65 / 132
第3章 1年生タッグトーナメント
第63話 烈火の姫騎士アリエッタvs氷華の姫騎士ユリーナ
しおりを挟む
「まさかキララが一撃でガードアウトさせられるなんて。なんと凄まじい威力なのでしょうか……!」
突然のキララ一発KOに動揺したのか、ユリーナが俺とキララに強く意識を向け、その分だけわずかに射撃が緩む。
「あら、ずいぶんと余裕じゃない。戦いの途中でよそ見をしてていいのしら?」
それを好機と、アリエッタが移動魔法ライオネル・ストライク・トランジットで、ユリーナに急接近を果たしていた。
「くっ、間合いを詰められてしまいましたわ!」
ユリーナが距離を獲ろうとバックステップするが、少しもたついてしまう。
「ついに捕まえたわよ! もう逃がさないから! 炎獅子咆哮! ライオネル・ストライク!」
千載一遇のチャンスを見逃さず、アリエッタが得意のAランク魔法ライオネル・ストライクで一気に仕留めにかかる。
しかしそこで、
「なーんて、まんまとひっかかりましたわね! 天を穿て、アイシクル・スピア!」
炎の獅子となったアリエッタの進路に綺麗に重なるようにして、地面から巨大な氷柱が5本、せせり立ってくる!
おおっ!?
バックステップしながら、設置型の魔法をアリエッタの進路に置いていたのか!
しかも隠蔽が完璧だったから、第三者視点で2人の攻防を見守っていた見ていた俺ですら、設置したことに気付くことができなかった。
「うそっ!? 今、足の裏で魔法を設置したの!? このっ、なんて足癖の悪い!」
「ちょっとあなた、人聞きが悪いですわね! 器用と言いなさいな、器用と! 訂正を求めますわ!」
「そんなのどうでもいいでしょ」
「全然ちっともよくありませんわよ!」
とかなんとか言い合いをしている内に、この一連の攻防で、アリエッタのまとう炎の獅子が、巨大な5本の氷柱で下から串刺しにされ、完全に動きを封じられてしまった。
っていうか、足の裏で魔法を使ったって?
そんなの俺でも無理だぞ?
そもそも俺はそんな発想すら持っていなかったし。
つまりさっきのは、もたついたんじゃない。
駆け引きををしたんだ。
ユリーナは敢えて隙を見せることで、アリエッタがライオネル・ストライクで突っ込んでくるのを誘ったんだ!
アリエッタの決め技のライオネル・ストライクは、極めて直線的な進路をとる。
だから発動するタイミングさえ分かれば、その後の進路を予測することは極めて容易い。
それを踏まえた上でアリエッタの行動を誘導し、設置魔法を置いてカウンターを狙う。
それらを全て一瞬で判断して、実行に移したのだ。
キララの敗北に、ユリーナが動揺しなかったはずがない。
しかし動揺しながらも、ユリーナはこの戦略を組み立て、完璧に実行に移してみせた。
「やるなユリーナ。さすがは名門リリィホワイト家の姫騎士だ。学年主席をかけて争う2人の戦いは、俺の想像をはるかに超えて、見応えがあり過ぎる」
しかしこれで追い詰めていたはずが一転、アリエッタは絶体絶命の窮地に立たされてしまう。
攻守が180度入れ替わった。
さあアリエッタ。
この窮地をどうやって脱出し、ユリーナを攻略する?
まだ未完成のローゼンベルク秘伝のSSランク魔法カラミティ・インフェルノで、自爆覚悟の危険な勝負に打って出るか?
俺は万が一の時はいつでもアリエッタの援護に入れるような態勢を取りつつ、固唾を飲んで2人の戦いの行方を見守った。
「ふふふふっ! これで勝負ありましたわね、アリエッタ・ローゼンベルク! わたくしの勝ちですわ! 氷雪の嵐よ、世界の全てを凍てつく大地に閉じ込めたまえ! 氷雪乱舞! ダイヤモンドダスト・ブリザード!」
串刺しになって動けない炎の獅子に向かって、強烈な冷気が水平方向の竜巻となって襲い掛かる。
全てを凍り付かせるAランク氷魔法が、動きを封じられた炎の獅子を飲み込もうとして――、
突然のキララ一発KOに動揺したのか、ユリーナが俺とキララに強く意識を向け、その分だけわずかに射撃が緩む。
「あら、ずいぶんと余裕じゃない。戦いの途中でよそ見をしてていいのしら?」
それを好機と、アリエッタが移動魔法ライオネル・ストライク・トランジットで、ユリーナに急接近を果たしていた。
「くっ、間合いを詰められてしまいましたわ!」
ユリーナが距離を獲ろうとバックステップするが、少しもたついてしまう。
「ついに捕まえたわよ! もう逃がさないから! 炎獅子咆哮! ライオネル・ストライク!」
千載一遇のチャンスを見逃さず、アリエッタが得意のAランク魔法ライオネル・ストライクで一気に仕留めにかかる。
しかしそこで、
「なーんて、まんまとひっかかりましたわね! 天を穿て、アイシクル・スピア!」
炎の獅子となったアリエッタの進路に綺麗に重なるようにして、地面から巨大な氷柱が5本、せせり立ってくる!
おおっ!?
バックステップしながら、設置型の魔法をアリエッタの進路に置いていたのか!
しかも隠蔽が完璧だったから、第三者視点で2人の攻防を見守っていた見ていた俺ですら、設置したことに気付くことができなかった。
「うそっ!? 今、足の裏で魔法を設置したの!? このっ、なんて足癖の悪い!」
「ちょっとあなた、人聞きが悪いですわね! 器用と言いなさいな、器用と! 訂正を求めますわ!」
「そんなのどうでもいいでしょ」
「全然ちっともよくありませんわよ!」
とかなんとか言い合いをしている内に、この一連の攻防で、アリエッタのまとう炎の獅子が、巨大な5本の氷柱で下から串刺しにされ、完全に動きを封じられてしまった。
っていうか、足の裏で魔法を使ったって?
そんなの俺でも無理だぞ?
そもそも俺はそんな発想すら持っていなかったし。
つまりさっきのは、もたついたんじゃない。
駆け引きををしたんだ。
ユリーナは敢えて隙を見せることで、アリエッタがライオネル・ストライクで突っ込んでくるのを誘ったんだ!
アリエッタの決め技のライオネル・ストライクは、極めて直線的な進路をとる。
だから発動するタイミングさえ分かれば、その後の進路を予測することは極めて容易い。
それを踏まえた上でアリエッタの行動を誘導し、設置魔法を置いてカウンターを狙う。
それらを全て一瞬で判断して、実行に移したのだ。
キララの敗北に、ユリーナが動揺しなかったはずがない。
しかし動揺しながらも、ユリーナはこの戦略を組み立て、完璧に実行に移してみせた。
「やるなユリーナ。さすがは名門リリィホワイト家の姫騎士だ。学年主席をかけて争う2人の戦いは、俺の想像をはるかに超えて、見応えがあり過ぎる」
しかしこれで追い詰めていたはずが一転、アリエッタは絶体絶命の窮地に立たされてしまう。
攻守が180度入れ替わった。
さあアリエッタ。
この窮地をどうやって脱出し、ユリーナを攻略する?
まだ未完成のローゼンベルク秘伝のSSランク魔法カラミティ・インフェルノで、自爆覚悟の危険な勝負に打って出るか?
俺は万が一の時はいつでもアリエッタの援護に入れるような態勢を取りつつ、固唾を飲んで2人の戦いの行方を見守った。
「ふふふふっ! これで勝負ありましたわね、アリエッタ・ローゼンベルク! わたくしの勝ちですわ! 氷雪の嵐よ、世界の全てを凍てつく大地に閉じ込めたまえ! 氷雪乱舞! ダイヤモンドダスト・ブリザード!」
串刺しになって動けない炎の獅子に向かって、強烈な冷気が水平方向の竜巻となって襲い掛かる。
全てを凍り付かせるAランク氷魔法が、動きを封じられた炎の獅子を飲み込もうとして――、
10
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。
前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。
恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに!
しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに……
見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!?
小説家になろうでも公開しています。
第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品
学園のマドンナの渡辺さんが、なぜか毎週予定を聞いてくる
まるせい
青春
高校に入学して暫く経った頃、ナンパされている少女を助けた相川。相手は入学早々に学園のマドンナと呼ばれている渡辺美沙だった。
それ以来、彼女は学校内でも声を掛けてくるようになり、なぜか毎週「週末の御予定は?」と聞いてくるようになる。
ある趣味を持つ相川は週末の度に出掛けるのだが……。
焦れ焦れと距離を詰めようとするヒロインとの青春ラブコメディ。ここに開幕
男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う
月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
味のないお茶
恋愛
中学三年の終わり、俺。桜井霧都(さくらいきりと)は十年間片思いしていた幼馴染。南野凛音(みなみのりんね)に告白した。
十分以上に勝算がある。と思っていたが、
「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」
と完膚なきまでに振られた俺。
失意のまま、十年目にして初めて一人で登校すると、小学生の頃にいじめから助けた女の子。北島永久(きたじまとわ)が目の前に居た。
彼女は俺を見て涙を流しながら、今までずっと俺のことを想い続けていたと言ってきた。
そして、
「北島永久は桜井霧都くんを心から愛しています。私をあなたの彼女にしてください」
と、告白をされ、抱きしめられる。
突然の出来事に困惑する俺。
そんな俺を追撃するように、
「な、な、な、な……何してんのよアンタ……」
「………………凛音、なんでここに」
その現場を見ていたのは、朝が苦手なはずの、置いてきた幼なじみだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる