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第1章 突然のゲーム内転移
第22話 お風呂上りのアリエッタ
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◇
その後、アリエッタの後にシャワーに入った俺は、パジャマ代わりのゆったりとした服に着替えた。
「なんで女性ばかりのブレイビア学園に、男物の服があるんだろうな?」
なぜか自分の部屋ではなく共有ルームで、半袖ハーフパンツというラフな格好でストレッチをしていたアリエッタに、素朴な疑問を投げかけてみると、
「お姉さまが、学園の運営母体でもある王立騎士団に連絡して用立ててもらったみたいよ。私も気になってリューネに聞いてみたら、そう言ってたわ」
すぐに100点満点の答えが返って来た。
「王立騎士団には男物があるのか?」
「精霊と契約しない一般の騎士なら男性もなれるでしょ? だから男性騎士用の服も融通してもらえたみたいね」
「ああ、そういやそんな設定だったっけか」
「設定?」
「っと、なんでもない」
「ふぅん?」
ソシャゲでは精霊と契約できない男性一般騎士は完全にモブ。
話題もビジュアルも出てこないから、その設定は完全に失念していた。
「じゃあ一緒に置いてあった学校の制服みたいなのは――」
「想像通り、騎士団の男性用制服でしょうね。男子禁制のブレイビア学園に、男の制服はそもそも存在しないわけだし」
「そっか。エレナ会長にはかなり面倒をかけてるっぽいな。今度会ったら改めてお礼を言っておかないと」
「ブレイビア学園の生徒会長なんだから、これくらいなんてことないわよ。それに世界で唯一の男の姫騎士であるユータに、それだけ利用価値があるってことなんだから」
「利用価値とか言うなよな」
「まさか好意でしてくれたとでも? あーやだやだ、男ってすぐに美人にデレデレするんだから。メイドが言ってた通りだわ。汚らわしい」
「別にデレデレはしてないだろ」
「ふん、どうだか」
実に心外だ。
俺はアリエッタにしかデレデレしないっての。
たしかにエレナ会長はアリエッタによく似た美人なお姉さんだ。
しかし俺が推すのはお前だけだぞ。
今もこうしてアリエッタとお風呂上りのトークをできることに、俺は天にも昇る気持ちでいるってのにさ。
と、そこで会話がプツリと途絶えた。
とりあえず話さないといけないことは話したし、今日は寝るかな?
俺としてはアリエッタとなら徹夜で話し続けられる自信があるが、アリエッタからしたら俺と徹夜トークするのは迷惑以外の何物でもないだろう。
推しの子が嫌がることはしない。
推し活では当然の作法である。
「じゃあそろそろ寝るな。おやすみアリエッタ」
俺がアリエッタに一声かけると、
「うん……分かった」
妙に神妙な声が返ってきた。
「??」
少し不思議な気はしたけど、俺は気にせず自分の部屋のドアを開ける。
すると背後から、
「ユータの部屋にはベッドも布団もないでしょ? どうやって寝るつもりなの?」
俺を心配するようなアリエッタの声が飛んできた。
「床の上で寝るつもりだけど」
「もしかして普段から床の上で寝る人?」
「なんでそうなる!? 布団もベッドもないんだから、仕方ないだろ?」
無い袖は振れない。
今日はもう遅いから、寝具については明日にでも頼みに行こう。
さすがにずっと床で寝ろとは言われないだろうから。
などと当たり前のことを考えていると、アリエッタから予想もしなかったとんでもない言葉が返って来た。
「だったら私のベッドを使っていいわよ」
「…………は?」
俺はその言葉のもつ意味を正しく理解するのに、5秒程の時間を必要とした後、驚きのあまりあんぐりと大口を開けてしまった。
その後、アリエッタの後にシャワーに入った俺は、パジャマ代わりのゆったりとした服に着替えた。
「なんで女性ばかりのブレイビア学園に、男物の服があるんだろうな?」
なぜか自分の部屋ではなく共有ルームで、半袖ハーフパンツというラフな格好でストレッチをしていたアリエッタに、素朴な疑問を投げかけてみると、
「お姉さまが、学園の運営母体でもある王立騎士団に連絡して用立ててもらったみたいよ。私も気になってリューネに聞いてみたら、そう言ってたわ」
すぐに100点満点の答えが返って来た。
「王立騎士団には男物があるのか?」
「精霊と契約しない一般の騎士なら男性もなれるでしょ? だから男性騎士用の服も融通してもらえたみたいね」
「ああ、そういやそんな設定だったっけか」
「設定?」
「っと、なんでもない」
「ふぅん?」
ソシャゲでは精霊と契約できない男性一般騎士は完全にモブ。
話題もビジュアルも出てこないから、その設定は完全に失念していた。
「じゃあ一緒に置いてあった学校の制服みたいなのは――」
「想像通り、騎士団の男性用制服でしょうね。男子禁制のブレイビア学園に、男の制服はそもそも存在しないわけだし」
「そっか。エレナ会長にはかなり面倒をかけてるっぽいな。今度会ったら改めてお礼を言っておかないと」
「ブレイビア学園の生徒会長なんだから、これくらいなんてことないわよ。それに世界で唯一の男の姫騎士であるユータに、それだけ利用価値があるってことなんだから」
「利用価値とか言うなよな」
「まさか好意でしてくれたとでも? あーやだやだ、男ってすぐに美人にデレデレするんだから。メイドが言ってた通りだわ。汚らわしい」
「別にデレデレはしてないだろ」
「ふん、どうだか」
実に心外だ。
俺はアリエッタにしかデレデレしないっての。
たしかにエレナ会長はアリエッタによく似た美人なお姉さんだ。
しかし俺が推すのはお前だけだぞ。
今もこうしてアリエッタとお風呂上りのトークをできることに、俺は天にも昇る気持ちでいるってのにさ。
と、そこで会話がプツリと途絶えた。
とりあえず話さないといけないことは話したし、今日は寝るかな?
俺としてはアリエッタとなら徹夜で話し続けられる自信があるが、アリエッタからしたら俺と徹夜トークするのは迷惑以外の何物でもないだろう。
推しの子が嫌がることはしない。
推し活では当然の作法である。
「じゃあそろそろ寝るな。おやすみアリエッタ」
俺がアリエッタに一声かけると、
「うん……分かった」
妙に神妙な声が返ってきた。
「??」
少し不思議な気はしたけど、俺は気にせず自分の部屋のドアを開ける。
すると背後から、
「ユータの部屋にはベッドも布団もないでしょ? どうやって寝るつもりなの?」
俺を心配するようなアリエッタの声が飛んできた。
「床の上で寝るつもりだけど」
「もしかして普段から床の上で寝る人?」
「なんでそうなる!? 布団もベッドもないんだから、仕方ないだろ?」
無い袖は振れない。
今日はもう遅いから、寝具については明日にでも頼みに行こう。
さすがにずっと床で寝ろとは言われないだろうから。
などと当たり前のことを考えていると、アリエッタから予想もしなかったとんでもない言葉が返って来た。
「だったら私のベッドを使っていいわよ」
「…………は?」
俺はその言葉のもつ意味を正しく理解するのに、5秒程の時間を必要とした後、驚きのあまりあんぐりと大口を開けてしまった。
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