44 / 142
第一部 腰痛勇者編
第44話「ならばよし!」
しおりを挟む
「えっと、なぜでしょうか……? この程度ではまだ覚悟も誠意も、全然足りてはいないということでしょうか?」
アリスベルの態度に、フィオナが戸惑ったように尋ねる。
「だってフィオナさん、おにーさんが初めての男の人だったんでしょ?」
「は、はい、そうなります」
アリスベルにズバリ言われしまい、フィオナが頬を赤らめた。
「だったらそれもアタシと一緒だよね。ってことはつまり、アタシと同じようにフィオナさんにもおにーさんに幸せにしてもらう権利があるってことじゃないかな?」
「で、ですが――」
「アタシもフィオナさんはすごくいい人だと思うし、だからこれからはアタシとおにーさんとフィオナさんの3人で、やっていけばいいんじゃないかなって思うんだ」
ここに来てアリスベルがなんともビックリ仰天なプランを提案した。
「いや3人でって、アリスベル――」
その想像だにしていなかったあまりにぶっ飛んだ提案に、俺はつい口を挟んでしまった。
「あれ? おにーさんはフィオナさんのこと嫌いなの?」
「嫌いだなんてまさか。フィオナは真面目だけど意外と融通も利いて、優しくてとても好感が持てる素敵な女の子だよ」
「それに美人でおっぱいも大きいもんね?」
「え? あ、いや、うん?」
アリスベルのツッコミに、俺はつい言葉に詰まってしまった。
「ねえ、おにーさん? おにーさんが一番気にするところのはずなのに、意図的に言わなかったよね、今?」
「えっと、あっと、いや、その……」
「舞踏会で踊ったミライト商会のマリアンヌさんといい、おにーさんは大きなおっぱいの女の子が大好きなはずなのに、敢えて今言わなかったよね? なんでかな? 教えておにーさん?」
とてもいい笑顔を見せたアリスベルから、俺はなぜか猛烈な圧を感じてしまっていた。
「申し訳ありませんでした。言わないといけなかったことを、俺は今言わずに済まそうとしました。正直に言います、フィオナは美人でおっぱいが大きいところも大好きです」
アリスベルから厳しいプレッシャーを受けた俺は、正直に答えざるを得ませんでした。
「だったらいいよね――ただし!」
そこでアリスベルは指を一本立てると、俺とフィオナの目の前にビシィッ!と突き出した。
「1番はアタシ、フィオナさんは2番目。そしておにーさんはアタシたち2人を、その順番に関係なく、これ以上ないほどにパーフェクトに幸せにすること!」
「それって――」
「おにーさん、結婚――はまだ早いかもだけど、将来を見据えたお付き合いくらいはしよっか?」
「いいのか?」
「おにーさんがアタシをどれだけ愛してるか、いい加減わからされちゃった感じかな。言い訳一つしないで必死に説明するおにーさんを見てたら、ちょっと愛を感じちゃったっていうか」
「そ、そうか……!」
「それにフィオナさんとえっちしたんだから、当然責任はとらないといけないでしょ? 初めての男として」
「そりゃまぁ取れるなら取りたいけど」
「じゃあこの選択肢が一番だよね」
「そうなる、のかな?」
「でも! 3人目はダメだからね? フィオナさんまでだからね? それ以上はマジでアウトだから。なにをどうやっても絶対に、絶対の絶対に許さないから。これ前振りじゃないからね、ガチの絶交するからね。どんな理由でもマジで一発アウトだからね」
その後半の言葉は、討伐に行く前に言われたものとそっくりそのまま同じで。
それをアリスベルは極上の笑顔で言ってくるのだから、俺はもう完全にお手上げなのだった。
アリスベルにはかなわないよ、まったく。
「浮気えっちはしない。俺はアリスベル一筋――今はフィオナもいるから二筋か? ともあれ二人を裏切るような真似は絶対にしないと約束する。今度こそ違えない」
「ならばよし!」
言いながら器用に片目をつぶって、親指をグッと立てたアリスベルだった。
というわけで、俺とアリスベルとフィオナは3人で「結婚を前提にした親密なお付き合い」をすることになった。
アリスベルの態度に、フィオナが戸惑ったように尋ねる。
「だってフィオナさん、おにーさんが初めての男の人だったんでしょ?」
「は、はい、そうなります」
アリスベルにズバリ言われしまい、フィオナが頬を赤らめた。
「だったらそれもアタシと一緒だよね。ってことはつまり、アタシと同じようにフィオナさんにもおにーさんに幸せにしてもらう権利があるってことじゃないかな?」
「で、ですが――」
「アタシもフィオナさんはすごくいい人だと思うし、だからこれからはアタシとおにーさんとフィオナさんの3人で、やっていけばいいんじゃないかなって思うんだ」
ここに来てアリスベルがなんともビックリ仰天なプランを提案した。
「いや3人でって、アリスベル――」
その想像だにしていなかったあまりにぶっ飛んだ提案に、俺はつい口を挟んでしまった。
「あれ? おにーさんはフィオナさんのこと嫌いなの?」
「嫌いだなんてまさか。フィオナは真面目だけど意外と融通も利いて、優しくてとても好感が持てる素敵な女の子だよ」
「それに美人でおっぱいも大きいもんね?」
「え? あ、いや、うん?」
アリスベルのツッコミに、俺はつい言葉に詰まってしまった。
「ねえ、おにーさん? おにーさんが一番気にするところのはずなのに、意図的に言わなかったよね、今?」
「えっと、あっと、いや、その……」
「舞踏会で踊ったミライト商会のマリアンヌさんといい、おにーさんは大きなおっぱいの女の子が大好きなはずなのに、敢えて今言わなかったよね? なんでかな? 教えておにーさん?」
とてもいい笑顔を見せたアリスベルから、俺はなぜか猛烈な圧を感じてしまっていた。
「申し訳ありませんでした。言わないといけなかったことを、俺は今言わずに済まそうとしました。正直に言います、フィオナは美人でおっぱいが大きいところも大好きです」
アリスベルから厳しいプレッシャーを受けた俺は、正直に答えざるを得ませんでした。
「だったらいいよね――ただし!」
そこでアリスベルは指を一本立てると、俺とフィオナの目の前にビシィッ!と突き出した。
「1番はアタシ、フィオナさんは2番目。そしておにーさんはアタシたち2人を、その順番に関係なく、これ以上ないほどにパーフェクトに幸せにすること!」
「それって――」
「おにーさん、結婚――はまだ早いかもだけど、将来を見据えたお付き合いくらいはしよっか?」
「いいのか?」
「おにーさんがアタシをどれだけ愛してるか、いい加減わからされちゃった感じかな。言い訳一つしないで必死に説明するおにーさんを見てたら、ちょっと愛を感じちゃったっていうか」
「そ、そうか……!」
「それにフィオナさんとえっちしたんだから、当然責任はとらないといけないでしょ? 初めての男として」
「そりゃまぁ取れるなら取りたいけど」
「じゃあこの選択肢が一番だよね」
「そうなる、のかな?」
「でも! 3人目はダメだからね? フィオナさんまでだからね? それ以上はマジでアウトだから。なにをどうやっても絶対に、絶対の絶対に許さないから。これ前振りじゃないからね、ガチの絶交するからね。どんな理由でもマジで一発アウトだからね」
その後半の言葉は、討伐に行く前に言われたものとそっくりそのまま同じで。
それをアリスベルは極上の笑顔で言ってくるのだから、俺はもう完全にお手上げなのだった。
アリスベルにはかなわないよ、まったく。
「浮気えっちはしない。俺はアリスベル一筋――今はフィオナもいるから二筋か? ともあれ二人を裏切るような真似は絶対にしないと約束する。今度こそ違えない」
「ならばよし!」
言いながら器用に片目をつぶって、親指をグッと立てたアリスベルだった。
というわけで、俺とアリスベルとフィオナは3人で「結婚を前提にした親密なお付き合い」をすることになった。
0
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ
鈴木竜一
ファンタジー
「おまえを今日限りでパーティーから追放する」
魔族から世界を救う目的で集められた救世主パーティー【ヴェガリス】のリーダー・アルゴがそう言い放った相手は主力メンバー・デレクの愛弟子である見習い女剣士のミレインだった。
表向きは実力不足と言いながら、真の追放理由はしつこく言い寄っていたミレインにこっぴどく振られたからというしょうもないもの。
真相を知ったデレクはとても納得できるものじゃないと憤慨し、あとを追うようにパーティーを抜けると彼女を連れて故郷の田舎町へと戻った。
その後、農業をやりながら冒険者パーティーを結成。
趣味程度にのんびりやろうとしていたが、やがて彼らは新しい仲間とともに【真の救世主】として世界にその名を轟かせていくことになる。
一方、【ヴェガリス】ではアルゴが嫉妬に狂い始めていて……
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ブラック社畜の俺、部屋でアニメを見ていたら説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と元気に勇者やってます!
マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫
ファンタジー
「突然ですが、あなたには異世界『ユーフェミア』で勇者になってもらいます」
ブラック会社で社畜っていた俺は、そんな言葉以外にろくな説明も受けずに、駄女神によって異世界へと強制送還された。
そしていきなりドラゴンに襲われて死にかける。
えっ、なにこの状況?
社畜リーマンにドラゴンブレスとか防げるわけないんだけど!?
しかしそこへ現れたのは金髪碧眼のSランク美少女だった。
「≪プロテクション≫!」
凛々しい声とともに俺の前に光の盾が現れ、ドラゴンブレスを跳ね返す!
それが≪盾の聖女≫と呼ばれる美少女リュスターナとの出会いだった。
その時いろいろあって襲い来るドラゴンをワンパンで倒したしまった俺は、勇者となってリュスターナたち≪対ドラゴン連合同盟≫とともに大魔竜ドラグバーン率いるドラゴン軍団との戦いに身を投じることになる――!
「大魔竜ドラグバーンは俺が倒す!」
「さすがです勇者様! こんな上位種ドラゴンを一撃で倒してしまうなんて! ではご褒美に今日の夜は2人でちゅっちゅしましょうね♡」
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる