朝5時に、ピンポン鳴ったら、妻できた。 (えっちバージョン)

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第3章 世界滅亡の日

第47話 超巨大隕石アーク・シィズ

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「ご存じっていうか、ほんのついさっき中野さんから聞いたんだけど。え、世界滅亡ってやっぱりマジ話なの?」

「はいですわ」

「えっ、ていうかなんでそんなことに? 理由まではまだ聞いてないんだけど? っていうか昨日は一言もそんなこと言ってなかったよね?」

 そして事ここに至ってついに、世界が滅亡の危機に迫っているのだと正しく理解できた俺は。
 しかしそうと分かってしまうともう完全に完膚なきまでに、あたふたと狼狽うろたえてしまっていた。

 だって世界が滅亡ってことは、俺も含めてみんな36時間後に死んじゃうってことだろ?
 いくら俺の人生に大した価値がないとはいえ、もうすぐ死にますとか言われるとさすがに困るんだけど!?

「では詳しい説明はわたくしの方からさせていただきますわ」

「お、お願いします」
 俺は神妙な顔をして頷いた。

「端的に申し上げます」
「ご、ごくり……」

「世界が滅亡するのは、超巨大隕石アーク・シィズ(Ark Seeds=巨大な種子の意)が地球に衝突するからですの」

「超巨大隕石アーク・シィズが地球に衝突!? なんだそりゃ、アルマゲドンかよ?」

「あら、懐かしい映画ですわね。わたしも大好きでしてよ。ストーリーラインがしっかりとしていますし、尊い犠牲が払われて勝利を掴むクライマックスシーンは実に感動的でした。そうですね、例えとしてはかなり近いでしょうか」

「ヒナギクさんの映画の感想は置いといて、その超巨大隕石アーク・シィズってのは絶対に地球に当たるのか? 回避はできないのか?」

「超巨大隕石アーク・シィズは現在、地球のど真ん中に直撃するコースをまっすぐ進んでおりますの。何もしなければ当たる確率は99.99999%です」

「つまり外れる可能性はゼロではないってこと……?」
 俺はそこに一縷いちるの望みを託したんだけど――、

「いいえ、100%でないのは物事に絶対はありえないからですわ。つまり実質100%と同義と捉えてくださいな。現状ではマスト・ヒットですわ」

 返ってきたのはただただ残酷な結論だった。

「でもあの、えっと。たしか映画じゃアメリカ軍とかNASAが迎撃作戦をやってたと思うんだけど。現実じゃあそういうのは無理なのかな?」

「もちろんアメリカ軍とNASAによる衝突回避のための秘密作戦が遂行されましたわ」

「おおっ!!」

「作戦名オペレーション・メテオ。大量の核兵器を用いた飽和攻撃による衝撃で超巨大隕石アーク・シィズを押し出し、地球の重力に引かれ始める前に進路を変える作戦です」

「もうなんだよ、ちゃんとやってるんじゃんか。まったくもう、驚かせないでくれよなー」

 ヒナギクさんの言葉に俺はホッと一安心した。

 確かにさっきは『何もしなければ』って言ったもんな。
 つまり裏を返せば『何かしてるから大丈夫』ってわけだ――と、俺は話の流れ的にそう思ったんだけど。

「しかしながら、先ほど在日米軍より日本政府にホットラインで連絡がありましたの。NASAと米軍による超巨大隕石アーク・シィズへの飽和核攻撃は失敗に終わったとのことでしたわ」

「失敗!? なんでだよ!?」

 オペレーション・メテオが失敗したと聞いて、俺は動揺した心そのままに大きな声をあげてしまった。
 いい年して人間ができてなさすぎるけど、今はそれはどうでもいいと思う!

「まだ情報が一部錯綜しているのですが、どうやら超巨大隕石アーク・シィズは未知の宇宙由来鉱物でできているようですわ」

「未知の鉱物……?」

「そしてその周囲には強力な磁場と、それに類する未知の力場が発生しているそうですの。それが核分裂反応を阻害し、核弾頭が上手く起爆しなかったそうですわ」

「そ、そうなのか。よく分かんないけど、人類最強の戦略的破壊兵器である核が起動しないせいで迎撃に失敗したってのは分かった」

 文系は科学の難しい過程を言われても分からないから極論、結論だけを教えてくれればいいと思うぞ!
 恥ずかしいから言わないけど、ちょっとだけおバカな俺を察して欲しいな!

「ロシアと中国もアメリカ同様にそれぞれ飽和核攻撃作戦を行ったようですが、超巨大隕石アーク・シィズの軌道に未だ変化がないことから、おそらく失敗に終わったのでしょうね」

「核とミサイルで圧倒的な技術力を誇る世界3大超大国が、迎撃に失敗したってことか……」

 な、なんてことだ……。
 それはつまり人類にはもう打つ手がないということに等しかった。

 36時間後に世界は滅亡し、俺もエリカもヒナギクさんも中野さんも、みんな死んでしまうのだ。

 え、なにこの唐突な全滅エンド……。
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