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第4章 ヒロインズ・バトル
第95話 バックハグ キララ&ユリーナ
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「え?」
ルナが、ユリーナからアリエッタに視線を向けた。
「ねぇルナ。お金で買えない物を今、あなたは手放そうとしているの。分かってる? それはね、あなたの心よ」
「で、でも200万もあれば、なんだって買えるし。それに今の1回だけだし――」
「いいえ、2度あることは3度あるわ。人間の心は弱い。ここで一度譲ったら、あなたはこれからも譲るようになってしまうわ。あなたはたった200万で、あなたの心を、あなたが今まで培ってきたあなたらしさを、あなたの人生そのものを売ろうとしているのよ」
「あ……」
「ルナ、あなたはたかが200万ぽっちで自分の生き様を捨てるような、安い女じゃないでしょう? 誰を相手にしても自分の意見を貫ける、強く尊い心を持った真の姫騎士でしょう?」
「アタシ的には200万は全然ぽっちじゃないんだけど……うん、アリエッタの言いたいことは分かった」
「分かってくれてよかったわ」
「うん。アタシが間違ってた。アタシはアタシ! ユウタくんの右腕は譲らない!」
「そうよ、その意気よ!」
なんともいい感じに言っているが、要はユリーナにそのポジションを渡すなと言っているだけである。
ルナとユリーナを天秤にかけて、ルナの味方をしているだけだ。
アリエッタの足を引っ張りたくはないから、指摘しないけどな!
「ちょっと。横からしゃしゃり出てきて邪魔をするのはやめて頂けませんかしら、アリエッタ・ローゼンベルク」
「あんたこそ何でもお金で解決しようだなんて、程度が知れるわよ?」
「なんですって!?」
「事実でしょ、事実」
「言うに事欠いて事実事実と! 仮にそうだとしても、何でもすぐにごり押しで解決しようとする脳筋なあなたにだけは、言われたくありませんわ!」
「誰が脳筋ですって!」
「事実でしょう?」
「なにが事実なのよ、なにが!」
「この前の決勝戦で、まさに力でごり押ししたばかりではありませんの」
「でもそれで勝ったじゃないの私」
「わたくしは勝ち負けを問題にしているのではありませんわ。精神のあり様を問うているのです」
「くっ、だいたいねぇ――」
「そういうあなたこそ――」
アリエッタとユリーナがとっても低次元な言い争いを始めた。
この2人はほんと、仲が良いのか悪いのか、分かんないなぁ。
少なくとも、お互い意識しまくっているのは間違いない。
しかしそこで意外なところから、救いの手が差し伸べられた。
「ユリーナ様ユリーナ様!(*'ω'*) だったらおにーさんの後ろからくっつけばいいんじゃないの?(*'ω'*) 後ろならあいてるよ?(*'ω'*) ほら、こんな感じで(*'ω'*)」
キララはそう言うと、背後から俺の腰に手を回すようにして抱き着いてきた。
ギューッと身体を押し付けてくる。
「お、おいキララ」
「えへへー、おにーさんの身体あったかーい(≧▽≦) キララ、おにーさん大好きー!(*'▽')」
男と女というよりは、兄妹みたいな感じで無邪気にくっついてくるキララ。
キララの手がさわさわと、おへその下の辺りをさすってくる。
さわさわ。さわさわ。
何も考えてないんだよな?
何も考えてないんだよな?
落ち着け、落ち着くんだ俺。
この子の精神は幼い子供だ。
全ての行動に深い意味はないんだ。
「っ! その手がありましたか。さすがキララ、わたくしの信頼するメイド姫騎士ですわね」
それを見たユリーナはハッとしたように言うと、キララと入れ替わるようにして俺をバックハグしてくる。
後ろから腰に手を回されてギュッと抱きすくめられた。
俺は左腕をアリエッタに。
右腕をルナに。
そしてユリーナにはバックハグで腰を抱きすくめられて。
両手に花どころか両手腰に花となった俺は、仮装パレードの参加者並に周囲の奇異の視線を集めてしまう。
「やるわね、ユリーナ」
「アタシもその発想はなかったわ」
そんな視線に気付いていないのか、アリエッタとルナが感心したように言って、
「まぁ、これでうまく収まったと言えば収まったんでしょうか……?」
リューネがまたもやいい感じに話を締めくくった。
こうしてユリーナとキララとクララの3人を加えて7人編成となった俺たちは、引き続き仮装パレードを眺めていたんだけど――。
「妙ね」
俺の左腕を抱きながら、アリエッタがやけに真剣な声でつぶやいた。
ルナが、ユリーナからアリエッタに視線を向けた。
「ねぇルナ。お金で買えない物を今、あなたは手放そうとしているの。分かってる? それはね、あなたの心よ」
「で、でも200万もあれば、なんだって買えるし。それに今の1回だけだし――」
「いいえ、2度あることは3度あるわ。人間の心は弱い。ここで一度譲ったら、あなたはこれからも譲るようになってしまうわ。あなたはたった200万で、あなたの心を、あなたが今まで培ってきたあなたらしさを、あなたの人生そのものを売ろうとしているのよ」
「あ……」
「ルナ、あなたはたかが200万ぽっちで自分の生き様を捨てるような、安い女じゃないでしょう? 誰を相手にしても自分の意見を貫ける、強く尊い心を持った真の姫騎士でしょう?」
「アタシ的には200万は全然ぽっちじゃないんだけど……うん、アリエッタの言いたいことは分かった」
「分かってくれてよかったわ」
「うん。アタシが間違ってた。アタシはアタシ! ユウタくんの右腕は譲らない!」
「そうよ、その意気よ!」
なんともいい感じに言っているが、要はユリーナにそのポジションを渡すなと言っているだけである。
ルナとユリーナを天秤にかけて、ルナの味方をしているだけだ。
アリエッタの足を引っ張りたくはないから、指摘しないけどな!
「ちょっと。横からしゃしゃり出てきて邪魔をするのはやめて頂けませんかしら、アリエッタ・ローゼンベルク」
「あんたこそ何でもお金で解決しようだなんて、程度が知れるわよ?」
「なんですって!?」
「事実でしょ、事実」
「言うに事欠いて事実事実と! 仮にそうだとしても、何でもすぐにごり押しで解決しようとする脳筋なあなたにだけは、言われたくありませんわ!」
「誰が脳筋ですって!」
「事実でしょう?」
「なにが事実なのよ、なにが!」
「この前の決勝戦で、まさに力でごり押ししたばかりではありませんの」
「でもそれで勝ったじゃないの私」
「わたくしは勝ち負けを問題にしているのではありませんわ。精神のあり様を問うているのです」
「くっ、だいたいねぇ――」
「そういうあなたこそ――」
アリエッタとユリーナがとっても低次元な言い争いを始めた。
この2人はほんと、仲が良いのか悪いのか、分かんないなぁ。
少なくとも、お互い意識しまくっているのは間違いない。
しかしそこで意外なところから、救いの手が差し伸べられた。
「ユリーナ様ユリーナ様!(*'ω'*) だったらおにーさんの後ろからくっつけばいいんじゃないの?(*'ω'*) 後ろならあいてるよ?(*'ω'*) ほら、こんな感じで(*'ω'*)」
キララはそう言うと、背後から俺の腰に手を回すようにして抱き着いてきた。
ギューッと身体を押し付けてくる。
「お、おいキララ」
「えへへー、おにーさんの身体あったかーい(≧▽≦) キララ、おにーさん大好きー!(*'▽')」
男と女というよりは、兄妹みたいな感じで無邪気にくっついてくるキララ。
キララの手がさわさわと、おへその下の辺りをさすってくる。
さわさわ。さわさわ。
何も考えてないんだよな?
何も考えてないんだよな?
落ち着け、落ち着くんだ俺。
この子の精神は幼い子供だ。
全ての行動に深い意味はないんだ。
「っ! その手がありましたか。さすがキララ、わたくしの信頼するメイド姫騎士ですわね」
それを見たユリーナはハッとしたように言うと、キララと入れ替わるようにして俺をバックハグしてくる。
後ろから腰に手を回されてギュッと抱きすくめられた。
俺は左腕をアリエッタに。
右腕をルナに。
そしてユリーナにはバックハグで腰を抱きすくめられて。
両手に花どころか両手腰に花となった俺は、仮装パレードの参加者並に周囲の奇異の視線を集めてしまう。
「やるわね、ユリーナ」
「アタシもその発想はなかったわ」
そんな視線に気付いていないのか、アリエッタとルナが感心したように言って、
「まぁ、これでうまく収まったと言えば収まったんでしょうか……?」
リューネがまたもやいい感じに話を締めくくった。
こうしてユリーナとキララとクララの3人を加えて7人編成となった俺たちは、引き続き仮装パレードを眺めていたんだけど――。
「妙ね」
俺の左腕を抱きながら、アリエッタがやけに真剣な声でつぶやいた。
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