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第2章 朝5時にピンポン連打する金髪ネコ耳公務員さん
第39話 エクスシア(山田)
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「ちなみにエクスシアってのはなんなんだ、本名なのか? 日本語もペラペラだし、どう見てもネイティブ日本人に見えるんだけど」
「これはサモンネーム、当教団の幹部に与えられる特別な洗礼名にございます。また私の本名は山田一郎と申します」
おう、エクスシアは山田一郎さんだったのかぁ。
なんていう落差が激しいね。
いやいいんだけどね?
俺も昔からSNSとかだと、遠流→トール→雷神→ライジンってニックネームだし。
もちろんリアルでは使っていない。
「それと俺のことはどうやって知ったんだ? いくらあちこちにメンバーを張り巡らせている巨大組織だからって、昨日の今日でどんだけ情報通なんだよ?」
「それはメンバーの一人から緊急連絡があったからです。異世界召喚者を見つけたと」
「それにしたって早すぎだろ。あ、まさかそのメンバーって俺の身近な人間なのか? ご近所さんとか?」
「さすがは教祖様。類まれなる異世界召喚能力だけでなく、素晴らしい推理力までもお持ちなのですな」
「え、そう?」
「さしずめ愛読書はシャーロック・ホームズや名探偵ポワロといったところですかな?」
「あ、いえ。俺の好きな本は転スラとこのすばです。他もラノベやなろう系Web小説ばっかり読んでます。特に異世界転移ものが好きです。期待に応えられなくてすみません」
ミステリーとか全く読まないしシャーロック=ホームズなんて名前くらいしか知らない俺は、知ったかせずに正直に告白したんだけど、
「なんと! さすがは異世界転移・転生を司る女神さまの分身たる教祖様ですな! 愛読書も異世界転移ものとは、このエクスシア、感激のあまりむせび泣きそうですぞ!」
エクスシアは感激したように言うと、本当に涙を流し始めたのだ。
「は、はぁ。そうっすか……」
すごいね。
異世界に行く系のラノベやなろう系Web小説を読むのが好きだと言ったら、感動して泣かれてしまったよ。
なんかもう、そのうち異世界って付けば箸が転がっただけで感動してくれそうな勢いなんだけど。
「それで話を戻しますが、教祖様の巧みな推理通り、幸運にもこの部屋の隣に偶然たまたま教団のメンバーが住んでおり、そこから連絡があったのですぐに動けたというわけなのです」
「え、ご近所さんどころか隣の部屋!? ってことはもしかして中野さん?」
「はい、そうですよ♡」
ここで、今まで話していたリーダーではなく、後ろでじっと黙って拘束されたままでいた黒ずくめの男たちの一人がそう答えた。
いや俺が勝手に男だと思い込んでいただけで、実は黒ずくめの女の子だったんだけど、今はそれは置いといてだ。
「え、君、中野さんだったの? 隣の部屋の?」
「はい、お隣の中野です♡」
中野さんの声を俺は初めて聞いたんだけど、とても可愛らしい声をしていた。
初めて聞いたはずだけど、なぜか聞いたことがあるような、ないような?
まぁ気のせいか。
なにせ今までは視線も合わせてもらえなかったしな。
実は俺も、結構怖い系の女の人なのかなとか思ってたんだけど、本当のところは可愛い女の子だったのか。
ってことは、やっぱり俺が30過ぎの独身男だから警戒されてたんだろうなぁ。
改めて肩身の狭さを実感させられた30代無職の俺だった。
「これはサモンネーム、当教団の幹部に与えられる特別な洗礼名にございます。また私の本名は山田一郎と申します」
おう、エクスシアは山田一郎さんだったのかぁ。
なんていう落差が激しいね。
いやいいんだけどね?
俺も昔からSNSとかだと、遠流→トール→雷神→ライジンってニックネームだし。
もちろんリアルでは使っていない。
「それと俺のことはどうやって知ったんだ? いくらあちこちにメンバーを張り巡らせている巨大組織だからって、昨日の今日でどんだけ情報通なんだよ?」
「それはメンバーの一人から緊急連絡があったからです。異世界召喚者を見つけたと」
「それにしたって早すぎだろ。あ、まさかそのメンバーって俺の身近な人間なのか? ご近所さんとか?」
「さすがは教祖様。類まれなる異世界召喚能力だけでなく、素晴らしい推理力までもお持ちなのですな」
「え、そう?」
「さしずめ愛読書はシャーロック・ホームズや名探偵ポワロといったところですかな?」
「あ、いえ。俺の好きな本は転スラとこのすばです。他もラノベやなろう系Web小説ばっかり読んでます。特に異世界転移ものが好きです。期待に応えられなくてすみません」
ミステリーとか全く読まないしシャーロック=ホームズなんて名前くらいしか知らない俺は、知ったかせずに正直に告白したんだけど、
「なんと! さすがは異世界転移・転生を司る女神さまの分身たる教祖様ですな! 愛読書も異世界転移ものとは、このエクスシア、感激のあまりむせび泣きそうですぞ!」
エクスシアは感激したように言うと、本当に涙を流し始めたのだ。
「は、はぁ。そうっすか……」
すごいね。
異世界に行く系のラノベやなろう系Web小説を読むのが好きだと言ったら、感動して泣かれてしまったよ。
なんかもう、そのうち異世界って付けば箸が転がっただけで感動してくれそうな勢いなんだけど。
「それで話を戻しますが、教祖様の巧みな推理通り、幸運にもこの部屋の隣に偶然たまたま教団のメンバーが住んでおり、そこから連絡があったのですぐに動けたというわけなのです」
「え、ご近所さんどころか隣の部屋!? ってことはもしかして中野さん?」
「はい、そうですよ♡」
ここで、今まで話していたリーダーではなく、後ろでじっと黙って拘束されたままでいた黒ずくめの男たちの一人がそう答えた。
いや俺が勝手に男だと思い込んでいただけで、実は黒ずくめの女の子だったんだけど、今はそれは置いといてだ。
「え、君、中野さんだったの? 隣の部屋の?」
「はい、お隣の中野です♡」
中野さんの声を俺は初めて聞いたんだけど、とても可愛らしい声をしていた。
初めて聞いたはずだけど、なぜか聞いたことがあるような、ないような?
まぁ気のせいか。
なにせ今までは視線も合わせてもらえなかったしな。
実は俺も、結構怖い系の女の人なのかなとか思ってたんだけど、本当のところは可愛い女の子だったのか。
ってことは、やっぱり俺が30過ぎの独身男だから警戒されてたんだろうなぁ。
改めて肩身の狭さを実感させられた30代無職の俺だった。
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