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第1章 突然のゲーム内転移
第10話「アンタの気持ちは分かったけど、妊娠とかしちゃったら困るし……」
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「さすがは名門ローゼンブルク家が受け継いできた、炎属性のSSランク魔法。ものすごい威力だな。だがしょせんはコントロールを失った失敗魔法だ。完全に完成したならいざ知らず、魂の抜けた魔法で、世界をあまねく照らす神龍精霊ペンドラゴンの聖光を、かき消せはしない――!」
聖なる光が次第にその輝きを広げていき、それとは対照的に黒炎がみるみると勢力を失っていく。
ほどなくして黒炎は完全に消え去り、少し遅れて、役目を終えた聖なる光もその輝きを消失した。
神龍の名を与えられた偉大なる精霊ペンドラゴン。
その光り輝く聖光が、地獄の業火を浄化しきったのだ。
俺は、崩れ落ちるようにへたり込んだアリエッタに近づくと、また刺激することがないようにゆっくりと手を差し伸べた。
「よっ、大丈夫か?」
「……うん」
「どうだ、まだやるか?」
「ううん、いい。私の負けよ。あんな大魔法を使ったって言うのに、そんな涼しい顔をしてるんだもの。アンタってすごく強いのね」
「だから最初にそう言っただろ?」
「そうだったわね」
アリエッタはそう言って俺の手を握ったものの、しかしなかなか立ち上がろうとはしない。
「どうしたんだ?」
「……それがその」
「?」
「だからそのっ! ホッとしたら、なんていうか、その、あの……腰が抜けちゃって……」
かすれるような小声で言ったアリエッタの顔は、羞恥で真っ赤に染まっていた。
「ははっ、しゃーねーな」
俺は屈みこむとアリエッタをお姫様抱っこして立ち上がる。
「キャーッ!」
「お姫様抱っこされてるー!」
「エモーい!」
「すごく強いだけでなく、あんなにお優しいだなんて」
「わたしユウタ様のファンになっちゃったかも♪」
「アリエッタずるーい♪ 替わって~♪」
「アタシもユウタ様にお姫様抱っこされたーい!」
俺たちの戦いを固唾を飲んで決闘を見守っていたギャラリーから、さっきまでとは180度真逆の黄色い声援が巻き起こった。
「はわ――っ!? ちょっと、いきなり何するのよ、この変態! 強姦魔! これだから男は!」
そしてお姫様抱っこで抱えられたアリエッタが――ギャラリーの声を聞いたからか――純情可憐な乙女な態度から一転、ハッと我に返ったように目付きを鋭くすると、俺の腕の中でジタバタともがくように暴れはじめた。
しかし腰が抜けている状態では、大した動きはできないようで、すぐに物理的な抵抗を諦めて、プイっとそっぽを向いてしまう。
くっ、なんだその態度!
可愛すぎるぞ!
さすが俺の推しの子だな!
皆さーん!
見て見て、見て下さーい!
これがアリエッタです!
ね、すっごく可愛いでしょ!?
俺は今すぐにでも叫び出したい衝動をなんとか抑えながら、優しい笑みを作る。
「主席入学のローゼンベルク家のご令嬢が、いつまでもへたり込んでいたら、みんなに示しがつかないだろ?」
顔を真っ赤にしてそっぽを向くアリエッタに、俺はお姫様抱っこをした理由を説明する。
「だからって! やっていいことと悪いことがあるでしょ」
「そんなに恥ずかしがるなって。リューネのところまで行ったらすぐに下ろすよ」
「そういう問題じゃ――」
「大丈夫。俺の経験上、その頃には立てるようになっているから。だからそう騒がないでくれ。別に取って食おうってわけじゃないからさ」
俺がひときわ優しく微笑むと、
「う、うん……分かった」
アリエッタは妙にしおらしく、こくんとうなずいた。
あれ?
まだ本調子じゃないのかな?
なんてことを思っていると、
「でもあの、アンタの気持ちは分かったけど、妊娠とかしちゃったら困るし……」
アリエッタが突然、とんでもないことを言い出した。
聖なる光が次第にその輝きを広げていき、それとは対照的に黒炎がみるみると勢力を失っていく。
ほどなくして黒炎は完全に消え去り、少し遅れて、役目を終えた聖なる光もその輝きを消失した。
神龍の名を与えられた偉大なる精霊ペンドラゴン。
その光り輝く聖光が、地獄の業火を浄化しきったのだ。
俺は、崩れ落ちるようにへたり込んだアリエッタに近づくと、また刺激することがないようにゆっくりと手を差し伸べた。
「よっ、大丈夫か?」
「……うん」
「どうだ、まだやるか?」
「ううん、いい。私の負けよ。あんな大魔法を使ったって言うのに、そんな涼しい顔をしてるんだもの。アンタってすごく強いのね」
「だから最初にそう言っただろ?」
「そうだったわね」
アリエッタはそう言って俺の手を握ったものの、しかしなかなか立ち上がろうとはしない。
「どうしたんだ?」
「……それがその」
「?」
「だからそのっ! ホッとしたら、なんていうか、その、あの……腰が抜けちゃって……」
かすれるような小声で言ったアリエッタの顔は、羞恥で真っ赤に染まっていた。
「ははっ、しゃーねーな」
俺は屈みこむとアリエッタをお姫様抱っこして立ち上がる。
「キャーッ!」
「お姫様抱っこされてるー!」
「エモーい!」
「すごく強いだけでなく、あんなにお優しいだなんて」
「わたしユウタ様のファンになっちゃったかも♪」
「アリエッタずるーい♪ 替わって~♪」
「アタシもユウタ様にお姫様抱っこされたーい!」
俺たちの戦いを固唾を飲んで決闘を見守っていたギャラリーから、さっきまでとは180度真逆の黄色い声援が巻き起こった。
「はわ――っ!? ちょっと、いきなり何するのよ、この変態! 強姦魔! これだから男は!」
そしてお姫様抱っこで抱えられたアリエッタが――ギャラリーの声を聞いたからか――純情可憐な乙女な態度から一転、ハッと我に返ったように目付きを鋭くすると、俺の腕の中でジタバタともがくように暴れはじめた。
しかし腰が抜けている状態では、大した動きはできないようで、すぐに物理的な抵抗を諦めて、プイっとそっぽを向いてしまう。
くっ、なんだその態度!
可愛すぎるぞ!
さすが俺の推しの子だな!
皆さーん!
見て見て、見て下さーい!
これがアリエッタです!
ね、すっごく可愛いでしょ!?
俺は今すぐにでも叫び出したい衝動をなんとか抑えながら、優しい笑みを作る。
「主席入学のローゼンベルク家のご令嬢が、いつまでもへたり込んでいたら、みんなに示しがつかないだろ?」
顔を真っ赤にしてそっぽを向くアリエッタに、俺はお姫様抱っこをした理由を説明する。
「だからって! やっていいことと悪いことがあるでしょ」
「そんなに恥ずかしがるなって。リューネのところまで行ったらすぐに下ろすよ」
「そういう問題じゃ――」
「大丈夫。俺の経験上、その頃には立てるようになっているから。だからそう騒がないでくれ。別に取って食おうってわけじゃないからさ」
俺がひときわ優しく微笑むと、
「う、うん……分かった」
アリエッタは妙にしおらしく、こくんとうなずいた。
あれ?
まだ本調子じゃないのかな?
なんてことを思っていると、
「でもあの、アンタの気持ちは分かったけど、妊娠とかしちゃったら困るし……」
アリエッタが突然、とんでもないことを言い出した。
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