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第1章 突然のゲーム内転移
第4話 アリエッタ・ローゼンベルク
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なになに、俺のジョブは――って、神騎士!?
既に最上位職じゃないか!
しかもレベルは99!?
カンストしている。
(これって、俺がプレイしていた最強クラスのトップランカー級アカウントの性能を、そっくりそのまま引き継いでいるってことだよな?)
自分のステータスの高さに驚きつつ、俺は前を歩くアリエッタの装備を改めて確認する。
今のアリエッタが身に着けているのは、ソシャゲ序盤の立ちグラフィックで使われていた鎧とレイピアだ。
ってことはアリエッタのレベルは、まだかなり低いはず。
ステータスを見られなくても、それくらいの推察はつく。
おそらく物語が始まってすぐ。
入学してすぐ、アリエッタたちが新1年生として、姫騎士養成機関である王立ブレイビア学園に入学してきたばかりの時期だろう。
つまり俺は、ゲームを完全にやり込んだ状態で最初からリスタートする『強くてニューゲーム』をやっているってわけだ。
どうやって決闘を切り抜けようかと思っていたが、これならやり用はいくらでもある。
それどころか、負ける可能性はほとんどゼロじゃないか?
もちろん、戦闘がスマホ操作によって行われ、ながらプレイの時にはフルオートで勝手に進ませることもできるソシャゲと、実際に自分の身体を使ってリアルに戦闘するのは違うのだろうが、カンストした最上位職なら初めてでもなんとかなるだろう。
確信めいたものを俺は感じていた。
ただ、アリエッタは初期からかなり強いキャラなんだよな。
その代わりに、伸びしろが少ない。
かなり早い段階で、成長し始めた他のヒロインに性能差をひっくり返されてしまう。
初期スペックの高さに騙されてアリエッタをパートナーヒロインにすると酷い目にあう、的なことが書いてある攻略サイトも少なくない。
(そして悲しいかな、それはおおむね事実である)
そんなことを考えながら歩いていくと、ほどなくして第3訓練場に到着した。
「うわっ、ほんとに男じゃん」
「なんで男が、男子禁制のブレイビア学園に?」
「なんでも大浴場に忍び込んで、アリエッタに不埒をはたらいたそうよ?」
「おっぱい揉んだんだって。こう、モミモミって」
「うわっ、マジ最悪!」
「これだから男は!」
「キモーイ!」
「股間のアレを取っちゃえば女になるんじゃないの?」
「なるわけないじゃん」
「ウケる~!」
いつの間にか周りは、決闘を見物に来た野次馬の生徒たちでいっぱいになっていた。
もう完全にアウェー。
応援指数100対0。
もちろんアリエッタが100で、俺が0だ。
「これを使っていいわよ」
アリエッタから一本の剣を渡される。
美しい鞘に入った、いかにも名のありそうな剣だ。
「これは?」
「アンタのための武器に決まっているじゃない。丸腰のアンタを一方的に嬲ったとなれば、ローゼンベルク家の名誉が地に落ちちゃうからね」
「なるほど、そういうことな」
「一応言っておくと、入学祝にお母さまから頂いたかなり名の通った魔法剣だから。付与された魔法は物理強化よ。粗末な剣だったから負けたとか、後から言われても困るからね」
「いや、いいよ」
「いい……って?」
俺の言葉に、ここまで自信満々に語っていたアリエッタが、しゃべるのを止めて首を傾げた。
「要らないって言ったんだ」
「なっ! まさかこの私に、丸腰で挑もうっていうの!?」
「そういう意味じゃないんだけどさ」
「じゃあどういう意味なのよ!」
「それは後のお楽しみってことで。それよりも、1つだけ聞きたいことがあるんだけど」
「今さら命乞いなんて聞けないわよ」
「命乞いなんてしないよ。ただ、俺が勝ったらどうなるのかなって思ってさ」
「アンタが勝ったら? ぷっ、あはははは! 何を言い出すかと思えば、アンタが勝った時の話ですって?」
「ああ。こっちだって命をかけて決闘するんだ。勝った時に何かを得られなくちゃ、勝ち損だろ?」
俺はアリエッタを挑発するように、わざと得意げな顔をしながら、ハリウッド俳優顔負けに大げさに肩をすくめてみせた。
「なんですって? この私に勝てると本当に思っているわけ? ブレイビア学園に主席入学したこのアリエッタ・ローゼンベルクに! 入学早々に学園ランキング15位にランクインしたこの私に! どこの馬の骨とも知れない、たかが男のあなたが!」
すると思った通り、アリエッタはすぐに鼻息も荒く噛みついてきた。
既に最上位職じゃないか!
しかもレベルは99!?
カンストしている。
(これって、俺がプレイしていた最強クラスのトップランカー級アカウントの性能を、そっくりそのまま引き継いでいるってことだよな?)
自分のステータスの高さに驚きつつ、俺は前を歩くアリエッタの装備を改めて確認する。
今のアリエッタが身に着けているのは、ソシャゲ序盤の立ちグラフィックで使われていた鎧とレイピアだ。
ってことはアリエッタのレベルは、まだかなり低いはず。
ステータスを見られなくても、それくらいの推察はつく。
おそらく物語が始まってすぐ。
入学してすぐ、アリエッタたちが新1年生として、姫騎士養成機関である王立ブレイビア学園に入学してきたばかりの時期だろう。
つまり俺は、ゲームを完全にやり込んだ状態で最初からリスタートする『強くてニューゲーム』をやっているってわけだ。
どうやって決闘を切り抜けようかと思っていたが、これならやり用はいくらでもある。
それどころか、負ける可能性はほとんどゼロじゃないか?
もちろん、戦闘がスマホ操作によって行われ、ながらプレイの時にはフルオートで勝手に進ませることもできるソシャゲと、実際に自分の身体を使ってリアルに戦闘するのは違うのだろうが、カンストした最上位職なら初めてでもなんとかなるだろう。
確信めいたものを俺は感じていた。
ただ、アリエッタは初期からかなり強いキャラなんだよな。
その代わりに、伸びしろが少ない。
かなり早い段階で、成長し始めた他のヒロインに性能差をひっくり返されてしまう。
初期スペックの高さに騙されてアリエッタをパートナーヒロインにすると酷い目にあう、的なことが書いてある攻略サイトも少なくない。
(そして悲しいかな、それはおおむね事実である)
そんなことを考えながら歩いていくと、ほどなくして第3訓練場に到着した。
「うわっ、ほんとに男じゃん」
「なんで男が、男子禁制のブレイビア学園に?」
「なんでも大浴場に忍び込んで、アリエッタに不埒をはたらいたそうよ?」
「おっぱい揉んだんだって。こう、モミモミって」
「うわっ、マジ最悪!」
「これだから男は!」
「キモーイ!」
「股間のアレを取っちゃえば女になるんじゃないの?」
「なるわけないじゃん」
「ウケる~!」
いつの間にか周りは、決闘を見物に来た野次馬の生徒たちでいっぱいになっていた。
もう完全にアウェー。
応援指数100対0。
もちろんアリエッタが100で、俺が0だ。
「これを使っていいわよ」
アリエッタから一本の剣を渡される。
美しい鞘に入った、いかにも名のありそうな剣だ。
「これは?」
「アンタのための武器に決まっているじゃない。丸腰のアンタを一方的に嬲ったとなれば、ローゼンベルク家の名誉が地に落ちちゃうからね」
「なるほど、そういうことな」
「一応言っておくと、入学祝にお母さまから頂いたかなり名の通った魔法剣だから。付与された魔法は物理強化よ。粗末な剣だったから負けたとか、後から言われても困るからね」
「いや、いいよ」
「いい……って?」
俺の言葉に、ここまで自信満々に語っていたアリエッタが、しゃべるのを止めて首を傾げた。
「要らないって言ったんだ」
「なっ! まさかこの私に、丸腰で挑もうっていうの!?」
「そういう意味じゃないんだけどさ」
「じゃあどういう意味なのよ!」
「それは後のお楽しみってことで。それよりも、1つだけ聞きたいことがあるんだけど」
「今さら命乞いなんて聞けないわよ」
「命乞いなんてしないよ。ただ、俺が勝ったらどうなるのかなって思ってさ」
「アンタが勝ったら? ぷっ、あはははは! 何を言い出すかと思えば、アンタが勝った時の話ですって?」
「ああ。こっちだって命をかけて決闘するんだ。勝った時に何かを得られなくちゃ、勝ち損だろ?」
俺はアリエッタを挑発するように、わざと得意げな顔をしながら、ハリウッド俳優顔負けに大げさに肩をすくめてみせた。
「なんですって? この私に勝てると本当に思っているわけ? ブレイビア学園に主席入学したこのアリエッタ・ローゼンベルクに! 入学早々に学園ランキング15位にランクインしたこの私に! どこの馬の骨とも知れない、たかが男のあなたが!」
すると思った通り、アリエッタはすぐに鼻息も荒く噛みついてきた。
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