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第二部 暴れん坊将軍編(セントフィリア国王編)
第79話 アフターストーリー2 第二王妃フィオナ(3)
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自室に向かうフィオナの足取りはとても軽やかだ。
今日のフィオナは特に気分が良かった。
クロウと頻繁にえっちしていることもあるし、未来予知が大いに役立ったこともある。
しかし実はそれらはどちらも一番の理由というわけではなかった。
「アリスベルさんが勇者様の子を身ごもっている――」
フィオナは他に誰もいない廊下で小さくつぶやいた。
今日の朝、目が覚めた瞬間にフィオナの未来予知が発動した。
そしてアリスベルがクロウの子を身ごもり――それも王位継承権を持つ男子を身ごもっていることを予知したのだ。
アリスベル自身もまだ気づいていないその事実を、しかし精霊にこれ以上なく愛され、今や稀代の精霊術士となったフィオナだけは予知したのだ。
「最近のアリスベルさんが『なんかダルいなぁ』と時々口にしているのは、妊娠の初期の症状だったわけですね。話のつじつまが綺麗に合いました」
そしてそれは裏返せば「とあること」を意味していて――、
「第二王妃は、正室である第一王妃が男子を産むまで子供を産むことはご法度です。それはもちろん将来の王位継承に関していらぬ禍根を残してしまうから。でももうそのことを気に病む必要はなくなりました――」
フィオナはもう愛するクロウとの間に子を為すことができるのだ。
最愛の人の子を産むことができる。
そう考えただけで、フィオナは自分の心の中にこれ以上ない幸せが込み上げてくるのを抑えきることができなかった。
自分の口元が緩んでいるのが自分でも分かってしまう。
「い、いけません。王妃の私がこんなアホ面をさらしていれば、勇者様が笑われれしまいます」
しかしどうにも「にへら~」と頬が緩んでしまうフィオナなのだった。
しかしながら。
予知したからと言って、アリスベルに子供ができたことを勝手に言いまわるようなハレンチな真似をフィオナはしはしない。
そこはやはり当事者のアリスベルがまず妊娠に気が付いて、それをクロウに報告するというのが自然な流れであるだろうから。
まず2人が笑顔で喜び合い、それからフィオナのところに一緒に報告に来て3人で喜ぶ。
やはりそれが物事の順序というものだ。
フィオナは極めて真面目な常識人であるからして、未来予知のスキルを得た今であっても、それくらいの気配りをするのは当たり前なのだった。
「あ、そうです。笑顔で報告に来る勇者様とアリスベルさんに、なんと言って祝福をするのがいいか今のうちからお祝いの言葉を考えておかないと」
苦楽を共にした3人の関係的に堅っ苦しいのは論外だけど、そうかといって節度を欠くのもこれはまたよろしくない。
なにせ生真面目なフィオナは、お祝いの言葉一つ考えるのにも手を抜かないタイプだった。
そして同時に。
フィオナの未来予知はもう一つ、あることを予知していた。
それは――、
「そう遠くない未来に、私も勇者様の子供を授かる……」
当然と言えば当然だった。
アリスベルが消極的なこともあって、とかく最近はフィオナがえっちする頻度が高すぎる。
これだけ数を打てば当然、当たる確率も上がるわけで。
「まったく勇者様には困ったものですよね。普段はあんなに凛々しくてカッコイイのに、いざえっちを始めると完全に性欲の権化になっちゃうんですから。でもあれで浮気だけは絶対にしないんですから、本当に凄い男の人です……」
誰もいないのをいいことに、普段のクールな顔をだらしなく崩してニマニマと笑いながら、フィオナは自分の部屋へと戻っていった。
今日も今日とて、クロウ=アサミヤ朝セントフィリア王国は平和だった。
今日のフィオナは特に気分が良かった。
クロウと頻繁にえっちしていることもあるし、未来予知が大いに役立ったこともある。
しかし実はそれらはどちらも一番の理由というわけではなかった。
「アリスベルさんが勇者様の子を身ごもっている――」
フィオナは他に誰もいない廊下で小さくつぶやいた。
今日の朝、目が覚めた瞬間にフィオナの未来予知が発動した。
そしてアリスベルがクロウの子を身ごもり――それも王位継承権を持つ男子を身ごもっていることを予知したのだ。
アリスベル自身もまだ気づいていないその事実を、しかし精霊にこれ以上なく愛され、今や稀代の精霊術士となったフィオナだけは予知したのだ。
「最近のアリスベルさんが『なんかダルいなぁ』と時々口にしているのは、妊娠の初期の症状だったわけですね。話のつじつまが綺麗に合いました」
そしてそれは裏返せば「とあること」を意味していて――、
「第二王妃は、正室である第一王妃が男子を産むまで子供を産むことはご法度です。それはもちろん将来の王位継承に関していらぬ禍根を残してしまうから。でももうそのことを気に病む必要はなくなりました――」
フィオナはもう愛するクロウとの間に子を為すことができるのだ。
最愛の人の子を産むことができる。
そう考えただけで、フィオナは自分の心の中にこれ以上ない幸せが込み上げてくるのを抑えきることができなかった。
自分の口元が緩んでいるのが自分でも分かってしまう。
「い、いけません。王妃の私がこんなアホ面をさらしていれば、勇者様が笑われれしまいます」
しかしどうにも「にへら~」と頬が緩んでしまうフィオナなのだった。
しかしながら。
予知したからと言って、アリスベルに子供ができたことを勝手に言いまわるようなハレンチな真似をフィオナはしはしない。
そこはやはり当事者のアリスベルがまず妊娠に気が付いて、それをクロウに報告するというのが自然な流れであるだろうから。
まず2人が笑顔で喜び合い、それからフィオナのところに一緒に報告に来て3人で喜ぶ。
やはりそれが物事の順序というものだ。
フィオナは極めて真面目な常識人であるからして、未来予知のスキルを得た今であっても、それくらいの気配りをするのは当たり前なのだった。
「あ、そうです。笑顔で報告に来る勇者様とアリスベルさんに、なんと言って祝福をするのがいいか今のうちからお祝いの言葉を考えておかないと」
苦楽を共にした3人の関係的に堅っ苦しいのは論外だけど、そうかといって節度を欠くのもこれはまたよろしくない。
なにせ生真面目なフィオナは、お祝いの言葉一つ考えるのにも手を抜かないタイプだった。
そして同時に。
フィオナの未来予知はもう一つ、あることを予知していた。
それは――、
「そう遠くない未来に、私も勇者様の子供を授かる……」
当然と言えば当然だった。
アリスベルが消極的なこともあって、とかく最近はフィオナがえっちする頻度が高すぎる。
これだけ数を打てば当然、当たる確率も上がるわけで。
「まったく勇者様には困ったものですよね。普段はあんなに凛々しくてカッコイイのに、いざえっちを始めると完全に性欲の権化になっちゃうんですから。でもあれで浮気だけは絶対にしないんですから、本当に凄い男の人です……」
誰もいないのをいいことに、普段のクールな顔をだらしなく崩してニマニマと笑いながら、フィオナは自分の部屋へと戻っていった。
今日も今日とて、クロウ=アサミヤ朝セントフィリア王国は平和だった。
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