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第4章 ヒロインズ・バトル
第82話 アリエッタにデートに誘われた件。
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それはとある休日のことだった。
ハイレベルな姫騎士教育が行われている最高峰の姫騎士育成機関ブレイビア学園は、週7日のうち6日授業がある。
がしかし。
残りの休日1日も、多くの姫騎士が魔法研究や訓練を欠かさない。
3年間の学園生活で即戦力の姫騎士を養成するのがブレイビア学園の設立目的。
ブレイビア学園に入った以上は、おちおち休んではいられないのだ。
しかし今日だけは違った。
「ユータ、今日って暇?」
俺が部屋でアリエッタが朝一で声をかけてきた。
「俺は基本的に空き時間は暇してるな。知り合いも少ないし」
「そんなことを堂々と言えるのは、多分この学園でユータとお姉さまくらいよ? 嫌味に聞こえるから、私以外には言わないことをお勧めするわね」
「みんな頑張ってるもんなぁ。ま、自分から敵を作る必要はないよな。肝に銘じておくよ。で、今日がどうしたんだ?」
「今日はブレイビア王国の建国を祝う『聖ブレイビア祭』でしょ? 王都でパレードとお祭りがあるの。よかったら一緒に見に行かない?」
「な――っ!?」
「なによ?」
それってもしかして――!?
「つまりデートのお誘いってことか?」
「べ、別にそんなんじゃないし!」
「いやでも――」
「私はユータを率先して誘いたかったわけじゃないの。単に一緒に行くはずだったお姉さまが急に都合が悪くなったから、代わりを探して仕方なくユータに行きついただけなんだから。そこのところ勘違いしないでよねっ!」
まるで事前に考えてきたかのような、淀みのない言い訳だった。
「うんうん、分かった分かった。勘違いはしないよ。むふふ」
「なにその顔。絶対勘違いしてるし……まぁいいけど」
ということで。
俺はアリエッタに連れられてブレイビア王国の王都でお祭りデートをすることになった。
きゃっほう!
推しの子とデートだ!
やったぜ!
でもこんな展開はソシャゲではなかったよな?
聖ブレイビア祭なんて初耳だし。
まぁいいや。
きっと俺の清く正しい推し活が、ソシャゲすら超越してしまったんだろう。
推し活は世界を変える!(キリッ
「だったら、まずは外出許可申請を出さないとだよな。職員室に行けばいいのか?」
「ユータの分も私と一緒に申請しておいたから問題ないわよ。はいこれ、ユータの分」
アリエッタがミサンガを手渡してくる。
飾り気のないシンプルなものだが、うっすらと魔力が感じられた。
「手際がいいな」
「ま、まぁ? 私はローゼンベルクの姫騎士だから? こ、これくらいは当然でしょ?」
「……」
「な、なによ?」
「いや、俺の分も外出申請してくれてサンキューな」
アリエッタのツンデレを心の中で堪能しながら、俺は表面上は大人の対応をした。
まったく、そんなに俺とお祭りデートがしたかったのかよ?
可愛い奴だなぁ、もう。
「ないと思うけど、有事の際にブレイビア学園の防御結界が展開した時は、それがないと学園に入れなくなるからね。なくしちゃだめよ」
「そういや、そういう効果もあるんだっけか」
魔力を感じたのはそれが理由だな。
「ユータはまだ学園のことに詳しくないだろうから、改めて説明しておくけど。ブレイビア学園は最高位の防御精霊ゲンブによって常に守護されているの」
「ゲンブは四大守護精霊の一体なんだよな」
この世界ではセイリュウ、ビャッコ、スザク、ゲンブ――いわゆる四神は、古来より人類ともに存在し、人類を守護してきた特別な守護精霊だ。
その1体がなんとこのブレイビア学園を守護しているのだ。
「なにか重大事件が起こったら、ゲンブが学園全体に強力な防御加護を展開して、学園そのものが敵の侵入を阻む鉄壁の要塞となるわ。いくらユータが強くても、ゲンブの防御加護はさすがに開けられないわよ?」
「無理やり開けれてしまったら、それはそれで問題だよな」
つまりこのミサンガは、外出許可証を兼ねるとともに、緊急時に学園生徒が外に取り残されないようにするためのお助けアイテムでもあるのだ。
ちなみに姫騎士デュエルの闘技場(デュエルスタジアム)を覆う防御フィールドも、このゲンブの力を流用している。
元はゲームとはいえ、便利な設定だよなぁ。
ともあれ。
こうして俺はアリエッタと一緒に、聖ブレイビア祭にデートに行くことになった!
ハイレベルな姫騎士教育が行われている最高峰の姫騎士育成機関ブレイビア学園は、週7日のうち6日授業がある。
がしかし。
残りの休日1日も、多くの姫騎士が魔法研究や訓練を欠かさない。
3年間の学園生活で即戦力の姫騎士を養成するのがブレイビア学園の設立目的。
ブレイビア学園に入った以上は、おちおち休んではいられないのだ。
しかし今日だけは違った。
「ユータ、今日って暇?」
俺が部屋でアリエッタが朝一で声をかけてきた。
「俺は基本的に空き時間は暇してるな。知り合いも少ないし」
「そんなことを堂々と言えるのは、多分この学園でユータとお姉さまくらいよ? 嫌味に聞こえるから、私以外には言わないことをお勧めするわね」
「みんな頑張ってるもんなぁ。ま、自分から敵を作る必要はないよな。肝に銘じておくよ。で、今日がどうしたんだ?」
「今日はブレイビア王国の建国を祝う『聖ブレイビア祭』でしょ? 王都でパレードとお祭りがあるの。よかったら一緒に見に行かない?」
「な――っ!?」
「なによ?」
それってもしかして――!?
「つまりデートのお誘いってことか?」
「べ、別にそんなんじゃないし!」
「いやでも――」
「私はユータを率先して誘いたかったわけじゃないの。単に一緒に行くはずだったお姉さまが急に都合が悪くなったから、代わりを探して仕方なくユータに行きついただけなんだから。そこのところ勘違いしないでよねっ!」
まるで事前に考えてきたかのような、淀みのない言い訳だった。
「うんうん、分かった分かった。勘違いはしないよ。むふふ」
「なにその顔。絶対勘違いしてるし……まぁいいけど」
ということで。
俺はアリエッタに連れられてブレイビア王国の王都でお祭りデートをすることになった。
きゃっほう!
推しの子とデートだ!
やったぜ!
でもこんな展開はソシャゲではなかったよな?
聖ブレイビア祭なんて初耳だし。
まぁいいや。
きっと俺の清く正しい推し活が、ソシャゲすら超越してしまったんだろう。
推し活は世界を変える!(キリッ
「だったら、まずは外出許可申請を出さないとだよな。職員室に行けばいいのか?」
「ユータの分も私と一緒に申請しておいたから問題ないわよ。はいこれ、ユータの分」
アリエッタがミサンガを手渡してくる。
飾り気のないシンプルなものだが、うっすらと魔力が感じられた。
「手際がいいな」
「ま、まぁ? 私はローゼンベルクの姫騎士だから? こ、これくらいは当然でしょ?」
「……」
「な、なによ?」
「いや、俺の分も外出申請してくれてサンキューな」
アリエッタのツンデレを心の中で堪能しながら、俺は表面上は大人の対応をした。
まったく、そんなに俺とお祭りデートがしたかったのかよ?
可愛い奴だなぁ、もう。
「ないと思うけど、有事の際にブレイビア学園の防御結界が展開した時は、それがないと学園に入れなくなるからね。なくしちゃだめよ」
「そういや、そういう効果もあるんだっけか」
魔力を感じたのはそれが理由だな。
「ユータはまだ学園のことに詳しくないだろうから、改めて説明しておくけど。ブレイビア学園は最高位の防御精霊ゲンブによって常に守護されているの」
「ゲンブは四大守護精霊の一体なんだよな」
この世界ではセイリュウ、ビャッコ、スザク、ゲンブ――いわゆる四神は、古来より人類ともに存在し、人類を守護してきた特別な守護精霊だ。
その1体がなんとこのブレイビア学園を守護しているのだ。
「なにか重大事件が起こったら、ゲンブが学園全体に強力な防御加護を展開して、学園そのものが敵の侵入を阻む鉄壁の要塞となるわ。いくらユータが強くても、ゲンブの防御加護はさすがに開けられないわよ?」
「無理やり開けれてしまったら、それはそれで問題だよな」
つまりこのミサンガは、外出許可証を兼ねるとともに、緊急時に学園生徒が外に取り残されないようにするためのお助けアイテムでもあるのだ。
ちなみに姫騎士デュエルの闘技場(デュエルスタジアム)を覆う防御フィールドも、このゲンブの力を流用している。
元はゲームとはいえ、便利な設定だよなぁ。
ともあれ。
こうして俺はアリエッタと一緒に、聖ブレイビア祭にデートに行くことになった!
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