【それでも俺は】腰痛で追放された勇者、行き倒れていた所をエルフ整体師にゴキャァ!と整体してもらい完治する【世界を救う】

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
上 下
34 / 142
第一部 腰痛勇者編

第34話 ギガントグリズリー(複数)討伐戦(上)

しおりを挟む
 俺が戦場へと駆けつけた時、騎士団の精鋭部隊は既に絶体絶命のピンチに追い込まれていた。

 今も俺の目の前で、剣を折られた若い騎士が一人、体勢を崩したところをギガントグリズリーの爪で引き裂かれようとしていて、

「おおおおおっっ!」

 俺はギガントグリズリーの注意を引くように雄たけびを上げながら、即座に間に割って入ると『破邪の聖剣』でその強力な爪撃を受け止めた。

「た、助かったよ! ところで君は誰なんだい?」

 すんでのところで命を繋いだ騎士が、態勢を立て直しながら尋ねてくる。

「俺は勇者クロウ。騎士フィオナに頼まれて助力に来た。こいつらの相手は俺がする、まずは全員下がってくれ!」

 そう言うと俺は7メートルを超えるギガントグリズリーの巨体を、思いきり蹴り飛ばした。

「なっ、あんな巨体を軽々と蹴り飛ばしただって!? なんてパワーだ!」

 蹴り飛ばされたギガントグリズリーが軽々と宙を舞ったのを見て、騎士が驚いたように目を見開く。

「これがSSSランクの勇者の力だ。だから仲間をまとめて早く下がるんだ。魔獣の数が多いから、お前たちを守りながらだと正直ちょっとしんどい」

「SSSランクの勇者、これが……! わかった、生き残った仲間をまとめてすぐに後退する!」

 騎士は他の騎士たちに号令をかけると、連携を取りながら防御態勢を構築し撤退を始めた。
 精鋭部隊というだけあって、傷ついた仲間を守りながら流れるような動きで、まるで潮が引くようにするすると手際よく後退していく。

「よし、と。これで戦闘に集中できるな。さすがの俺も味方を守りながら複数のSSランクを相手にするのは骨が折れるからな」

 俺は騎士たちのことは気にかけなくても大丈夫だと判断すると、ギガントグリズリーに意識を集中する。

 ギガントグリズリーは全部15体。
 通常はせいぜいA+ランクの魔獣だが、そのうち4体もがSS級にパワーアップしている。
 この4体は少々厄介な相手だった。

 しかもギガントグリズリーたちも、俺を一番の敵とみなして次々に集まってくるのだ。

「やっぱり俺と聖剣の力に反応してやがるな? マジで魔王と戦っていたときと同じなんだよな。上位の魔獣ってのはよほど勇者と聖剣が嫌いと見える」

 魔王の影響を受けて強大化・活性化した魔獣たちはどれもこれも、俺が勇者の力を高めると狂ったように俺に向かって襲いかかってきた。

「ってことはもしかしたら魔王か、それに近い存在が復活したのかもな。ま、その辺のことは今はいいや。まずはお前らを全て討伐する、話はそれからだ」

 グルルルルルル――――ッッ!!

 俺が『破邪の聖剣』の切っ先を向けると、先ほど俺に蹴り飛ばされたギガントグリズリーが、怒りに満ちた獰猛な唸り声をあげた。
 並の戦士が見たらそれだけで恐怖を覚え、戦意を喪失するような恐ろしい唸り声だ。

 実際、魔獣の唸り声には相手の戦意を低下させるデバフ効果が多少ある。
 もちろん何があろうとも戦うことを宿命づけられた勇者相手には、全くの無意味なのだが。

「でも思ってたよりは数が少ないな、しかもギガントグリズリーばかりだし」

「最初はグレートタイガーやキングウルフもいたんだが、そっちはどうにか討伐したんだ」

 疑問を口にした俺に、さっき助けた騎士が仲間とともに撤退しながらその理由を教えてくれた。

「そういうことか。さすがフィオナが精鋭騎士部隊と言ってただけはあるな。ちゃんとお膳立てはしてくれたわけだ、サンキューな」

 疑問も解けたことだし、とっと討伐にかかるとするか。
 俺は気合を入れると、勇者の力をガンガンと高めはじめた。
 
「さてと魔獣ども、SSSランクの勇者の力をとくと見せてやるぜ」

 最強の勇者の力を解放した俺と、SSランクを含むギガントグリズリー15体との戦いが幕をあげた。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ

鈴木竜一
ファンタジー
「おまえを今日限りでパーティーから追放する」  魔族から世界を救う目的で集められた救世主パーティー【ヴェガリス】のリーダー・アルゴがそう言い放った相手は主力メンバー・デレクの愛弟子である見習い女剣士のミレインだった。  表向きは実力不足と言いながら、真の追放理由はしつこく言い寄っていたミレインにこっぴどく振られたからというしょうもないもの。 真相を知ったデレクはとても納得できるものじゃないと憤慨し、あとを追うようにパーティーを抜けると彼女を連れて故郷の田舎町へと戻った。 その後、農業をやりながら冒険者パーティーを結成。 趣味程度にのんびりやろうとしていたが、やがて彼らは新しい仲間とともに【真の救世主】として世界にその名を轟かせていくことになる。 一方、【ヴェガリス】ではアルゴが嫉妬に狂い始めていて……

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

処理中です...