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第二部 暴れん坊将軍編(セントフィリア国王編)
第80話 アフターストーリー3 王の仕事(1)ハンコ
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その日、俺はクロウ=アサミヤ朝セントフィリア王国の、王さま専用の執務室にある机を前に、大量に積み上げられた紙(主に俺が放置していた決裁書類)に右から左で次から次へと中身も見ずに片っ端からハンコを押していた。
ペラ。
ペタン。
ペラ。
ペタン。
ペラ、ペタン、ペラ、ペタン、ペラペタンペラペタンペラペタンペラペタン…………。
「よし、復興祭をしよう!」
俺は勢いよく椅子から立ち上がると宣言した。
「藪から棒にどうしたのおにーさん? でも手が止まってるから動かしてね。この書類と、あとそっちに積んである箱に入った書類全部。今日のお昼までに王印を押さないといけないんだから。はい、チャキチャキ動く!」
しかし俺のハンコ押し作業の監視係としてすぐ隣で見張っていたアリスベル(今は王妃だ)に注意されてしまった俺は、すごすごと座り直すと、再びペラペラペタンと手を動かしながら話し始めた。
「超越魔竜イビルナークに壊滅させられた王都も、挙国一致体制で上から下までみんなが頑張ってくれたおかげで、かなりのスピードで復興が進んでいるだろ?」
ペラペラペタン、ペラペタン。
「そだねー、予定のペースより15%くらい進捗が早いかな。建物よりも先に最優先で主要街道の石畳を敷き直す整備を集中的にやって、物流を大幅に増やしたおにーさんのナイス判断だったよね」
「だろ? 自分で言うのもなんだけど、我ながらナイス判断だったよな」
「どれだけやる気があっても、肝心の物資が来ないと現場は何もできないもんね。急がば回れだね」
ペラペタン、ペラペタン。
「長年勇者としてあちこち旅をしてきた経験でさ、道が整備されてて行き来しやすいところはどこも経済が盛んだったんだよ。足元が悪いと馬車が脱輪したり車輪が壊れたりして街道がすぐに詰まって、物資の流れが滞っちゃうから」
物資が滞れば、せっかく確保した人員も無駄になってしまう。
そういう非生産的な状況を根本から回避できたおかげで、王都の復興は目覚ましいスピードで進んでいた。
ひとえに俺の鶴の一声のおかげである。
「ふふっ、おにーさんの勇者としての経験が生きたわけだね。さすがおにーさん、ないすぅ!!」
アリスベルに褒めてもらって、俺はとても満足な気持ちになった。
ペラペタンペラペタンペラペタンペラペタン、ペラペラペラペラペタンペタンペタンペタン――!
見よ、この目にも止まらぬ高速のハンコ押しを!
「でもこれだけのハイペースでやってきたってことは、当然みんな心身ともに疲れ果ててると思うんだ。だからここらで大きなお祭りを開催して、みんなにリフレッシュしてもらおうって思ったんだけど、アリスベルはどう思う?」
俺の問いかけに、アリスベルは人差し指を口元に当てて思考を巡らせる。
「んー……いいんじゃないかな? 超越魔竜イビルナークの被害を受けなかった東部地域から、もうすぐ2回目の支援物資が大量に届くはずだから。その一部を無償配布してもいいしね」
「そういやそんな話が出てたっけか。さすがアリスベル、俺と違って国政のいろんなことに詳しいな」
「街道を整備した以外はおにーさんがさっぱりだから、自然とね……」
「……ご迷惑をおかけしてほんとすみません」
アリスベルに迷惑かけまくりなことに、俺はとても申し訳ない気持ちになった。
ぺら、ぺたん……ぺら、ぺたん……。
でもさ?
御前会議で玉座にずっと座ってるのとか、大臣たちから延々と報告を聞き続けるのって、俺本当に苦手なんだよ。
俺は戦闘とか訓練とかダンスパーティとか、身体を動かす方が圧倒的に得意なんだよなぁ。
真面目な話、王様って俺に最も向いてない職業だと思うんだ。
ペラ。
ペタン。
ペラ。
ペタン。
ペラ、ペタン、ペラ、ペタン、ペラペタンペラペタンペラペタンペラペタン…………。
「よし、復興祭をしよう!」
俺は勢いよく椅子から立ち上がると宣言した。
「藪から棒にどうしたのおにーさん? でも手が止まってるから動かしてね。この書類と、あとそっちに積んである箱に入った書類全部。今日のお昼までに王印を押さないといけないんだから。はい、チャキチャキ動く!」
しかし俺のハンコ押し作業の監視係としてすぐ隣で見張っていたアリスベル(今は王妃だ)に注意されてしまった俺は、すごすごと座り直すと、再びペラペラペタンと手を動かしながら話し始めた。
「超越魔竜イビルナークに壊滅させられた王都も、挙国一致体制で上から下までみんなが頑張ってくれたおかげで、かなりのスピードで復興が進んでいるだろ?」
ペラペラペタン、ペラペタン。
「そだねー、予定のペースより15%くらい進捗が早いかな。建物よりも先に最優先で主要街道の石畳を敷き直す整備を集中的にやって、物流を大幅に増やしたおにーさんのナイス判断だったよね」
「だろ? 自分で言うのもなんだけど、我ながらナイス判断だったよな」
「どれだけやる気があっても、肝心の物資が来ないと現場は何もできないもんね。急がば回れだね」
ペラペタン、ペラペタン。
「長年勇者としてあちこち旅をしてきた経験でさ、道が整備されてて行き来しやすいところはどこも経済が盛んだったんだよ。足元が悪いと馬車が脱輪したり車輪が壊れたりして街道がすぐに詰まって、物資の流れが滞っちゃうから」
物資が滞れば、せっかく確保した人員も無駄になってしまう。
そういう非生産的な状況を根本から回避できたおかげで、王都の復興は目覚ましいスピードで進んでいた。
ひとえに俺の鶴の一声のおかげである。
「ふふっ、おにーさんの勇者としての経験が生きたわけだね。さすがおにーさん、ないすぅ!!」
アリスベルに褒めてもらって、俺はとても満足な気持ちになった。
ペラペタンペラペタンペラペタンペラペタン、ペラペラペラペラペタンペタンペタンペタン――!
見よ、この目にも止まらぬ高速のハンコ押しを!
「でもこれだけのハイペースでやってきたってことは、当然みんな心身ともに疲れ果ててると思うんだ。だからここらで大きなお祭りを開催して、みんなにリフレッシュしてもらおうって思ったんだけど、アリスベルはどう思う?」
俺の問いかけに、アリスベルは人差し指を口元に当てて思考を巡らせる。
「んー……いいんじゃないかな? 超越魔竜イビルナークの被害を受けなかった東部地域から、もうすぐ2回目の支援物資が大量に届くはずだから。その一部を無償配布してもいいしね」
「そういやそんな話が出てたっけか。さすがアリスベル、俺と違って国政のいろんなことに詳しいな」
「街道を整備した以外はおにーさんがさっぱりだから、自然とね……」
「……ご迷惑をおかけしてほんとすみません」
アリスベルに迷惑かけまくりなことに、俺はとても申し訳ない気持ちになった。
ぺら、ぺたん……ぺら、ぺたん……。
でもさ?
御前会議で玉座にずっと座ってるのとか、大臣たちから延々と報告を聞き続けるのって、俺本当に苦手なんだよ。
俺は戦闘とか訓練とかダンスパーティとか、身体を動かす方が圧倒的に得意なんだよなぁ。
真面目な話、王様って俺に最も向いてない職業だと思うんだ。
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