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第1章 突然のゲーム内転移

第15話 ブレイビア学園入学!

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「ここブレイビア学園には学生寮があります。よかったら特待生という形で、学園に入学しませんか? もちろん費用は全て当学園がもちます」

「マジか! 決闘で勝ったらしばらく生活の面倒を見てもらおうと思ってたんだよな。だから俺としてはすごく助かるけど、そんなのを独断で勝手に決められるのか?」

 願っても見なかった提案に、俺はついつい喜びを露わにしてしまう。

「ご安心ください。それくらいの権限なら持ち合わせております。っと、失礼しました。自己紹介がまだでしたね。私はエレナ・ローゼンベルク。ユータさんが決闘をしたアリエッタの姉で、この学園の生徒会長を務めております。どうぞ親しみを込めてエレナとお呼びください」

 エレナ会長が、制服のスカートの裾を持って膝を曲げる礼――いわゆるカーテシーを行った。

 おっとと、またまたしくったな。
 自己紹介もされていないのに、さもエレナ会長のことを知ってるていで話してしまっていた。

 それでも、本来は知りえない情報はしゃべっていないはず。
 アリエッタとエレナ会長のやり取りをみていれば、初見でもある程度の関係は想像はつくだろうし。

「改めてよろしくエレナ会長……って呼んでいいんだよな?」

「ええ、どうぞ。親しみを込めてエレナと呼び捨てでも構いませんよ」

「さすがに会長さんを呼び捨てにするのは、ちょっと気が引けるかな」
「そうですか。それは残念です」

 残念と言いながら、エレナ会長はにっこりと微笑んだ。
 うーむ、今のはからかわれたっぽいな。

 でも、だ。

 大浴場でアリエッタにラッキースケベ
 ↓
 アリエッタと決闘

 っていう派手なイレギュラーは起こったけど、なんとなくソシャゲの導入(いわゆるチュートリアルも兼ねたプロローグ)と同じような展開になってきたような?

 やはり世界の運命強制力が(以下略。

「もう一度確認なんだけど、俺をこの学園に入学させてくれるんだよな?」
「はい」
「しかも特待生として費用を全部持ってくれる、と」
「ええ」

「至れり尽くせりだけど、もしかして裏があったりする? さすがに俺にとって都合がよすぎる条件かなって思ってさ」

 当然、エレナ会長にも何かしらの思惑があるはずだ。

「ユウタさんは言うなればイレギュラーです。それも超が付くほどの規格外のイレギュラーです。このまま放っておくわけにはまいりません。ブレイビア学園の運営母体でもある王国騎士団にも、男の姫騎士が現れたことは報告しなければなりませんし」

「要するに、俺を監視するために手元に置いておきたいってことか?」
「有りていに言えばそうなりますね。気分を害されましたか?」

「いや、正直に言ってもらえたから逆に信用できるし、納得もできるよ」
 トップに立つ人間として、当然の判断だと思う。

「そう言っていただけると助かります。それに――」
「他にも理由があるのか?」

「ユウタさんは姫騎士としてお強い。そしてこの学園は姫騎士の養成校です。学園を預かる生徒会長として、才能溢れるあなたを放っておく理由はありません」

「なるほど」

「なにより私自身が、初めて見る男の姫騎士という存在に、個人的に興味がありますから」

 エレナ会長が、男が100人いたら99人は一目惚れしてしまうような、素敵な笑みを浮かべた。
 アリエッタ推しを自負するはずの俺も、自然と胸がドキドキと高鳴ってしまう。

 だってエレナ会長はアリエッタと姉妹だけあって外見もよく似てるんだ。
 しかも俺は元々ボッチ陰キャだから、女の子に褒め褒めされることには慣れていないんだよ。

 だからちょっと優しくされるだけで、勝手に胸がキュンとしちゃうんだよ。
 笑顔で微笑まれるだけでドキドキしちゃうんだよ。

 だから浮気じゃないから!
 俺は一途なアリエッタ推しだから!

「ちょっとお姉さま! さっきから聞いてたら、こいつは男なのよ! どこの馬の骨とも知れない男を学園に入れるなんてありえないわ!」

 と、そこでアリエッタが話に割り込んできた。
 抗議の声を上げる。

「あら? その『どこの馬の骨とも知れない男』に負けたのは、どこの誰なのかしら?」
「うぐっ……」

 しかしエレナ会長に一言で黙らされてしまった。
 まさに秒殺だ。

 頬を染めながら涙目になっているのが、とても可愛らしい。
 次々と変化するリアルな推しの表情を間近で観察できるとか、今の俺ってマジで究極的に最高だなぁ!

「アリエッタ。あなたは何事にも情熱的なローゼンベルクの血を、色濃く受け継いでいるわ。だけど頭までカッとなってしまうのはダメ。心は激しく燃え盛る炎のごとく情熱的に。だけど頭は澄んだ冬空のように冷静に。それがローゼンベルクの姫騎士の在り方よ」

 最後は優しくさとされて、アリエッタが神妙な顔でコクコクと頷いた。
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