい!
ぶっちゃけ俺以外ここにいるみんな超すごい!!
「それはもちろん、わたしは異世界『ディ・マリア』を救った勇者トールの妻ですからね」
「いやあの、こんな切羽詰まった状況で何さらりと既成事実にしようとしてるんだよ。マジでブレないなエリカは……」
「それはもちろん、決してブレないのがわたしの美点の1つだと思っておりますので。トールへの愛ももちろんブレませんからね♪ オールスターはストレート一本で勝負するべきだと思います!」
「世界滅亡の危機だってのに、エリカはどこまでも積極的に隙あらば既成事実化を狙ってくるのな……」
「積極性というわたしの美点については今はいいじゃないですか。それで話というのはなんでしょう?」
「それは――」
ヒナギクさんが何事か言いかけようとして、なぜか俺の顔をチラリと横目で見た。
「えっと、なに?」
なんとなく意味深な感じがした。
「トール、すみませんが席を外してもらえませんか?」
するとヒナギクさんの動きに呼応するように、エリカそんなことを言ってきたのだ。
「なんでだよ? ここで俺だけ仲間外れにするなよな? いくら俺が使えない30代無職だからって、そんな対応されるとマジで泣くぞ? っていうか実はここ、俺の部屋だったりするんだけど……」
ここまで詳細に話を聞かされたっていうのに、さすがにそれはないだろう?
「もうトールってば、仲間外れにするんじゃありませんよ」
「してるじゃん……(ぐすん)」
「難しい話になりそうなので、トールは面倒に思うんじゃないかなって思ったんですよ」
エリカが俺の右手をそっと両手で包むと、そのままたわわなおっぱいに押し付けた。
さらに脇を締めることで、たわわで俺の手をぎゅむっと挟んでくる――!
つい数日前まで童貞だった俺の頭の中は、それだけでエリカとのエッチを思い出してしまい、ぽわぽわの骨抜きになってしまう。
「え、えっと。難しい話になるのか?」
「そう……ですわね。おそらくは、まぁ……」
俺の質問になんともあやふやなニュアンスで答えるヒナギクさん。
「そっか、でもそうだよな。NASAとか米軍がお手上げなんだもんな。そんな難題を打開する作戦会議ともなれば、何も分かってない俺がいるのはむしろ邪魔か」
エリカの意見に俺はおおいに納得した。
自分の無能を正しく自覚しているともいう。
伊達に30代で無職にはなっていないのだ。
「じゃあちょっとコンビニでも行ってくるよ。30分くらいでいいかな?」
「あ、トール。コンビニに行くのでしたら、ロピアの新作パフェが出てるんですよ」
「パフェ?」
「抹茶しらたまフルーツ盛り盛りのパフェなんですけど、ネットで見たらすごく美味しそうだったのであったらぜひお願いします」
「ネットを知ってたった2日で既に完全に使いこなしているっぽいエリカさん、マジすげえ……。分かったよ、せっかくだしここにいる4人分を買ってくるな」
俺はTシャツとジーンズに着替えると、財布とスマホをポケットに入れて近所のコンビニへと向かった。
そしてコンビニでだらだら時間をつぶしてから、帰り際にロピアの抹茶しらたまフルーツ盛り盛りパフェを4個購入すると、自分のアパートへと帰宅した。
出る時には30分と言ったけど、長めに45分くらいかけてある。
難しい話をするって言っていたので、俺なりのちょっとした気づかいだ。
(難しい話には全くついていけなくて置いてけぼりなんだから、せめて気づかいくらいはできないとだよな)
気づかいのできる男、遊佐トールです。
「ごめんエリカ、急に何の話をしてるんだ?」
「トール。ヒナギクさんは緊急事態の真っ最中に、用事もないのに朝5時に人の家を訪ねたりはしませんよ。裏を返せば、用事があるからヒナギクさんはここに来たんです」
「そ、そうなのか? つまりここに来たら、世界滅亡の危機を打開するための策が見つかるってことなのか!?」
「さすがエリカさんですわね。全てお見通しというわけですか」
おおっ、マジみたいだ!
全部お見通しなエリカすごい!
策のあるヒナギクさんもすごい!
ぶっちゃけ俺以外ここにいるみんな超すごい!!
「それはもちろん、わたしは異世界『ディ・マリア』を救った勇者トールの妻ですからね」
「いやあの、こんな切羽詰まった状況で何さらりと既成事実にしようとしてるんだよ。マジでブレないなエリカは……」
「それはもちろん、決してブレないのがわたしの美点の1つだと思っておりますので。トールへの愛ももちろんブレませんからね♪ オールスターはストレート一本で勝負するべきだと思います!」
「世界滅亡の危機だってのに、エリカはどこまでも積極的に隙あらば既成事実化を狙ってくるのな……」
「積極性というわたしの美点については今はいいじゃないですか。それで話というのはなんでしょう?」
「それは――」
ヒナギクさんが何事か言いかけようとして、なぜか俺の顔をチラリと横目で見た。
「えっと、なに?」
なんとなく意味深な感じがした。
「トール、すみませんが席を外してもらえませんか?」
するとヒナギクさんの動きに呼応するように、エリカそんなことを言ってきたのだ。
「なんでだよ? ここで俺だけ仲間外れにするなよな? いくら俺が使えない30代無職だからって、そんな対応されるとマジで泣くぞ? っていうか実はここ、俺の部屋だったりするんだけど……」
ここまで詳細に話を聞かされたっていうのに、さすがにそれはないだろう?
「もうトールってば、仲間外れにするんじゃありませんよ」
「してるじゃん……(ぐすん)」
「難しい話になりそうなので、トールは面倒に思うんじゃないかなって思ったんですよ」
エリカが俺の右手をそっと両手で包むと、そのままたわわなおっぱいに押し付けた。
さらに脇を締めることで、たわわで俺の手をぎゅむっと挟んでくる――!
つい数日前まで童貞だった俺の頭の中は、それだけでエリカとのエッチを思い出してしまい、ぽわぽわの骨抜きになってしまう。
「え、えっと。難しい話になるのか?」
「そう……ですわね。おそらくは、まぁ……」
俺の質問になんともあやふやなニュアンスで答えるヒナギクさん。
「そっか、でもそうだよな。NASAとか米軍がお手上げなんだもんな。そんな難題を打開する作戦会議ともなれば、何も分かってない俺がいるのはむしろ邪魔か」
エリカの意見に俺はおおいに納得した。
自分の無能を正しく自覚しているともいう。
伊達に30代で無職にはなっていないのだ。
「じゃあちょっとコンビニでも行ってくるよ。30分くらいでいいかな?」
「あ、トール。コンビニに行くのでしたら、ロピアの新作パフェが出てるんですよ」
「パフェ?」
「抹茶しらたまフルーツ盛り盛りのパフェなんですけど、ネットで見たらすごく美味しそうだったのであったらぜひお願いします」
「ネットを知ってたった2日で既に完全に使いこなしているっぽいエリカさん、マジすげえ……。分かったよ、せっかくだしここにいる4人分を買ってくるな」
俺はTシャツとジーンズに着替えると、財布とスマホをポケットに入れて近所のコンビニへと向かった。
そしてコンビニでだらだら時間をつぶしてから、帰り際にロピアの抹茶しらたまフルーツ盛り盛りパフェを4個購入すると、自分のアパートへと帰宅した。
出る時には30分と言ったけど、長めに45分くらいかけてある。
難しい話をするって言っていたので、俺なりのちょっとした気づかいだ。
(難しい話には全くついていけなくて置いてけぼりなんだから、せめて気づかいくらいはできないとだよな)
気づかいのできる男、遊佐トールです。
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