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第二部 暴れん坊将軍編(セントフィリア国王編)
第98話 団子屋ダンゴムシ
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「なんだあいつら? 感じ悪いなぁ……」
楽しく盛り上がっていたところに水を差された俺は、ドカドカと店内に入っていたチンピラ2人組に小さく文句をつぶやく。
2人組は老店主に案内される前に、店内の隅の席に勝手に座った。
「こらぁっ! いつまで待たせんだ!」
「とっとと持ってこいや!!」
そして座った途端に大きな声でがなり立て始める。
店内にいたお客さんは、その態度に怯えをなして逃げるように店を出て行った。
「精霊がざわついています。良くない感じがします……彼らの悪意がひしひしと伝わってきます」
精霊との交信能力を手に入れて驚異的な直観力を得たフィオナの言葉を聞かずとも、俺もチンピラ2人組の態度にはなんとも引っかかるものがあった。
「どうもあの2人組、明らかにああいう態度をわざと取っているよな?」
「うん、アタシもそーだと思う。なにか意図があるのかも。この店への嫌がらせかな?」
アリスベルも同意見のようだ。
「しばらく様子をうかがってみよう。俺がメインで見張るから、2人は気取られないようにそれとなくな」
「うん、分かったよ」
「了解しました勇者様」
俺たちはチンピラ2人組に気付かれないように、それとなく様子を観察することにした。
すると、
「勇者様、今1人がポケットから――!」
「ああ、俺も確認した」
「そっか。最初に隅っこの席に座ったのは、死角が多くて都合がよかったからだったんだね」
チンピラ2人組の片割れが、ポケットからこっそり取り出したダンゴムシを団子の上に乗せたのだ――!
そして、
「おい店主っ! この団子、ダンゴムシが乗ってるぞ!」
「うわっ、ほんとじゃねーか! おいおい、この店は客に団子じゃなくてダンゴムシを食わせる気かよ?」
さも自分たちは善良な被害者であるかのように難癖をつけ始めたのだ。
「まさかそんなはずは――」
慌ててやってきた老店主は信じられないといった顔をしていた。
当然だろう。
老店主に非はなく、ダンゴムシを乗っけたのはこの騒ぎ立てているチンピラどもなのだから。
っていうかお前ら団子屋でダンゴムシがどうのって、狙ってやってるよな?
「じゃあなんなんだよこれは! ああっ!?」
「おらおら、目ん玉ひん向いてよーく見てみろや!」
「で、ですが――」
「ですがもクソもねーんだよ!」
「これが動かぬ証拠だろ証拠! 違うか!?」
「う、うちは衛生管理は昔から徹底しております、ダンゴムシなんて入っているはずは――」
「だったら耄碌したんだろ、この老いぼれ!」
「言い訳はもういいんだよ! それよりこの落とし前、どうつけてくれるんだ?」
「慰謝料払えよ慰謝料!」
「おう、詫び入れて慰謝料100万払えば許してやるぜ!」
チンピラ2人は手慣れた様子で互いに言葉を重ね合いながら、老店主を追い込んでいく。
「慰謝料100万なんてそんな……うちはお客様に喜んでもらうために利益度外視でやっているので、そんなお金はどこにも――」
「だったらこの店売ってでも払えや! それがスジってもんだろ!」
「おうよ、とっとと店と土地の証文持ってこいや! 今すぐになぁ!」
「そ、そんなご無体な。それでは生きていけません!」
「あぁ? んなこと俺らが知ったことかよ!」
「早く証文を持ってこいや! でなきゃ明日から毎日、慰謝料請求しにきてやるぞ!」
チンピラの1人がすごみながら、ドカンと派手に机を蹴り飛ばす。
はぁ、やれやれ。
俺は今にも飛び出しそうなアリスベルとフィオナを制すると、
「言いがかりはそこまでにしろチンピラども。お前らの悪事はこの俺が全て見ていたぞ」
チンピラ2人組と老店主の間にするりと割って入った。
楽しく盛り上がっていたところに水を差された俺は、ドカドカと店内に入っていたチンピラ2人組に小さく文句をつぶやく。
2人組は老店主に案内される前に、店内の隅の席に勝手に座った。
「こらぁっ! いつまで待たせんだ!」
「とっとと持ってこいや!!」
そして座った途端に大きな声でがなり立て始める。
店内にいたお客さんは、その態度に怯えをなして逃げるように店を出て行った。
「精霊がざわついています。良くない感じがします……彼らの悪意がひしひしと伝わってきます」
精霊との交信能力を手に入れて驚異的な直観力を得たフィオナの言葉を聞かずとも、俺もチンピラ2人組の態度にはなんとも引っかかるものがあった。
「どうもあの2人組、明らかにああいう態度をわざと取っているよな?」
「うん、アタシもそーだと思う。なにか意図があるのかも。この店への嫌がらせかな?」
アリスベルも同意見のようだ。
「しばらく様子をうかがってみよう。俺がメインで見張るから、2人は気取られないようにそれとなくな」
「うん、分かったよ」
「了解しました勇者様」
俺たちはチンピラ2人組に気付かれないように、それとなく様子を観察することにした。
すると、
「勇者様、今1人がポケットから――!」
「ああ、俺も確認した」
「そっか。最初に隅っこの席に座ったのは、死角が多くて都合がよかったからだったんだね」
チンピラ2人組の片割れが、ポケットからこっそり取り出したダンゴムシを団子の上に乗せたのだ――!
そして、
「おい店主っ! この団子、ダンゴムシが乗ってるぞ!」
「うわっ、ほんとじゃねーか! おいおい、この店は客に団子じゃなくてダンゴムシを食わせる気かよ?」
さも自分たちは善良な被害者であるかのように難癖をつけ始めたのだ。
「まさかそんなはずは――」
慌ててやってきた老店主は信じられないといった顔をしていた。
当然だろう。
老店主に非はなく、ダンゴムシを乗っけたのはこの騒ぎ立てているチンピラどもなのだから。
っていうかお前ら団子屋でダンゴムシがどうのって、狙ってやってるよな?
「じゃあなんなんだよこれは! ああっ!?」
「おらおら、目ん玉ひん向いてよーく見てみろや!」
「で、ですが――」
「ですがもクソもねーんだよ!」
「これが動かぬ証拠だろ証拠! 違うか!?」
「う、うちは衛生管理は昔から徹底しております、ダンゴムシなんて入っているはずは――」
「だったら耄碌したんだろ、この老いぼれ!」
「言い訳はもういいんだよ! それよりこの落とし前、どうつけてくれるんだ?」
「慰謝料払えよ慰謝料!」
「おう、詫び入れて慰謝料100万払えば許してやるぜ!」
チンピラ2人は手慣れた様子で互いに言葉を重ね合いながら、老店主を追い込んでいく。
「慰謝料100万なんてそんな……うちはお客様に喜んでもらうために利益度外視でやっているので、そんなお金はどこにも――」
「だったらこの店売ってでも払えや! それがスジってもんだろ!」
「おうよ、とっとと店と土地の証文持ってこいや! 今すぐになぁ!」
「そ、そんなご無体な。それでは生きていけません!」
「あぁ? んなこと俺らが知ったことかよ!」
「早く証文を持ってこいや! でなきゃ明日から毎日、慰謝料請求しにきてやるぞ!」
チンピラの1人がすごみながら、ドカンと派手に机を蹴り飛ばす。
はぁ、やれやれ。
俺は今にも飛び出しそうなアリスベルとフィオナを制すると、
「言いがかりはそこまでにしろチンピラども。お前らの悪事はこの俺が全て見ていたぞ」
チンピラ2人組と老店主の間にするりと割って入った。
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