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第3章 1年生タッグトーナメント

第64話 決着! 烈火の姫騎士アリエッタvs氷華の姫騎士ユリーナ!

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「燃え上がれ炎! ライオネル・ストライク・フルチャージ!」

 しかしアリエッタの咆哮とともに、膨大な魔力をつぎ込まれた炎の獅子が激しく、激しく、激しく激しく燃え盛ってゆく!
 炎の密度が濃くなり、炎の獅子の姿が一回り、二回りと大きくなってゆく!

「なっ!? なんて膨大な魔力量ですの!? くっ、これはまさか――!」
「おいおい、そう来たか!」

 そう、絶体絶命のアリエッタが選んだ選択肢は、なんと――!

「まだまだっ! 私の炎よ! もっと、もっと! 烈火のごとく強く激しく燃え上がれ!」

 ――ごり押しの力押しだった!

 いつもよりも荒々しく獰猛な炎の獅子をまとったアリエッタが、動きを封じていたアイシクル・スピアの氷柱つららをなぎ倒しながら、進撃を再開する!
 さらにダイヤモンドダスト・ブリザードの氷雪の嵐をもねじ伏せると、ユリーナに向かって再加速して突っ込んだ!

「貰ったぁぁっっ!!」

「くっ、なんて短絡的で、頭の悪い戦い方をしやがりますの!? こんなのはちっとも優雅ではありませんわ!」

「イチイチうるさいわね! 戦いに優雅さを求めないでよ! これだって魔術式の魔力許容量を超えても魔法が暴走しないように、ものすごく繊細な調整してるんだからね!」

「繊細な調整をしてまで求めたものがパワーごり押しなのが、優雅でないと言っているのですわ! いい加減分かりなさい、この脳筋!」

「私が脳筋ですって!? だいたいユリーナの方こそ、足で魔法を使っていたくせに、あれのどこが優雅なのよ!」

「あの芸術性と優雅さを理解できないとは、やはり短絡思考のローゼンベルクとは分かりあえませんわ!」
「誰が短絡思考よ、誰が!」

「ですがここは敢えてあなたの挑戦を受けてたちましょう、アリエッタ・ローゼンベルク!」

「そこまで悪し様に言いながら、受けて立つんかい!」

 おいこらユリーナ!
 思わずツッコんじゃっただろ!
 なんで短絡思考とまで言っておきながら、あっさり力勝負を受けちゃうんだよ!?

 しかし混乱する俺をよそに、バトルはクライマックスを迎えようとしていた。

「悠久なる氷河は、何者をも阻む絶対なる防壁とならん! 絶対氷河の氷盾――アブソリュート・グレイシャー・フリージング・シールド!」

 あれは!
 リリィホワイト家に代々伝わるSSランクの最硬防御魔法だ!
 まさかユリーナは入学してすぐの今の時点で、既に使いこなせるのか!?

 ソシャゲだと1年生タッグトーナメントはバトルのチュートリアルだぞ?
 マジでどうなってんだよ!?

 驚きを禁じ得ない俺の前で、ユリーナが氷河のごとく分厚い氷の盾を、縦に5重に展開する!
 その流れるような魔法発動は、たまたまでも偶然でもなんでもなく、ユリーナがSSランク魔法を完全に使いこなしていることを示していた。

 だがしかし、荒ぶる炎の獅子はそれすらも粉砕してユリーナへと襲い掛かる!

「ローゼンベルクの炎は、熱く激しく猛々しく! なによりも情熱的に、そして真っ直ぐに! 何人なんぴとたりとも、ローゼンベルクの気高き炎を鎮めることはできないわ!」

 炎の獅子が分厚い氷壁を砕き、破壊し、蹴散らし、蹂躙じゅうりんする!

「くぅ……!? まさかリリィホワイトの誇るSSランクの絶対防御の氷壁を、力づくでこじ開けるなんて……!」
「いっけぇーーっ! ライオネル・ストライク・フルチャージ!!」
「くっ、ぐぅぅぅっ――!」

「おいおいおいおい!? まさか力押しでSSランクの防御魔法を突破したのか!?」

 もちろん魔法ランクは、あくまで目安に過ぎない。
 俺のペンドラゴン・ファングにしても、分類上はベーシックなアロー系だからDランク(だけど実質Aランク)になるなど、齟齬そごも多い。

 とはいえ、さすがにこれはメチャクチャだ!
 さすがは俺のアリエッタ。
 こんなメチャクチャをこの土壇場でやり通すとか、惚れ直すしかないぜ!

 荒ぶる炎の獅子が駆け抜けた後、そこには精霊の加護を失ってガードアウトしたユリーナが悔しそうな表情で膝をついていた。

「こ、こんなバカなことが……わたくしの絶対防御が、リリィホワイトの誇るSSランク魔法が、真正面から打ち砕かれるなんて――」

 審判のレベッカ先生がそれをしっかりと確認して、

「そこまで! ウィナー、アリエッタ&ユウタ組」

 俺たちの勝利を高々と宣言した。
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