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第4章 ヒロインズ・バトル
第112話 緊急作戦会議
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まずは、全員での作戦共有が必要だ。
そしてルナのおちょくり機動でジラント・ドラゴンが攻撃の手を緩めた今は、作戦会議の大チャンスだ。
「ルナ! 風魔法で俺とアリエッタの会話を全員に聞こえるようにしてほしい!」
「っ! 了解! 微風よ、彼の者の声を広く遍《あまね》く届けたまえ。エア・フォン!」
微風が俺の口元にふわりと巻き起こり、前髪が小さく揺れる。
言葉を遠くへと届ける風の魔法が、俺の周囲に展開したのだ。
この魔法の最大の特徴は、対象の者同士を風魔法が繋ぐため、相手には聞かれることがないという点にある。
ジラント・ドラゴンは明らかに知性がある。
ともすれば人間の言葉を理解しているかも知れないからな。
できれば大事な作戦会議は隠密にやりたい。
というわけで、今から緊急作戦会議の開始だ。
「アリエッタ、このままだとジリ貧だ。リューネの魔力回復も無限じゃない。どこかで勝負をかけなきゃならない」
「同感ね。だけど勝負をかけるって言っても、どうするの?」
「全魔力をつぎ込んだフルパワーでペンドラゴン・アヴァランシュを撃つ」
「ペンドラゴン・アヴァランシュって初めて会った時に使ったSSランク魔法よね?」
「ああ。俺がいきなり大浴場にドボンして、アリエッタにいきなり決闘を挑まれた時に使った奴だな」
「い、今はその話はいいでしょ! あの時はちょっとカッとなってたの! 今はちゃんと反省しているもの!」
いろいろと思い出したのか、アリエッタが頬を赤くする。
照れたアリエッタが超可愛い。
──って、見とれている場合じゃない。
ジラント・ドラゴンが再び攻撃を仕掛けてくる前に話を終らせないと。
「聖剣エクスカリバーがある時のペンドラゴン・アヴァランシュの威力は、SSランクを越えてSSSランクに到達する。俺の最大火力の必殺技だ」
ソシャゲでは「やりすぎ」「もはや公式チート」などなど言われたい放題な、神騎士の誇る極大魔法だ。
これをぶつける。
「SSSランクに!? 何週間もかけて大人数で行う大規模な儀式魔法級じゃない!」
「だけどその分、消耗も激しいんだ。1発撃ったらもう次はない。おそらくリューネの魔力回復でも消耗した魔力を回復しきれない」
そもそもリューネ自身もかなり消耗をしている。
これ以上の負荷はかけられない。
「もしそれで決まらなかったら?」
「決まらなかったら──後はみんなにお願いするしかないかな」
「お願いって、SSSランク魔法が通用しないなら、私たちの魔法じゃ到底通用しないわ。本当に一発勝負ってことね?」
「ああ。この一撃にすべてかける。それで、俺は今から詠唱に入るんだが、力を溜めつつだから、短い間とはいえ足を止めないといけない。だからみんなで時間稼ぎをしてほしい」
「分かったわ」
アリエッタが頷くのと同時に、
「防御でしたら、このわたくしにお任せを。ユウタ様はこのユリーナ・リリィホワイトが命に代えても守ってみせますわ」
ユリーナが自信満々に。
「(ゝω・)キララッ☆」
キララはいつも通りノーテンキにポーズを決めながら。
「時間稼ぎならアタシに任せて! 注意を引いて引いて引きまくるから!」
ルナはいい笑顔を浮かべて。
「ユウタさん、ご武運を!」
「カガヤ様に勝利の女神が微笑みますように」
リューネとクララは祈るように。
みんながそれぞれの思いを込めた力強い言葉を返してくれる。
「サンキューみんな! みんなで力を合わせてドラゴン討伐を成し遂げるぞ!」
ジラント・ドラゴンは強敵だ。
だが、ここにいる最高の仲間たちとなら、絶対にやりとげられる!
俺は半ば確信のようなものを抱きながら、聖剣エクスカリバーを正眼に構えると、極大呪文の詠唱に入った。
そしてルナのおちょくり機動でジラント・ドラゴンが攻撃の手を緩めた今は、作戦会議の大チャンスだ。
「ルナ! 風魔法で俺とアリエッタの会話を全員に聞こえるようにしてほしい!」
「っ! 了解! 微風よ、彼の者の声を広く遍《あまね》く届けたまえ。エア・フォン!」
微風が俺の口元にふわりと巻き起こり、前髪が小さく揺れる。
言葉を遠くへと届ける風の魔法が、俺の周囲に展開したのだ。
この魔法の最大の特徴は、対象の者同士を風魔法が繋ぐため、相手には聞かれることがないという点にある。
ジラント・ドラゴンは明らかに知性がある。
ともすれば人間の言葉を理解しているかも知れないからな。
できれば大事な作戦会議は隠密にやりたい。
というわけで、今から緊急作戦会議の開始だ。
「アリエッタ、このままだとジリ貧だ。リューネの魔力回復も無限じゃない。どこかで勝負をかけなきゃならない」
「同感ね。だけど勝負をかけるって言っても、どうするの?」
「全魔力をつぎ込んだフルパワーでペンドラゴン・アヴァランシュを撃つ」
「ペンドラゴン・アヴァランシュって初めて会った時に使ったSSランク魔法よね?」
「ああ。俺がいきなり大浴場にドボンして、アリエッタにいきなり決闘を挑まれた時に使った奴だな」
「い、今はその話はいいでしょ! あの時はちょっとカッとなってたの! 今はちゃんと反省しているもの!」
いろいろと思い出したのか、アリエッタが頬を赤くする。
照れたアリエッタが超可愛い。
──って、見とれている場合じゃない。
ジラント・ドラゴンが再び攻撃を仕掛けてくる前に話を終らせないと。
「聖剣エクスカリバーがある時のペンドラゴン・アヴァランシュの威力は、SSランクを越えてSSSランクに到達する。俺の最大火力の必殺技だ」
ソシャゲでは「やりすぎ」「もはや公式チート」などなど言われたい放題な、神騎士の誇る極大魔法だ。
これをぶつける。
「SSSランクに!? 何週間もかけて大人数で行う大規模な儀式魔法級じゃない!」
「だけどその分、消耗も激しいんだ。1発撃ったらもう次はない。おそらくリューネの魔力回復でも消耗した魔力を回復しきれない」
そもそもリューネ自身もかなり消耗をしている。
これ以上の負荷はかけられない。
「もしそれで決まらなかったら?」
「決まらなかったら──後はみんなにお願いするしかないかな」
「お願いって、SSSランク魔法が通用しないなら、私たちの魔法じゃ到底通用しないわ。本当に一発勝負ってことね?」
「ああ。この一撃にすべてかける。それで、俺は今から詠唱に入るんだが、力を溜めつつだから、短い間とはいえ足を止めないといけない。だからみんなで時間稼ぎをしてほしい」
「分かったわ」
アリエッタが頷くのと同時に、
「防御でしたら、このわたくしにお任せを。ユウタ様はこのユリーナ・リリィホワイトが命に代えても守ってみせますわ」
ユリーナが自信満々に。
「(ゝω・)キララッ☆」
キララはいつも通りノーテンキにポーズを決めながら。
「時間稼ぎならアタシに任せて! 注意を引いて引いて引きまくるから!」
ルナはいい笑顔を浮かべて。
「ユウタさん、ご武運を!」
「カガヤ様に勝利の女神が微笑みますように」
リューネとクララは祈るように。
みんながそれぞれの思いを込めた力強い言葉を返してくれる。
「サンキューみんな! みんなで力を合わせてドラゴン討伐を成し遂げるぞ!」
ジラント・ドラゴンは強敵だ。
だが、ここにいる最高の仲間たちとなら、絶対にやりとげられる!
俺は半ば確信のようなものを抱きながら、聖剣エクスカリバーを正眼に構えると、極大呪文の詠唱に入った。
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