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第3章 1年生タッグトーナメント

第66話 これはアレだぞ!  バトル漫画とかでよくある、拳を交えた2人が分かり合うアレだ!

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「なんですのアリエッタ・ローゼンベルク。散々大口を叩いておいて無様に敗北した負け犬を、笑いに来ましたの?」

 歩み寄るアリエッタをキッと強気ににらみ付けながら、ユリーナが呟いた。

「そんなわけないでしょ。ナイスデュエルだったわよ。最後は本当に紙一重だった。ユリーナが受けないで避けてたら、負けていたのは私の方だったかも」

「慰めなんて要りませんわ。わたくしが負けたのは紛れもない事実ですから」
「私だって紛れもない事実を言っただけよ?」

 その言葉を聞いて、強張っていたユリーナの表情が少しだけ和らいだ。
 10秒ほど無言で見つめ合ったのち、ユリーナがポツリと呟いた。

「あの時、状況が一気にわたくし有利になって、ただの勝ちではなく完全勝利が欲しくなってしまったのですわ」

「うん」

「あなたの攻撃を真正面から受け止めて、跳ね返したうえで勝利する。それによってどちらが上かを、はっきりと分かる形でここにいる皆に見せつけようと、そんな風に思ってしまったのですわ。冷静に考えれば、まずは何よりも勝つことだけを優先すべきでしたのに」

「ふふっ、それじゃあまるでローゼンベルクの姫騎士ね。お姉さまはそうでもないけど、うちの家系は真っ向勝負をしたがる気性の人間ばかりだから」

「あなたのことを意識し過ぎたあまりに、あなたの気性まで移ってしまったのかもしれませんわね」

「残念ながら私とためを張るには、まだまだ全然足りていないわね」

「別にあなたの気性を真似ようなんて思っていませんわよ。リリィホワイトの姫騎士は、白百合のごとく美しく優雅に勝つのが作法ですから」

「あらそう? 残念」

「なんにせよ、負けた以上は認めましょう。アリエッタ・ローゼンベルク、あなたは強かった。姉の七光と言ったのは取り消しますわ。申し訳ありませんでした」

 謝罪の言葉を述べると同時に、ユリーナが大きく頭を下げた。

「あんなの別に気にしてないわよ。お姉さまと比較されるのは昔から慣れてるし」
「そう言っていただけると、気持ちも少し楽になりますわね」

「ただし、もう言わないでよね。慣れていても思うところはあるんだし。はい約束」
「リリィホワイトの家名にかけて約束いたしますわ」
「ならばよし!」

 アリエッタがにっこりとほほ笑むと、ユリーナも小さく笑みを浮かべた。

 おおっ!?
 なんか分かり合えている感じだぞ!?

 これはアレだよな?
 バトル漫画とかでよくある、拳を交えた2人が分かり合うアレだよな?

 アリエッタとユリーナ。
 名門のプライドとプライドをかけた激闘を終えた2人の姫騎士の心は今、深く通じ合ったんだ!

 ――――そう思ってた時期が俺にもありました。(*'ω'*)

「ですが次こそはわたくしが勝利します。せいぜい努力して強くなってなさいな」
「ええ、今以上に差を広げておいてあげる。今度はもっと完璧に返り討ちにしてあげるから」

「……次に勝つのはわたくしですわ、アリエッタ・ローゼンベルク」
「は? そういうセリフは1度でも勝ってから言いなさいよね、負け犬」

「誰が負け犬ですって? このごり押し脳筋女が! 奥歯ガタガタ言わせますわよ!」
「あらあら? お言葉が少々粗暴になっておられますわよ、ユリーナさん?」

「はっ!? こ、こほん……負け犬とはまさかわたくしのことでしょうか?」
「だって事実でしょ? さっき自分で言ってたじゃない」

「くっ、勝ったからといってこれでもかと調子に乗って! これだからローゼンベルクとは合わないのですわ!」

「別に合わせてほしいなんて思ってないし? 負けたからって、そっちが勝手に因縁付けてきてるんでしょ」

「うがー! 言わせておけば! 今に見てなさいよ!」

 あ、ユリーナがキレちゃった……。
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