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第二部 暴れん坊将軍編(セントフィリア国王編)
第140話「ガッツリしちゃったし!」「ガッツリしちゃったな」
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立ち入り調査の後、少し経ってから出された最終報告書を見て、
「保険金の不正請求でしょ? わざと査定を落として安く買い取る、買い取り詐欺でしょ? 修理に出したら新品の部品に取り換えたことにして中古の部品を付けたりとか。場合によっては修理したように見せかけて、全く修理せずに返したりとか。店頭の街路樹もわざと枯らしてたみたいだし。ほんと不正を挙げればきりがないよ」
アリスベルが呆れたように呟いた。
「街路樹がなかったのはわざと枯らしてたのか」
「違法なオクスリを撒いてたみたいだね」
「でもなんでそんなことしたんだ? 木を枯らすとビッグモードになんかいいことでもあるのか?」
他の不正は自社の利益になるから一目瞭然だけど、そこだけは純粋に疑問だ。
一体全体、何の目的で街路樹や植え込みを枯らしたんだ?
「なんかね、店の看板とか売り物用の馬車が外からよく見えるようになんだって」
「やることなすこと全部セコいなぁ……セコすぎるぞ」
あまりのセコさに、思わず呆れてしまったよ。
「自分たちに都合がいいことは、それこそなんでもやってたみたいだね」
「その努力を、真っ当な営業に向けりゃ良かったのに」
「残念ながら世の中は、おにーさんみたいにいい人ばかりじゃないからね」
「悲しいなぁ」
「だから私たちが、いい人が幸せになるように頑張らないといけないの」
「……そうだよな」
さすがアリスベル。
いいこと言うじゃないか
「でもおにーさん、今回はお手柄だったよね。危うくビッグモードに馬車の修理を依頼しちゃうところだったよ」
「ふふん、だろだろ?」
「ただでさえ財政が火の車なのに、こんなところに頼んじゃったらら、あれこれ不必要な経費を吹っ掛けられて大変なことになっちゃってただろうし」
「ま、こう見えて俺は国王だからな。国のために働くのが務めなのさ。いい人が幸せになれるようにさ」
「もぅ、そんなこと言って本当は遊んでたんでしょ? っていうかどうやってお城を抜け出したの? 精霊の監視をいとも簡単に突破されたって、フィオナさんが不思議がってたよ?」
「こう見えて勇者だからな。俺にできないことはないのだ」
言いながら俺はアリスベルの腰をギュッと引き寄せた。
「ちょっと、おにーさんってば……」
「とりあえずこの件も一段落したし、後は優秀な官僚や騎士団にまかせておけばいいだろ?」
「だから忙しいのはこれからなんだってば」
「なんでだよ? 後はビッグモードをお取り潰しで終いだろ?」
「王都中に張り巡らされた定期運航便とか、流しの乗り合い馬車とか、ビッグモードが適正に運営していた部門は別の商会にちゃんと引き継いでもらわないと、それこそ人の行き来がストップしちゃうでしょ?」
「おう、なるほど。でもほら、俺は今回とても大事な役割を果たしたわけだし? 今からちょっとくらいご褒美タイムがあってもいいだろ? な? な? アリスベル~、今からえっちしたいなぁ」
俺が甘えたように言うと、
「はいはい、よくできましたね。まったうもぅ、おにーさんってば本当にえっちっちなんだから。ちょっとだけだよ?」
そんなことを言いつつも、満更じゃない様子で抱き返してきたアリスベルと、俺は執務室でえっちっちした。
………………
…………
……
「ガッツリしちゃったし!」
「ガッツリしちゃったな」
「もはや精魂尽きるまでって感じだったし!」
「だって久しぶりだったからさ」
「アタシ『ちょっと』って言ったよね?」
「アリスベルが可愛すぎるのがいけないんだ。俺の理性は、ちょっとで終わることを許してくれなかった……」
「まーたそんなこと言って。おにーさんのバカ」
アリスベルがそれはもう可愛らしく呟いた。
やれやれまったく。
「本当に可愛い奴だなぁ、もぅ! 追加の特別延長戦、しちゃう!?」
「しーまーせーん」
「ええぇぇ……」
とまぁこうして巨悪は無事に退治され。
セントフィリア王国には平和が戻ったのだった。
(ビッグモード編 -完-)
「保険金の不正請求でしょ? わざと査定を落として安く買い取る、買い取り詐欺でしょ? 修理に出したら新品の部品に取り換えたことにして中古の部品を付けたりとか。場合によっては修理したように見せかけて、全く修理せずに返したりとか。店頭の街路樹もわざと枯らしてたみたいだし。ほんと不正を挙げればきりがないよ」
アリスベルが呆れたように呟いた。
「街路樹がなかったのはわざと枯らしてたのか」
「違法なオクスリを撒いてたみたいだね」
「でもなんでそんなことしたんだ? 木を枯らすとビッグモードになんかいいことでもあるのか?」
他の不正は自社の利益になるから一目瞭然だけど、そこだけは純粋に疑問だ。
一体全体、何の目的で街路樹や植え込みを枯らしたんだ?
「なんかね、店の看板とか売り物用の馬車が外からよく見えるようになんだって」
「やることなすこと全部セコいなぁ……セコすぎるぞ」
あまりのセコさに、思わず呆れてしまったよ。
「自分たちに都合がいいことは、それこそなんでもやってたみたいだね」
「その努力を、真っ当な営業に向けりゃ良かったのに」
「残念ながら世の中は、おにーさんみたいにいい人ばかりじゃないからね」
「悲しいなぁ」
「だから私たちが、いい人が幸せになるように頑張らないといけないの」
「……そうだよな」
さすがアリスベル。
いいこと言うじゃないか
「でもおにーさん、今回はお手柄だったよね。危うくビッグモードに馬車の修理を依頼しちゃうところだったよ」
「ふふん、だろだろ?」
「ただでさえ財政が火の車なのに、こんなところに頼んじゃったらら、あれこれ不必要な経費を吹っ掛けられて大変なことになっちゃってただろうし」
「ま、こう見えて俺は国王だからな。国のために働くのが務めなのさ。いい人が幸せになれるようにさ」
「もぅ、そんなこと言って本当は遊んでたんでしょ? っていうかどうやってお城を抜け出したの? 精霊の監視をいとも簡単に突破されたって、フィオナさんが不思議がってたよ?」
「こう見えて勇者だからな。俺にできないことはないのだ」
言いながら俺はアリスベルの腰をギュッと引き寄せた。
「ちょっと、おにーさんってば……」
「とりあえずこの件も一段落したし、後は優秀な官僚や騎士団にまかせておけばいいだろ?」
「だから忙しいのはこれからなんだってば」
「なんでだよ? 後はビッグモードをお取り潰しで終いだろ?」
「王都中に張り巡らされた定期運航便とか、流しの乗り合い馬車とか、ビッグモードが適正に運営していた部門は別の商会にちゃんと引き継いでもらわないと、それこそ人の行き来がストップしちゃうでしょ?」
「おう、なるほど。でもほら、俺は今回とても大事な役割を果たしたわけだし? 今からちょっとくらいご褒美タイムがあってもいいだろ? な? な? アリスベル~、今からえっちしたいなぁ」
俺が甘えたように言うと、
「はいはい、よくできましたね。まったうもぅ、おにーさんってば本当にえっちっちなんだから。ちょっとだけだよ?」
そんなことを言いつつも、満更じゃない様子で抱き返してきたアリスベルと、俺は執務室でえっちっちした。
………………
…………
……
「ガッツリしちゃったし!」
「ガッツリしちゃったな」
「もはや精魂尽きるまでって感じだったし!」
「だって久しぶりだったからさ」
「アタシ『ちょっと』って言ったよね?」
「アリスベルが可愛すぎるのがいけないんだ。俺の理性は、ちょっとで終わることを許してくれなかった……」
「まーたそんなこと言って。おにーさんのバカ」
アリスベルがそれはもう可愛らしく呟いた。
やれやれまったく。
「本当に可愛い奴だなぁ、もぅ! 追加の特別延長戦、しちゃう!?」
「しーまーせーん」
「ええぇぇ……」
とまぁこうして巨悪は無事に退治され。
セントフィリア王国には平和が戻ったのだった。
(ビッグモード編 -完-)
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