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第4章 ヒロインズ・バトル
第88話 たい焼きで、間接キッス
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「どうだ?」
「はむはむ……。うん、カスタードもワッフルみたいで美味しいわね。あんこと甲乙つけがたいわ」
「アリエッタはカスタードもいける派か」
世の中には、目玉焼きに醤油をかけるかソースをかけるか塩コショウをかけるか、みたいな割とどうでもいいことで揉める人がいる。
そして嘆かわしいことに、カスタードたい焼きには少なくない否定派がいるのだ。
これで無益なたい焼き論争をしなくて済みそうだ。
と、ここで俺はとあることに気が付いた。
気が付いてしまった。
いやでも、え?
だってそうだよな?
これってもしかして――間接キスなのでは!?
ということに。
そのことを意識してしまった俺の視線は、ついアリエッタの口元へと向かってしまう。
「なによ?」
「いや……なんでもないんだ」
「やだ、もしかしてクリームでもついてた?」
アリエッタが慌てて指で唇をぬぐう。
「クリームはついてないよ」
「じゃあどうしたのよ?」
「いやほんと、なんでもないんだ」
「気になるじゃない。言いたいことがあるなら言いなさよね。美味しいものを一杯教えて貰った今の私はとても気分がいいから、少々のことなら笑って流せるわよ?」
「ほんと大したことじゃなくてさ」
「そういう言い方されると、余計に気になるでしょ。それに何でもなくて大したことでもないなら、別に言ってもいいってことよね?」
「ええっと、いや、どうだろうな……?」
「もぅ! さっきから煮え切らないわね! じゃあ3秒以内に答えること。3,2,1,ハイ」
さすがローゼンベルクの誇る突撃娘、強引な突破力だなぁ。
こうやってぐいぐい引っ張っていってくれるところも、アリエッタの魅力なんだけど。
それに言わばこれは、俺に興味を示してくれて、俺のことを知りたいって思ってくれてるってことだもんな!(強気の解釈)
ここまで言われたら、俺としても言わずに済ますわけにはいかない。
俺は意を決すると言った。
「だってさっきのって、いわゆる間接キスだろ? それが少し恥ずかしかったっていうかさ」
「間接キス……? ~~~~~~~~っっ!!」
アリエッタの顔が真っ赤に染まった。
「なんだ、気付いてなかったのかよ」
ってことは変に意識してしまっていたのは俺だけか。
ちょっと残念。
「き、気付いていたわよもちろんっ。でも敢えて言わなかっただけなんだからねっ。私はそんな浮ついた女じゃないんだからっ」
「お、おう。そうだな」
「だいたい、か、間接キスとか、そういうこと言わないでよね! もぅ、ユータのヘンタイ!」
「言えって言ったのはアリエッタだろ?」
それでヘンタイとは、酷い濡れ衣だよ。
「まさかそんなハレンチななことを言うなんて思ってなかったの! ユータのバカっ!」
バカと言いながらプイっと照れたようにそっぽを向くアリエッタだが、思い直したようにまた俺の方に向き直ると、自分のたい焼きを無言で差し出した。
「なんだよ?」
「わ、私だけ間接キスしたら不公平でしょ。だ、だから、ゆ、ユータもしなさいよねっ。はい、これで平等っ」
謎理論とともに突き出されたたい焼きをほんのわずか見つめた後、俺はアリエッタがやったのと同じようにパクリと一口かぶりつく。
「美味しい」
「ならばよし!」
アリエッタと間接キスしながら食べるたい焼きは、それはもう本当に心の底から美味しかった。
最高ですか?
最高です!!!!!!!!!
「はむはむ……。うん、カスタードもワッフルみたいで美味しいわね。あんこと甲乙つけがたいわ」
「アリエッタはカスタードもいける派か」
世の中には、目玉焼きに醤油をかけるかソースをかけるか塩コショウをかけるか、みたいな割とどうでもいいことで揉める人がいる。
そして嘆かわしいことに、カスタードたい焼きには少なくない否定派がいるのだ。
これで無益なたい焼き論争をしなくて済みそうだ。
と、ここで俺はとあることに気が付いた。
気が付いてしまった。
いやでも、え?
だってそうだよな?
これってもしかして――間接キスなのでは!?
ということに。
そのことを意識してしまった俺の視線は、ついアリエッタの口元へと向かってしまう。
「なによ?」
「いや……なんでもないんだ」
「やだ、もしかしてクリームでもついてた?」
アリエッタが慌てて指で唇をぬぐう。
「クリームはついてないよ」
「じゃあどうしたのよ?」
「いやほんと、なんでもないんだ」
「気になるじゃない。言いたいことがあるなら言いなさよね。美味しいものを一杯教えて貰った今の私はとても気分がいいから、少々のことなら笑って流せるわよ?」
「ほんと大したことじゃなくてさ」
「そういう言い方されると、余計に気になるでしょ。それに何でもなくて大したことでもないなら、別に言ってもいいってことよね?」
「ええっと、いや、どうだろうな……?」
「もぅ! さっきから煮え切らないわね! じゃあ3秒以内に答えること。3,2,1,ハイ」
さすがローゼンベルクの誇る突撃娘、強引な突破力だなぁ。
こうやってぐいぐい引っ張っていってくれるところも、アリエッタの魅力なんだけど。
それに言わばこれは、俺に興味を示してくれて、俺のことを知りたいって思ってくれてるってことだもんな!(強気の解釈)
ここまで言われたら、俺としても言わずに済ますわけにはいかない。
俺は意を決すると言った。
「だってさっきのって、いわゆる間接キスだろ? それが少し恥ずかしかったっていうかさ」
「間接キス……? ~~~~~~~~っっ!!」
アリエッタの顔が真っ赤に染まった。
「なんだ、気付いてなかったのかよ」
ってことは変に意識してしまっていたのは俺だけか。
ちょっと残念。
「き、気付いていたわよもちろんっ。でも敢えて言わなかっただけなんだからねっ。私はそんな浮ついた女じゃないんだからっ」
「お、おう。そうだな」
「だいたい、か、間接キスとか、そういうこと言わないでよね! もぅ、ユータのヘンタイ!」
「言えって言ったのはアリエッタだろ?」
それでヘンタイとは、酷い濡れ衣だよ。
「まさかそんなハレンチななことを言うなんて思ってなかったの! ユータのバカっ!」
バカと言いながらプイっと照れたようにそっぽを向くアリエッタだが、思い直したようにまた俺の方に向き直ると、自分のたい焼きを無言で差し出した。
「なんだよ?」
「わ、私だけ間接キスしたら不公平でしょ。だ、だから、ゆ、ユータもしなさいよねっ。はい、これで平等っ」
謎理論とともに突き出されたたい焼きをほんのわずか見つめた後、俺はアリエッタがやったのと同じようにパクリと一口かぶりつく。
「美味しい」
「ならばよし!」
アリエッタと間接キスしながら食べるたい焼きは、それはもう本当に心の底から美味しかった。
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