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第3章 1年生タッグトーナメント
第54話 キララ──精霊召喚《エレメンタルコネクト》
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「ふふふ、そうですわねキララ。話すよりも実際に戦うのが一番手っ取り早いですわよね」
「うん、そーだよ! もぅ、バカだなぁユリーナ様はー!」
「プッ!」
俺のすぐ隣では、アリエッタが思わずと言った様子で噴き出していた。
「……そ、そうと決まれば武具召喚、凍てつく息吹ブリザーディア!」
あ、スルーした。
若干の震え声で言霊を紡いだユリーナの身体に、青と白銀の軽鎧が着装され、手には鋭い氷の穂先を持った槍が現れる。
凍てつく息吹ブリザーディア。
ソシャゲでもお馴染み、氷雪の魔狼フェンリルと契約する氷属性のユリーナの愛槍だ。
「武具召喚! 炎の牙ティンカーベル!」
ユリーナに負けじとばかりにアリエッタが凛々しく叫ぶと、その身体に猛々しい赤のラインが入った白銀の鎧が装着され、手にレイピアが現れる。
はふぅ。
アリエッタの武具召喚は何度見てもカッコいいな。
さすが初公開のキービジュアルで、作品タイトルとともにピンで描かれていただけのことはある。
その時点では、俺も含めて初期ユーザーの多くがアリエッタこそが最強無敵のナンバー1ヒロインになるだろうと、半ば確信のように思っていた。
なお現実(以下略
それはさておき、俺もそれに続く。
「武具召喚、神竜剣レクイエム!」
俺の身体に黄金の鎧が装着され、同時に俺の手に闇を携えたような漆黒の刃を持った大振りな剣――バスターソードが顕現する。
そして最後にキララが言った。
「みんなカックイー! じゃあキララも行っくよー! 精霊召喚、我が身に宿れ! 怒りの精霊フラストレ!」
その言葉とともに茶色だったキララの瞳がみるみる内に深い紫色に染まり、その身体からまがまがしい暗紫のオーラが立ち上り始める!
「精霊召喚ですって!? まさか精霊と同化したっていうの!?」
驚愕の表情になったアリエッタを見て、ユリーナがニンマリと満足そうな笑みを浮かべた。
「よくご存じですわね。さすがはアリエッタ・ローゼンベルク、我が終生のライバルですわ。そうですわ、キララは100年に1人ともいわれる、精霊と同化できる超レアな姫騎士ですのよ」
「精霊と同化だと?」
俺は思わず疑問の言葉を口にした。
「ユータも知っての通り、姫騎士は本来、精霊の力を借りて戦うものよ。だけどキララは自らを精霊そのものと化して戦うの。でもまさか伝説の精霊召喚だなんて」
アリエッタは驚きながらもうんうん納得しているが、俺はこの事態に動揺を隠せないでいた。
なんなんだ、これは?
精霊召喚だって?
キララがこんな能力持ちだなんて俺は知らなかったぞ?
俺はキララという姫騎士についてそう詳しくない。
ユリーナをパートナーヒロインにすると使うことができる、専用のプレイアブルキャラってくらいの知識量だ。
とはいえ、ソシャゲでキララがこんなレアキャラだったとしたら、話題にならないはずがない。
なのに俺が知らないということは、ソシャゲではなかった展開が発生しているということに他ならなかった。
それにまだ1年生タッグトーナメントなんだぞ?
1年生タッグトーナメントは本来、プレイヤーがチュートリアルもかねて基本的な戦い方を学ぶイベントだ。
こんなイレギュラーが起こったら、始めたばかりのプレイヤーが混乱してしまう。
だからこんな展開は絶対にあり得ないはずだった。
それらの疑問に加えて、前から感じていた違和感――アリエッタも含めてみんなの成長があまりに早すぎること。
これらの事から導かれる結論は――、
(俺が知っている『ゴッド・オブ・ブレイビア』の物語とは、大きく変わり始めているってことだ!)
俺は半ば確信のようなものを抱いていた。
どうやら俺がソシャゲでよく知っていたはずのこの世界は、その姿を変えつつあるらしい。
その原因はイレギュラーな俺という存在なのか。
それとも他の理由が存在するのだろうか。
ま、今はそれはいい。
まずは目の前の決勝戦、これに勝たないと始まらない。
難しいことは後から考えよう!
「うん、そーだよ! もぅ、バカだなぁユリーナ様はー!」
「プッ!」
俺のすぐ隣では、アリエッタが思わずと言った様子で噴き出していた。
「……そ、そうと決まれば武具召喚、凍てつく息吹ブリザーディア!」
あ、スルーした。
若干の震え声で言霊を紡いだユリーナの身体に、青と白銀の軽鎧が着装され、手には鋭い氷の穂先を持った槍が現れる。
凍てつく息吹ブリザーディア。
ソシャゲでもお馴染み、氷雪の魔狼フェンリルと契約する氷属性のユリーナの愛槍だ。
「武具召喚! 炎の牙ティンカーベル!」
ユリーナに負けじとばかりにアリエッタが凛々しく叫ぶと、その身体に猛々しい赤のラインが入った白銀の鎧が装着され、手にレイピアが現れる。
はふぅ。
アリエッタの武具召喚は何度見てもカッコいいな。
さすが初公開のキービジュアルで、作品タイトルとともにピンで描かれていただけのことはある。
その時点では、俺も含めて初期ユーザーの多くがアリエッタこそが最強無敵のナンバー1ヒロインになるだろうと、半ば確信のように思っていた。
なお現実(以下略
それはさておき、俺もそれに続く。
「武具召喚、神竜剣レクイエム!」
俺の身体に黄金の鎧が装着され、同時に俺の手に闇を携えたような漆黒の刃を持った大振りな剣――バスターソードが顕現する。
そして最後にキララが言った。
「みんなカックイー! じゃあキララも行っくよー! 精霊召喚、我が身に宿れ! 怒りの精霊フラストレ!」
その言葉とともに茶色だったキララの瞳がみるみる内に深い紫色に染まり、その身体からまがまがしい暗紫のオーラが立ち上り始める!
「精霊召喚ですって!? まさか精霊と同化したっていうの!?」
驚愕の表情になったアリエッタを見て、ユリーナがニンマリと満足そうな笑みを浮かべた。
「よくご存じですわね。さすがはアリエッタ・ローゼンベルク、我が終生のライバルですわ。そうですわ、キララは100年に1人ともいわれる、精霊と同化できる超レアな姫騎士ですのよ」
「精霊と同化だと?」
俺は思わず疑問の言葉を口にした。
「ユータも知っての通り、姫騎士は本来、精霊の力を借りて戦うものよ。だけどキララは自らを精霊そのものと化して戦うの。でもまさか伝説の精霊召喚だなんて」
アリエッタは驚きながらもうんうん納得しているが、俺はこの事態に動揺を隠せないでいた。
なんなんだ、これは?
精霊召喚だって?
キララがこんな能力持ちだなんて俺は知らなかったぞ?
俺はキララという姫騎士についてそう詳しくない。
ユリーナをパートナーヒロインにすると使うことができる、専用のプレイアブルキャラってくらいの知識量だ。
とはいえ、ソシャゲでキララがこんなレアキャラだったとしたら、話題にならないはずがない。
なのに俺が知らないということは、ソシャゲではなかった展開が発生しているということに他ならなかった。
それにまだ1年生タッグトーナメントなんだぞ?
1年生タッグトーナメントは本来、プレイヤーがチュートリアルもかねて基本的な戦い方を学ぶイベントだ。
こんなイレギュラーが起こったら、始めたばかりのプレイヤーが混乱してしまう。
だからこんな展開は絶対にあり得ないはずだった。
それらの疑問に加えて、前から感じていた違和感――アリエッタも含めてみんなの成長があまりに早すぎること。
これらの事から導かれる結論は――、
(俺が知っている『ゴッド・オブ・ブレイビア』の物語とは、大きく変わり始めているってことだ!)
俺は半ば確信のようなものを抱いていた。
どうやら俺がソシャゲでよく知っていたはずのこの世界は、その姿を変えつつあるらしい。
その原因はイレギュラーな俺という存在なのか。
それとも他の理由が存在するのだろうか。
ま、今はそれはいい。
まずは目の前の決勝戦、これに勝たないと始まらない。
難しいことは後から考えよう!
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