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第4章 ヒロインズ・バトル
第89話「ふーん? ふーん?? ふーん??? ふーん????」
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その後、肉まんやらケバブやら、つまりはいいとこのお嬢さまが食べることがなさそうなものを中心に、アリエッタを食べ歩きエスコートしていると、
「あれ、ユウタくんとアリエッタじゃん。ちゃお~♪」
ルナとバッタリ遭遇した。
「ユウタさん、アリエッタ。こんにちは」
ルナの隣にはリューネもいる。
「よっ、ルナ、リューネ。今日は2人もお祭りか」
「もちろんだし♪」
「ははっ、ルナは特にお祭りとか好きそうだもんな」
浴衣を着て水風船をポンポンしながらりんご飴を舐めて屋台を練り歩くルナの姿を、思わず想像してしまう。
実に絵になるよな。
アリエッタやリューネにも似合うだろうし、浴衣みたいな衣装、こっちの世界でなんとか手に入らないかな?
残念ながら自作するのは俺には無理だ。
異世界転生ものでマヨネーズとか醤油とか味噌とか何でも現地素材で作っちゃう主人公が時々いるけど、あれも結構な才能だよなぁ。
「もー、ユウタくんってばー。お祭りが嫌いな人なんていないでしょー?」
「それもそうか」
ゲームやネットといった無限に溢れる娯楽の存在しないこの世界じゃ、お祭りはスーパーでウルトラなビッグイベントだ。
たとえお祭り好きでなくとも、来たくなるってなもんだろう。
「それで、2人は何をしてるの?」
と、そこでルナが妙なことを尋ねてきた。
「何してるって、アリエッタと一緒にお祭りを見て回っているんだけど? それ以外に何かあるか?」
ルナの質問の意図がいまいち分からずに、俺は小首をかしげた。
だってお祭りに来るのに、それ以外の理由はないだろ?
しいて言うなら人間観察とか?
作家とか漫画家がやってそうなアレだ。
「……ユウタくんは今日は忙しいって、聞いたけど?」
なぜかルナが、俺ではなく俺の隣にいるアリエッタに視線を向けながら言った。
なんとなくアリエッタの視線が泳いだような気がした。
「いいや、全然そんなことはないぞ。俺は基本的に暇だ。誰に聞いたんだよ?」
「もちろんアリエッタからだしー?」
「アリエッタから?」
意外な答えに驚きつつ、俺がアリエッタに視線を向けると、
「……」
アリエッタは俺の視線から逃げるかのように、顔をスッと反対側へ背けた。
基本的に相手の目をまっすぐ見ながら自信満々で話すアリエッタにしては、珍しい行動だ。
さしものアリエッタ推しの俺も、この不可解な態度の裏は読みきれないぞ。
「ど、どうやら意思疎通に、微妙な齟齬があったようね」
「微妙な齟齬ぉ? ふーん? ふーん?? ふーん??? ふーん????」
ふんふんふんふん言いながら、なぜかジト目になるルナ。
その視線はずっとアリエッタに向けられている。
「な、なによ」
「独り占めしようとしたでしょ」
「し、してないし! ユータを独り占めしようなんて、私はそんなことこれっぽっちも――」
「アタシ別に、ユウタくんを独り占めにしようとしてるなんて、言ってないんですけどー?」
「~~~~~~~~~っっ!!」
「まったくもう、油断も隙もないんだから」
ルナが呆れたように肩をすくめた。
しかし俺にはその意図がさっぱり分からない。
この2人はさっきから、いったい何の話をしているんだ?
「あれ、ユウタくんとアリエッタじゃん。ちゃお~♪」
ルナとバッタリ遭遇した。
「ユウタさん、アリエッタ。こんにちは」
ルナの隣にはリューネもいる。
「よっ、ルナ、リューネ。今日は2人もお祭りか」
「もちろんだし♪」
「ははっ、ルナは特にお祭りとか好きそうだもんな」
浴衣を着て水風船をポンポンしながらりんご飴を舐めて屋台を練り歩くルナの姿を、思わず想像してしまう。
実に絵になるよな。
アリエッタやリューネにも似合うだろうし、浴衣みたいな衣装、こっちの世界でなんとか手に入らないかな?
残念ながら自作するのは俺には無理だ。
異世界転生ものでマヨネーズとか醤油とか味噌とか何でも現地素材で作っちゃう主人公が時々いるけど、あれも結構な才能だよなぁ。
「もー、ユウタくんってばー。お祭りが嫌いな人なんていないでしょー?」
「それもそうか」
ゲームやネットといった無限に溢れる娯楽の存在しないこの世界じゃ、お祭りはスーパーでウルトラなビッグイベントだ。
たとえお祭り好きでなくとも、来たくなるってなもんだろう。
「それで、2人は何をしてるの?」
と、そこでルナが妙なことを尋ねてきた。
「何してるって、アリエッタと一緒にお祭りを見て回っているんだけど? それ以外に何かあるか?」
ルナの質問の意図がいまいち分からずに、俺は小首をかしげた。
だってお祭りに来るのに、それ以外の理由はないだろ?
しいて言うなら人間観察とか?
作家とか漫画家がやってそうなアレだ。
「……ユウタくんは今日は忙しいって、聞いたけど?」
なぜかルナが、俺ではなく俺の隣にいるアリエッタに視線を向けながら言った。
なんとなくアリエッタの視線が泳いだような気がした。
「いいや、全然そんなことはないぞ。俺は基本的に暇だ。誰に聞いたんだよ?」
「もちろんアリエッタからだしー?」
「アリエッタから?」
意外な答えに驚きつつ、俺がアリエッタに視線を向けると、
「……」
アリエッタは俺の視線から逃げるかのように、顔をスッと反対側へ背けた。
基本的に相手の目をまっすぐ見ながら自信満々で話すアリエッタにしては、珍しい行動だ。
さしものアリエッタ推しの俺も、この不可解な態度の裏は読みきれないぞ。
「ど、どうやら意思疎通に、微妙な齟齬があったようね」
「微妙な齟齬ぉ? ふーん? ふーん?? ふーん??? ふーん????」
ふんふんふんふん言いながら、なぜかジト目になるルナ。
その視線はずっとアリエッタに向けられている。
「な、なによ」
「独り占めしようとしたでしょ」
「し、してないし! ユータを独り占めしようなんて、私はそんなことこれっぽっちも――」
「アタシ別に、ユウタくんを独り占めにしようとしてるなんて、言ってないんですけどー?」
「~~~~~~~~~っっ!!」
「まったくもう、油断も隙もないんだから」
ルナが呆れたように肩をすくめた。
しかし俺にはその意図がさっぱり分からない。
この2人はさっきから、いったい何の話をしているんだ?
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