36 / 142
第一部 腰痛勇者編
第36話 ギガントグリズリー(複数)討伐戦(下)
しおりを挟む
勇者の力とは生命エネルギーを戦闘力に変換したものだ。
『気』などという概念で呼ばれることもある。
つまり勇者というのは、常に自らの命を力に変えて戦っているのだった。
だから限界を越えて勇者の力を使うと、生命エネルギーが枯渇して死ぬ可能性があった。
そういうリスクのある力なので普段はリミッターがかかっていて、だから限界を超えて勇者の力を使うことはできなくなっている。
しかし強大な敵を相手にするには、時に人間の限界を超えることが必要だった。
そして俺は今そのストッパーを外し、人間の限界を超えて己の生命力を燃やして強大な勇者の力へと変換していく――!
4体のSSランク・ギガントグリズリーと渡り合う中、『破邪の神楽』が進むにつれて俺の勇者パワーが今までとはけた違いに増幅していく。
一部過剰に発露した勇者パワーは、俺の身体からオーラとなって立ち昇りはじめていた。
「ってわけで接近戦用のスーパーモードでいくぜ! オラァッっ!!」
やりすぎると本気で死んでしまう、そんな短期決戦専用の真なる勇者の力を俺はついに完全解放する。
すると今まで剛毛によってどうにも通らなかった斬撃が、1体のSSランク・ギガントグリズリーの右腕の肘から先を一発で斬り飛ばした!
グルウギャァァァァァァッッ!!??
俺の攻撃が急に威力を増し、自慢の防御力を貫通されたことで、SSランク・ギガントグリズリーは驚いたようにビクッと身体を震わせる。
痛みと怒りを猛烈に吠え散らかしながら、しかし一歩二歩と俺と距離を取るように後ずさった。
「ははっ、戦いの場で怯えたな?」
そしてSSランク・ギガントグリズリーが初めて見せたその弱気な姿勢を、見逃すような俺ではなかった。
目にも止まらぬ鮮烈な踏み込みで一気に肉薄すると、右腕を失った個体に激烈なる連続攻撃を叩き込んで追撃する。
身体中を斬り刻まれ、全身から鮮血を吹き上げたSSランク・ギガントグリズリーは、そのまま倒れて動かぬ屍となり果てた。
「まずは一体。次はお前らだぜ、お仲間の隣に並べてやる」
俺はニヤッと笑いながら言うと、左手の中指を立ててクイクイと2回折り曲げ、残った3体を挑発する。
それを見た1体が、俺に向かって怒りの咆哮とともに突っこんできた。
グルゥアァァァァァァッッッ――――ッ!!
勢いそのままに巨大な爪を振り下ろしてくる!
だがしかし――!
「味方がいるんだから協力くらいしろよな? 単騎で正面から突っ込んでくるとか、力を全開放した勇者を舐めてんじゃねぇっつーの!」
その瞬間、俺の身体が残像を残して消えた。
突っこんできた1体は盛大に攻撃を空振り、既に何もない空間ごと地面をたたいてもうもうと土煙を巻きあげる。
その時すでに爆発的な跳躍によって、俺の身体は宙に舞っていた。
さらに何もない空中を蹴ると猛加速し、攻撃を空振って無防備になっていたSSランク・ギガントグリズリーの首を、着地と同時に一気に叩き落とす!
空中ステップ。
真の力を解放した勇者は、空中でも自在に戦闘機動を行えるのだ!
「乗ってくれたらラッキーくらいで挑発したら、我を忘れて馬鹿みたいに突っこんでくるとはな。SSランクとはいえしょせんは魔獣か」
労せず2体目も倒した俺は、残る2体へと視線を向ける。
さすがに残る2体は、協力して戦おうとしている様子だった。
だが時すでに遅し。
もはや2体のSSランク・ギガントグリズリーなぞ、勇者の真の力を解放した今の俺の敵ではない!!
「おおおおっっっ!!」
俺は際限なく湧き上がる力をあますところなく発揮し、『破邪の聖剣』を振るう。
そしてそのまま残る2体のSSランク・ギガントグリズリーを、圧倒的なまでの力でもって完膚なきまでに叩き伏せたのだった。
『気』などという概念で呼ばれることもある。
つまり勇者というのは、常に自らの命を力に変えて戦っているのだった。
だから限界を越えて勇者の力を使うと、生命エネルギーが枯渇して死ぬ可能性があった。
そういうリスクのある力なので普段はリミッターがかかっていて、だから限界を超えて勇者の力を使うことはできなくなっている。
しかし強大な敵を相手にするには、時に人間の限界を超えることが必要だった。
そして俺は今そのストッパーを外し、人間の限界を超えて己の生命力を燃やして強大な勇者の力へと変換していく――!
4体のSSランク・ギガントグリズリーと渡り合う中、『破邪の神楽』が進むにつれて俺の勇者パワーが今までとはけた違いに増幅していく。
一部過剰に発露した勇者パワーは、俺の身体からオーラとなって立ち昇りはじめていた。
「ってわけで接近戦用のスーパーモードでいくぜ! オラァッっ!!」
やりすぎると本気で死んでしまう、そんな短期決戦専用の真なる勇者の力を俺はついに完全解放する。
すると今まで剛毛によってどうにも通らなかった斬撃が、1体のSSランク・ギガントグリズリーの右腕の肘から先を一発で斬り飛ばした!
グルウギャァァァァァァッッ!!??
俺の攻撃が急に威力を増し、自慢の防御力を貫通されたことで、SSランク・ギガントグリズリーは驚いたようにビクッと身体を震わせる。
痛みと怒りを猛烈に吠え散らかしながら、しかし一歩二歩と俺と距離を取るように後ずさった。
「ははっ、戦いの場で怯えたな?」
そしてSSランク・ギガントグリズリーが初めて見せたその弱気な姿勢を、見逃すような俺ではなかった。
目にも止まらぬ鮮烈な踏み込みで一気に肉薄すると、右腕を失った個体に激烈なる連続攻撃を叩き込んで追撃する。
身体中を斬り刻まれ、全身から鮮血を吹き上げたSSランク・ギガントグリズリーは、そのまま倒れて動かぬ屍となり果てた。
「まずは一体。次はお前らだぜ、お仲間の隣に並べてやる」
俺はニヤッと笑いながら言うと、左手の中指を立ててクイクイと2回折り曲げ、残った3体を挑発する。
それを見た1体が、俺に向かって怒りの咆哮とともに突っこんできた。
グルゥアァァァァァァッッッ――――ッ!!
勢いそのままに巨大な爪を振り下ろしてくる!
だがしかし――!
「味方がいるんだから協力くらいしろよな? 単騎で正面から突っ込んでくるとか、力を全開放した勇者を舐めてんじゃねぇっつーの!」
その瞬間、俺の身体が残像を残して消えた。
突っこんできた1体は盛大に攻撃を空振り、既に何もない空間ごと地面をたたいてもうもうと土煙を巻きあげる。
その時すでに爆発的な跳躍によって、俺の身体は宙に舞っていた。
さらに何もない空中を蹴ると猛加速し、攻撃を空振って無防備になっていたSSランク・ギガントグリズリーの首を、着地と同時に一気に叩き落とす!
空中ステップ。
真の力を解放した勇者は、空中でも自在に戦闘機動を行えるのだ!
「乗ってくれたらラッキーくらいで挑発したら、我を忘れて馬鹿みたいに突っこんでくるとはな。SSランクとはいえしょせんは魔獣か」
労せず2体目も倒した俺は、残る2体へと視線を向ける。
さすがに残る2体は、協力して戦おうとしている様子だった。
だが時すでに遅し。
もはや2体のSSランク・ギガントグリズリーなぞ、勇者の真の力を解放した今の俺の敵ではない!!
「おおおおっっっ!!」
俺は際限なく湧き上がる力をあますところなく発揮し、『破邪の聖剣』を振るう。
そしてそのまま残る2体のSSランク・ギガントグリズリーを、圧倒的なまでの力でもって完膚なきまでに叩き伏せたのだった。
0
お気に入りに追加
605
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
ブラック社畜の俺、部屋でアニメを見ていたら説明もなしにドラゴンの跋扈する異世界に強制転移される。でも今は≪盾の聖女≫と元気に勇者やってます!
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
ファンタジー
「突然ですが、あなたには異世界『ユーフェミア』で勇者になってもらいます」
ブラック会社で社畜っていた俺は、そんな言葉以外にろくな説明も受けずに、駄女神によって異世界へと強制送還された。
そしていきなりドラゴンに襲われて死にかける。
えっ、なにこの状況?
社畜リーマンにドラゴンブレスとか防げるわけないんだけど!?
しかしそこへ現れたのは金髪碧眼のSランク美少女だった。
「≪プロテクション≫!」
凛々しい声とともに俺の前に光の盾が現れ、ドラゴンブレスを跳ね返す!
それが≪盾の聖女≫と呼ばれる美少女リュスターナとの出会いだった。
その時いろいろあって襲い来るドラゴンをワンパンで倒したしまった俺は、勇者となってリュスターナたち≪対ドラゴン連合同盟≫とともに大魔竜ドラグバーン率いるドラゴン軍団との戦いに身を投じることになる――!
「大魔竜ドラグバーンは俺が倒す!」
「さすがです勇者様! こんな上位種ドラゴンを一撃で倒してしまうなんて! ではご褒美に今日の夜は2人でちゅっちゅしましょうね♡」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる