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第4章 ヒロインズ・バトル

第101話 もっとマイルドに行こうぜ? 推し活とか、推し活とか、推し活とか。

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「愚かだと? 愚かなのはお前たちの方だ。姫騎士という最も強い存在こそが、王として君臨するにふさわしいのは自明の理だろう」

 自分の考えが愚かと言われてカチンときたのか、闇落ち姫騎士は攻撃の手を緩めると、自らの考えを滔々とうとうと語り始めた。

「強けりゃいいって、そりゃ動物の論理だろ。俺たちは理性のある人間だ」

 なに言ってんだこいつ。
 かけっこが速い方がカッコいい小学生男子かよ。
 今時、迷惑系Vtuberだってもうちょっとマシなことを言うぞ。

「何が理性だ。王も国家も、全て強者が弱者を支配している! 戦争も勝つのは必ず強者だ。だというのに、姫騎士だけが強さと支配の関係から切り離されている。これがおかしいと、なぜお前たちは気付かない!」

「それって結局、待っているのは最強の座を巡って戦いの連鎖が続く、殺伐とした世界だろ? なにせ強さが基準なんだから、強さを証明するには戦いが必須だもんな。でも、そういうの良くないと思うんだよなぁ」

 戦国時代じゃないんだからさ。
 みんながそれなりに平和に暮らしているのを破壊してまで、それはやらないといけないかって言われたら、別にする必要はないだろ?

 もっとマイルドに行こうぜ?
 推し活とか、推し活とか、推し活とか。

「ふん、それの何が悪い? 我々姫騎士の力がいいように利用されるよりも、はるかに素晴らしい世界だろうが。世界は本来、最強存在たる我々姫騎士によって統治されるべきなのだ。我々にはその権利と義務と、そうするだけの力がある! これは姫騎士の、姫騎士による、姫騎士のための革命なのだ!」

 うっわ、革命とか言い出したんだけど。

 ソシャゲの中なら気にせず軽く読み飛ばせばいいけど、リアルで面と向かって革命とか言われると、スッゲーげんなりするな。

 なんかもう、会話も通じないし面倒くさいな。
 もういいや、さっさと倒しちゃお。

「他者に理解されない自分の独りよがりを、革命とかそういう仰々しい言葉で着飾っているだけだろ? 結局それってあなたの感想ですよね?」

 俺は議論の放棄を告げる最強のワードを口にした。

「さっきから無駄にさかしいことを言うな、子供め。なんとも知った風な口を聞く」
「こう見えて育ちがいいんだ。あんたと違ってね」

 世界に誇る平和国家で、ボッチ陰キャなこと以外は何不自由なくぬくぬくと育ってきた日本人の育ちの良さを、舐めんなよ?
 俺は闇落ち姫騎士に神龍剣レクイエムの切っ先を向ける。

「ふん、これ以上話しても無駄か。できれば若く有望な姫騎士は殺したくなかったが、弱者に使われることを良しとする愚か者には、この私ジラント・ストレルカが、正義の鉄槌を下してやろう!」

 闇落ちした姫騎士――ジラント・ストレルカが、黒曜石でできたような不思議な黒光りをした剣を構え直した。

 そうそう。
 ジラント・ストレルカ。
 そういう名前だったな。

 思い出せそうで思い出せなくて、ちょっと気になっていたんだよ。
 自ら名乗って答え合わせをして、俺の気がかりを解消してくれて、ありがとさん。

 ってわけで話は終わりだ!

「できるもんならやってみな!」
「口の減らぬ子供めが!」

「一応ユウタ・カガヤって名前があるんだ。名前も知らない子供に負けるのは辛いだろ? 教えておいてやるよ」
「ほざけ!」

 カッカしやすい性格だと見て取った俺は、イラつかせるように軽く煽りを入れてから、ジラント・ストレルカと再び戦い始めた。
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