朝5時に、ピンポン鳴ったら、妻できた。 (えっちバージョン)

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
上 下
49 / 63
第3章 世界滅亡の日

第49話 気づかいのできる男

しおりを挟む
 俺はいぶかしげな顔でそんなエリカを見つめた。

「ごめんエリカ、急に何の話をしてるんだ?」

「トール。ヒナギクさんは緊急事態の真っ最中に、用事もないのに朝5時に人の家を訪ねたりはしませんよ。裏を返せば、用事があるからヒナギクさんはここに来たんです」

「そ、そうなのか? つまりここに来たら、世界滅亡の危機を打開するための策が見つかるってことなのか!?」

「さすがエリカさんですわね。全てお見通しというわけですか」
 おおっ、マジみたいだ!

 全部お見通しなエリカすごい!
 策のあるヒナギクさんもすごい!

 ぶっちゃけ俺以外ここにいるみんな超すごい!!

「それはもちろん、わたしは異世界『ディ・マリア』を救った勇者トールの妻ですからね」

「いやあの、こんな切羽詰まった状況で何さらりと既成事実にしようとしてるんだよ。マジでブレないなエリカは……」

「それはもちろん、決してブレないのがわたしの美点の1つだと思っておりますので。トールへの愛ももちろんブレませんからね♪ オールスターはストレート一本で勝負するべきだと思います!」

「世界滅亡の危機だってのに、エリカはどこまでも積極的に隙あらば既成事実化を狙ってくるのな……」

「積極性というわたしの美点については今はいいじゃないですか。それで話というのはなんでしょう?」

「それは――」
 ヒナギクさんが何事か言いかけようとして、なぜか俺の顔をチラリと横目で見た。

「えっと、なに?」
 なんとなく意味深な感じがした。

「トール、すみませんが席を外してもらえませんか?」
 するとヒナギクさんの動きに呼応するように、エリカそんなことを言ってきたのだ。

「なんでだよ? ここで俺だけ仲間外れにするなよな? いくら俺が使えない30代無職だからって、そんな対応されるとマジで泣くぞ? っていうか実はここ、俺の部屋だったりするんだけど……」

 ここまで詳細に話を聞かされたっていうのに、さすがにそれはないだろう?

「もうトールってば、仲間外れにするんじゃありませんよ」
「してるじゃん……(ぐすん)」

「難しい話になりそうなので、トールは面倒に思うんじゃないかなって思ったんですよ」

 エリカが俺の右手をそっと両手で包むと、そのままたわわなおっぱいに押し付けた。
 さらに脇を締めることで、たわわで俺の手をぎゅむっと挟んでくる――!

 つい数日前まで童貞だった俺の頭の中は、それだけでエリカとのエッチを思い出してしまい、ぽわぽわの骨抜きになってしまう。

「え、えっと。難しい話になるのか?」
「そう……ですわね。おそらくは、まぁ……」

 俺の質問になんともあやふやなニュアンスで答えるヒナギクさん。

「そっか、でもそうだよな。NASAとか米軍がお手上げなんだもんな。そんな難題を打開する作戦会議ともなれば、何も分かってない俺がいるのはむしろ邪魔か」

 エリカの意見に俺はおおいに納得した。
 自分の無能を正しく自覚しているともいう。
 伊達に30代で無職にはなっていないのだ。

「じゃあちょっとコンビニでも行ってくるよ。30分くらいでいいかな?」

「あ、トール。コンビニに行くのでしたら、ロピアの新作パフェが出てるんですよ」
「パフェ?」
「抹茶しらたまフルーツ盛り盛りのパフェなんですけど、ネットで見たらすごく美味しそうだったのであったらぜひお願いします」

「ネットを知ってたった2日で既に完全に使いこなしているっぽいエリカさん、マジすげえ……。分かったよ、せっかくだしここにいる4人分を買ってくるな」

 俺はTシャツとジーンズに着替えると、財布とスマホをポケットに入れて近所のコンビニへと向かった。

 そしてコンビニでだらだら時間をつぶしてから、帰り際にロピアの抹茶しらたまフルーツ盛り盛りパフェを4個購入すると、自分のアパートへと帰宅した。

 出る時には30分と言ったけど、長めに45分くらいかけてある。
 難しい話をするって言っていたので、俺なりのちょっとした気づかいだ。

(難しい話には全くついていけなくて置いてけぼりなんだから、せめて気づかいくらいはできないとだよな)

 気づかいのできる男、遊佐トールです。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...