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第3章 1年生タッグトーナメント

第63話 烈火の姫騎士アリエッタvs氷華の姫騎士ユリーナ

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「まさかキララが一撃でガードアウトさせられるなんて。なんと凄まじい威力なのでしょうか……!」

 突然のキララ一発KOに動揺したのか、ユリーナが俺とキララに強く意識を向け、その分だけわずかに射撃が緩む。

「あら、ずいぶんと余裕じゃない。戦いの途中でよそ見をしてていいのしら?」

 それを好機と、アリエッタが移動魔法ライオネル・ストライク・トランジットで、ユリーナに急接近を果たしていた。

「くっ、間合いを詰められてしまいましたわ!」
 ユリーナが距離を獲ろうとバックステップするが、少しもたついてしまう。

「ついに捕まえたわよ! もう逃がさないから! 炎獅子咆哮! ライオネル・ストライク!」

 千載一遇のチャンスを見逃さず、アリエッタが得意のAランク魔法ライオネル・ストライクで一気に仕留めにかかる。
 しかしそこで、

「なーんて、まんまとひっかかりましたわね! 天を穿うがて、アイシクル・スピア!」
 炎の獅子となったアリエッタの進路に綺麗に重なるようにして、地面から巨大な氷柱つららが5本、せせり立ってくる!

 おおっ!?
 バックステップしながら、設置型の魔法をアリエッタの進路に置いていたのか!
 しかも隠蔽が完璧だったから、第三者視点で2人の攻防を見守っていた見ていた俺ですら、設置したことに気付くことができなかった。

「うそっ!? 今、足の裏で魔法を設置したの!? このっ、なんて足癖の悪い!」
「ちょっとあなた、人聞きが悪いですわね! 器用と言いなさいな、器用と! 訂正を求めますわ!」

「そんなのどうでもいいでしょ」
「全然ちっともよくありませんわよ!」

 とかなんとか言い合いをしている内に、この一連の攻防で、アリエッタのまとう炎の獅子が、巨大な5本の氷柱で下から串刺しにされ、完全に動きを封じられてしまった。

 っていうか、足の裏で魔法を使ったって?
 そんなの俺でも無理だぞ?
 そもそも俺はそんな発想すら持っていなかったし。

 つまりさっきのは、もたついたんじゃない。
 駆け引きををしたんだ。
 ユリーナは敢えて隙を見せることで、アリエッタがライオネル・ストライクで突っ込んでくるのを誘ったんだ!

 アリエッタの決め技のライオネル・ストライクは、極めて直線的な進路をとる。
 だから発動するタイミングさえ分かれば、その後の進路を予測することは極めて容易い。

 それを踏まえた上でアリエッタの行動を誘導し、設置魔法を置いてカウンターを狙う。
 それらを全て一瞬で判断して、実行に移したのだ。

 キララの敗北に、ユリーナが動揺しなかったはずがない。
 しかし動揺しながらも、ユリーナはこの戦略を組み立て、完璧に実行に移してみせた。

「やるなユリーナ。さすがは名門リリィホワイト家の姫騎士だ。学年主席をかけて争う2人の戦いは、俺の想像をはるかに超えて、見応えがあり過ぎる」

 しかしこれで追い詰めていたはずが一転、アリエッタは絶体絶命の窮地に立たされてしまう。
 攻守が180度入れ替わった。

 さあアリエッタ。
 この窮地をどうやって脱出し、ユリーナを攻略する?

 まだ未完成のローゼンベルク秘伝のSSランク魔法カラミティ・インフェルノで、自爆覚悟の危険な勝負に打って出るか?

 俺は万が一の時はいつでもアリエッタの援護に入れるような態勢を取りつつ、固唾かたずを飲んで2人の戦いの行方を見守った。

「ふふふふっ! これで勝負ありましたわね、アリエッタ・ローゼンベルク! わたくしの勝ちですわ! 氷雪の嵐よ、世界の全てを凍てつく大地に閉じ込めたまえ! 氷雪乱舞! ダイヤモンドダスト・ブリザード!」

 串刺しになって動けない炎の獅子に向かって、強烈な冷気が水平方向の竜巻となって襲い掛かる。
 全てを凍り付かせるAランク氷魔法が、動きを封じられた炎の獅子を飲み込もうとして――、

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