朝5時に、ピンポン鳴ったら、妻できた。 (えっちバージョン)

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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第1章 朝5時にピンポン連打する異世界押しかけ妻

第14話 事後の賢者モードだと話がサクサク進むよね

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「と、いいますと?」
 エリカが少し目を大きくしながら小首をかしげた。

 無駄にあざとくて可愛い。
 狙ってやってるな、間違いなく。

 女の子にモテない人生を送ってきた非モテ男子には効果は抜群だろう。
 当然俺にも効果は抜群だ!

「ほら、異世界召喚ものって言ったらさ? たいがいの場合は召喚主が困っていて、召喚された側は召喚主の手助けをするために奮闘するっていうのが定番だろ?」

「まぁ例外はあるでしょうけど、一般的にはそのような感じですかね?」

「だけどいたって庶民な俺には、エリカを異世界召喚してまで解決してほしい悩みなんてないんだよな」

 しいて言うなら、いい感じの職場に再就職したいってことだけど。
 年末年始に休みがあって、有休がちゃんととれて、給料がそこそこの会社の正社員になりたいです。

「そうなんですね」

「逆にエリカにしても、やっぱ異世界召喚されたからにはこの世界の危機を救ったりするもんじゃないのか? なにか世界を変える使命みたいなものでもあったりするのかなって、ちょっと気になってたんだけど」

「ふむふむそういうことですね。なるほどなるほど、トールの疑問点がどこにあるのかは理解しました」

「ちなみに俺の方は、そういう世界を変えるみたいな気持ちはこれっぽっちもないからな? エリカは知らないかもだけど、俺が住むこの日本って国は世界で一番平和な国の一つなんだ。だからそこまでしてやらないといけないようなことは――」

「それでしたら心配は無用です。異世界に召喚されたことで、わたしは既にその目的を果たしておりますので、トールがあれこれ思い悩む必要はこれっぽっちもありませんから」

 俺の言葉に最後、被せるように言ったエリカに、

「……ん? 目的は既に果たしたって、どういうこと?」
 俺は疑問の言葉を口にする。

「ちょうどいいですね。トールが勇者様であることと一緒に説明させていただきます」

 エリカは可愛らしい女の子座りをやめてキリッと正座をすると、スッと背筋を伸ばして言葉を続ける。

「最初に言いましたように、わたしは異世界転生・転移の女神様が治める基幹世界『ディ・マリア』からやってきた巫女です」

「そうみたいだな」

「そしてわたしが異世界転移をすることによって世界の間の均衡が回復し、異世界転生・転移の女神さまもこれでやれやれ一安心。一息ついた女神様によってわたしのいた世界も祝福で満たされたのでした。終わり」

「へー、そう言うシステムなんだな。で、その後どうなるんだ?」

「だから終わりです」

「……は?」

 まだ説明が始まったところなのに、いきなり終わりと言われて俺はポカーンと口を開けた。

「だから終わりなんですよ。異世界転移しましたので、今ごろ故郷の世界は女神さまの祝福であまねく満たされていることでしょう。お父さん、お母さん、故郷のみんな! エリカはやりましたよ!」

 グッと可愛らしくガッツポーズするエリカはすごく可愛かったんだけど、今はそれは置いておいて、

「え、つまりなに? 異世界転移そのものが目的であって、それを果たしたら転移先では特にすることがないってこと?」

「端的に言うとそうなりますね。理解が早くて何よりです。そして世界を祝福で満たしたトールは、世界を救った勇者様なわけなのです。世界を救済していただきありがとうございました」

「いやいやいやいやいや。え? マジで?」

「マジです」

「エリカが異世界転移することが最終目的?」

「はい、それがわたしの最終目的です」

「転移したこの世界で悪の秘密結社や黒づくめの謎の組織と戦ったり、世界を破滅の危機から救ったりはしないの?」

「この世界に危機が訪れているのでしたら微力を尽くしますけれど、なければ特には」

「あ、そうなんだ」

「ちなみにわたしは巫女ですので、戦闘能力などはからっきしですね。運動能力は平均よりもちょい上くらいでしょうか。成績は実技より座学でとるタイプです。なので世界を救うような際どい場面では、あまり役に立たないと思われます」

「あ、そうなんだ……」

 異世界召喚術師トールの物語――完。

 それにしても俺が散々内尽くした後で賢者モードになっているだけあって、エッチで巨乳でご奉仕押しかけ妻なエリカを前にしても、話がサクサクスムーズに進むなぁ。
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