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第4章 ヒロインズ・バトル
第115話 説得
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「え?」
ここまで俺のサポートをしようと臨戦態勢をとりつつも、出番がなかったアリエッタが、驚いたように俺を見た。
「カラミティ・インフェルノだ! SSランクの中でも最高火力を誇るカラミティ・インフェルノで、ジラント・ドラゴンを攻撃して欲しいんだ!」
現状、俺とジラント・ドラゴンとの超絶パワー勝負に割って入れるのは、アリエッタのカラミティ・インフェルノしかない。
俺たちが実は持っていた奥の手。
しかしそれは最高の一手となるはずだ!
俺のフルパワー・ペンドラゴン・アヴァランシュに、アリエッタのカラミティ・インフェルノがプラスされれば、破壊できないものなどない!
「で、でも。カラミティ・インフェルノはまだ制御ができないわ。ユータも知っているでしょ。初めて会った時に、私が暴走させてしまったこと。私はあの時まったくコントロールができなかった」
「あの時とは違うさ。あれからアリエッタは成長した。今のアリエッタなら使える。ずっと見てきた俺が保証する」
俺は説得の言葉をつむいでいく。
「たしかにユータの言葉はいつも正しかったわ。誰よりも正確に物事を見定めてきたわ」
「だろ?」
「だけどカラミティ・インフェルノだけは無理よ。代わりにライオネル・ストライク・フルチャージならどう? これも威力だけならSランク以上はあるわ」
しかしアリエッタは完全に及び腰だった。
「ライオネル・ストライク・フルチャージはさっき防がれただろ? 無駄撃ちになる可能性が高い。今は通常戦闘とは全く次元の異なる、超絶最大最高の火力が必要なんだ」
くっ、話している間にも、俺の魔力の底が見え始めたぞ。
ペンドラゴン・アヴァランシュの維持限界が近い。
もう長くは持たない――!
「それは、そうだけど……でも……」
「出会った時から今日までずっと、アリエッタはものすごい速度で成長している。魔法式を誰よりも深く読み込んで、研究して、改良して、新しい派生魔法まで作り出してみせた。魔法理解がはるかに深まった今なら、カラミティ・インフェルノもコントロールできるはずだ!」
俺は勝つためにはカラミティ・インフェルノしかないと必死に説得するのだが、
「でも……あれから一度も練習すらしていないし……また暴走してしまったら……」
くそ、ここにきてアリエッタがなかなか踏ん切りをつけてくれない。
どうやらカラミティ・インフェルノの暴走未遂は、俺が思ってた以上に、アリエッタにとって大きな負の記憶になっているようだ。
「悪いんだが、俺の魔力もそろそろ尽きそうなんだ。話している時間も、悩んでいる余裕もない。決断してくれ。アリエッタならできる! 俺はそう信じている! いや確信している!」
「わ、私は――だって、失敗したら暴走して、みんなを撒き込んじゃって――」
俺がどれだけ説得の言葉を重ねても、なおも言い淀むアリエッタ。
そんなアリエッタに向かって、
「あらあら。ローゼンベルクの姫騎士というのは意外と臆病者なのですわね。それとも臆病者はあなただけかしら、アリエッタ・ローゼンベルク。だとしたら失望ですわね」
嘲笑するような声が後ろから届いた。
ここまで俺のサポートをしようと臨戦態勢をとりつつも、出番がなかったアリエッタが、驚いたように俺を見た。
「カラミティ・インフェルノだ! SSランクの中でも最高火力を誇るカラミティ・インフェルノで、ジラント・ドラゴンを攻撃して欲しいんだ!」
現状、俺とジラント・ドラゴンとの超絶パワー勝負に割って入れるのは、アリエッタのカラミティ・インフェルノしかない。
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しかしそれは最高の一手となるはずだ!
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「あの時とは違うさ。あれからアリエッタは成長した。今のアリエッタなら使える。ずっと見てきた俺が保証する」
俺は説得の言葉をつむいでいく。
「たしかにユータの言葉はいつも正しかったわ。誰よりも正確に物事を見定めてきたわ」
「だろ?」
「だけどカラミティ・インフェルノだけは無理よ。代わりにライオネル・ストライク・フルチャージならどう? これも威力だけならSランク以上はあるわ」
しかしアリエッタは完全に及び腰だった。
「ライオネル・ストライク・フルチャージはさっき防がれただろ? 無駄撃ちになる可能性が高い。今は通常戦闘とは全く次元の異なる、超絶最大最高の火力が必要なんだ」
くっ、話している間にも、俺の魔力の底が見え始めたぞ。
ペンドラゴン・アヴァランシュの維持限界が近い。
もう長くは持たない――!
「それは、そうだけど……でも……」
「出会った時から今日までずっと、アリエッタはものすごい速度で成長している。魔法式を誰よりも深く読み込んで、研究して、改良して、新しい派生魔法まで作り出してみせた。魔法理解がはるかに深まった今なら、カラミティ・インフェルノもコントロールできるはずだ!」
俺は勝つためにはカラミティ・インフェルノしかないと必死に説得するのだが、
「でも……あれから一度も練習すらしていないし……また暴走してしまったら……」
くそ、ここにきてアリエッタがなかなか踏ん切りをつけてくれない。
どうやらカラミティ・インフェルノの暴走未遂は、俺が思ってた以上に、アリエッタにとって大きな負の記憶になっているようだ。
「悪いんだが、俺の魔力もそろそろ尽きそうなんだ。話している時間も、悩んでいる余裕もない。決断してくれ。アリエッタならできる! 俺はそう信じている! いや確信している!」
「わ、私は――だって、失敗したら暴走して、みんなを撒き込んじゃって――」
俺がどれだけ説得の言葉を重ねても、なおも言い淀むアリエッタ。
そんなアリエッタに向かって、
「あらあら。ローゼンベルクの姫騎士というのは意外と臆病者なのですわね。それとも臆病者はあなただけかしら、アリエッタ・ローゼンベルク。だとしたら失望ですわね」
嘲笑するような声が後ろから届いた。
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