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第1章 朝5時にピンポン連打する異世界押しかけ妻

第23話 異世界郵便局

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「あ、そうです」

 お金の話が一段落したところで、突然エリカがハッと思いだしたようにポンと軽く手を叩いた。

「どうした?」
「郵便を出さないといけないんでした」

 言ってエリカはポーチから一通の茶封筒を取り出す。
 宛て先はよく見えなかったけれど、「速達」の赤文字に加えて封筒の左上には一般的な郵便切手が貼ってあった。

「郵便?」
「はい。異世界転移が完了したことを伝えないといけませんので」

「え? 届くの? 郵便で? マジで!?」

 えっと、故郷の異世界にってことだよな? 
 いったいどういう原理なんだ?

 世界最高峰との呼び声も高い我が日本国が誇る郵便配送能力は、まさか異世界にまで届けることが可能なのか!?
 なにそれすごい!

「あ、速達だけでなく書留もつけておいたほうがいいでしょうか?」
「……そういう問題なのかな?」

「もしかして他にも問題がありますか?」

 なんだろう。
 上手く会話が噛み合ってない気がしないでもないけど――、

「まぁいいや。ちなみに書留はポストじゃなくて郵便局の窓口からじゃないと出せないぞ? 専用封筒もいるし、ここからだと最寄りの郵便局まで2キロくらいかかる」

「それはちょっと手間ですね。では速達だけにしてポストに投函で済ませます。教えていただきありがとうございました」

「いいっていいって」

 しっかし郵便って異世界にも届くんだな。
 さすが日本郵政、おそるべし!

 まぁエリカが異世界から転移してくるくらいだから、手紙が一通、異世界に転移しても何ら不思議ではないんだけれど。

 今日は朝から濃密なイベントが満載だったので、すっかり不思議慣れしちゃってる俺だった。

「じゃあ一緒にポストまで出しに行くか」
「いいんですか?」

「そろそろ昼だろ? 朝ご飯は軽めだったし、その……激しい運動もしたし? エリカもお腹空いてるだろ? どっかで昼を食べてから、生活に必要な日用品とかを買いに行こうぜ」

「運動っていうか、エッチですよね♡」

「ま、まぁ……うん」
 口に出すのが弾家事かったので、敢えてぼかして言ったところを突っ込まれてしまった。

「トールはすごくたくましかったです♡」
「エリカも、その……可愛かったぞ?」

「ありがとうございます♡ またエッチしましょうね♡」
「お、おう!」

 おや?
 なんかこう、雰囲気がまたエッチな感じになったような……?
 ってことはまたエッチしちゃう?

 30年以上続いた童貞という名の束縛からついに解放された反動でもあるのか、俺の方はいくらでもエッチできちゃいそうな感じなんだけど?

 しかしそんな風にエロいことを考えていたのは俺だけのようで、

「そうですね、わたしも少々お腹がすいています」
 エリカがお腹をさすりながら可愛らしく言った。

 まぁさすがにな。
 朝から何回もエッチしちゃってるしな。
 せめて夜まで待とう、うん。
 俺はオナニーを覚えたてのチンパンジー君ではないのだから

「だったらどっか食べに行くか? なんせ7億もあるだろ、エリカの歓迎会もかねて今日くらいちょっといいもの食べたって罰は当たらないかなって思うんだ。エリカは何か食べたいものはあるか?」

「わたしが選んでいいんですか?」

「もちろんだよ。この世界への転移祝いってことで、今日はエリカの好きなものを食べようぜ」

 それにエリカは日本についてこんなに色々と勉強してきているみたいだから。
 だから多分、食べたいものもあるんじゃないかと俺は思ったのだ。

 そしてその考えは当たっていたようで、

「でしたら回るお寿司が食べたいです!」

 両手をあごの横でグッと握って鼻息も荒く言うエリカ。
 目がキラキラと輝いていた。

「またえらくテンションが高いな? そんなに寿司が食べたいのか?」

「はい、日本文化を紹介する本を読んでからずっと行きたいと思っていたんです。お寿司をグルグル回すなんてすごい発想です!」

「もしかして寿司じゃなくて回るお寿司限定なのか?」

「はい、回転寿司限定です! 人手を減らしながら遊び心のある演出を行う――まさに機能美が詰まった飲食形態、それが回転寿司だと思います!」

「まぁ楽しくはあるよな。俺も寿司が回っているのを見るだけで楽しくなるし」

「ですよね! レーンで流れてくるお寿司を取ったり、食べ終えたお皿を入れてガチャガチャもしてみたいです!」

「ガチャってことはくら寿司か、この近くにあったかな……?」
 俺はすぐにスマホを出して店舗検索する。

「お、あった。えーと、駅の反対側だから歩いて10分くらいだな」

 俺はそのまま飲食予約アプリで2名様で予約をすると、エリカを連れてくら寿司へと向かった。
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