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第一部 腰痛勇者編
第34話 ギガントグリズリー(複数)討伐戦(上)
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俺が戦場へと駆けつけた時、騎士団の精鋭部隊は既に絶体絶命のピンチに追い込まれていた。
今も俺の目の前で、剣を折られた若い騎士が一人、体勢を崩したところをギガントグリズリーの爪で引き裂かれようとしていて、
「おおおおおっっ!」
俺はギガントグリズリーの注意を引くように雄たけびを上げながら、即座に間に割って入ると『破邪の聖剣』でその強力な爪撃を受け止めた。
「た、助かったよ! ところで君は誰なんだい?」
すんでのところで命を繋いだ騎士が、態勢を立て直しながら尋ねてくる。
「俺は勇者クロウ。騎士フィオナに頼まれて助力に来た。こいつらの相手は俺がする、まずは全員下がってくれ!」
そう言うと俺は7メートルを超えるギガントグリズリーの巨体を、思いきり蹴り飛ばした。
「なっ、あんな巨体を軽々と蹴り飛ばしただって!? なんてパワーだ!」
蹴り飛ばされたギガントグリズリーが軽々と宙を舞ったのを見て、騎士が驚いたように目を見開く。
「これがSSSランクの勇者の力だ。だから仲間をまとめて早く下がるんだ。魔獣の数が多いから、お前たちを守りながらだと正直ちょっとしんどい」
「SSSランクの勇者、これが……! わかった、生き残った仲間をまとめてすぐに後退する!」
騎士は他の騎士たちに号令をかけると、連携を取りながら防御態勢を構築し撤退を始めた。
精鋭部隊というだけあって、傷ついた仲間を守りながら流れるような動きで、まるで潮が引くようにするすると手際よく後退していく。
「よし、と。これで戦闘に集中できるな。さすがの俺も味方を守りながら複数のSSランクを相手にするのは骨が折れるからな」
俺は騎士たちのことは気にかけなくても大丈夫だと判断すると、ギガントグリズリーに意識を集中する。
ギガントグリズリーは全部15体。
通常はせいぜいA+ランクの魔獣だが、そのうち4体もがSS級にパワーアップしている。
この4体は少々厄介な相手だった。
しかもギガントグリズリーたちも、俺を一番の敵とみなして次々に集まってくるのだ。
「やっぱり俺と聖剣の力に反応してやがるな? マジで魔王と戦っていたときと同じなんだよな。上位の魔獣ってのはよほど勇者と聖剣が嫌いと見える」
魔王の影響を受けて強大化・活性化した魔獣たちはどれもこれも、俺が勇者の力を高めると狂ったように俺に向かって襲いかかってきた。
「ってことはもしかしたら魔王か、それに近い存在が復活したのかもな。ま、その辺のことは今はいいや。まずはお前らを全て討伐する、話はそれからだ」
グルルルルルル――――ッッ!!
俺が『破邪の聖剣』の切っ先を向けると、先ほど俺に蹴り飛ばされたギガントグリズリーが、怒りに満ちた獰猛な唸り声をあげた。
並の戦士が見たらそれだけで恐怖を覚え、戦意を喪失するような恐ろしい唸り声だ。
実際、魔獣の唸り声には相手の戦意を低下させるデバフ効果が多少ある。
もちろん何があろうとも戦うことを宿命づけられた勇者相手には、全くの無意味なのだが。
「でも思ってたよりは数が少ないな、しかもギガントグリズリーばかりだし」
「最初はグレートタイガーやキングウルフもいたんだが、そっちはどうにか討伐したんだ」
疑問を口にした俺に、さっき助けた騎士が仲間とともに撤退しながらその理由を教えてくれた。
「そういうことか。さすがフィオナが精鋭騎士部隊と言ってただけはあるな。ちゃんとお膳立てはしてくれたわけだ、サンキューな」
疑問も解けたことだし、とっと討伐にかかるとするか。
俺は気合を入れると、勇者の力をガンガンと高めはじめた。
「さてと魔獣ども、SSSランクの勇者の力をとくと見せてやるぜ」
最強の勇者の力を解放した俺と、SSランクを含むギガントグリズリー15体との戦いが幕をあげた。
今も俺の目の前で、剣を折られた若い騎士が一人、体勢を崩したところをギガントグリズリーの爪で引き裂かれようとしていて、
「おおおおおっっ!」
俺はギガントグリズリーの注意を引くように雄たけびを上げながら、即座に間に割って入ると『破邪の聖剣』でその強力な爪撃を受け止めた。
「た、助かったよ! ところで君は誰なんだい?」
すんでのところで命を繋いだ騎士が、態勢を立て直しながら尋ねてくる。
「俺は勇者クロウ。騎士フィオナに頼まれて助力に来た。こいつらの相手は俺がする、まずは全員下がってくれ!」
そう言うと俺は7メートルを超えるギガントグリズリーの巨体を、思いきり蹴り飛ばした。
「なっ、あんな巨体を軽々と蹴り飛ばしただって!? なんてパワーだ!」
蹴り飛ばされたギガントグリズリーが軽々と宙を舞ったのを見て、騎士が驚いたように目を見開く。
「これがSSSランクの勇者の力だ。だから仲間をまとめて早く下がるんだ。魔獣の数が多いから、お前たちを守りながらだと正直ちょっとしんどい」
「SSSランクの勇者、これが……! わかった、生き残った仲間をまとめてすぐに後退する!」
騎士は他の騎士たちに号令をかけると、連携を取りながら防御態勢を構築し撤退を始めた。
精鋭部隊というだけあって、傷ついた仲間を守りながら流れるような動きで、まるで潮が引くようにするすると手際よく後退していく。
「よし、と。これで戦闘に集中できるな。さすがの俺も味方を守りながら複数のSSランクを相手にするのは骨が折れるからな」
俺は騎士たちのことは気にかけなくても大丈夫だと判断すると、ギガントグリズリーに意識を集中する。
ギガントグリズリーは全部15体。
通常はせいぜいA+ランクの魔獣だが、そのうち4体もがSS級にパワーアップしている。
この4体は少々厄介な相手だった。
しかもギガントグリズリーたちも、俺を一番の敵とみなして次々に集まってくるのだ。
「やっぱり俺と聖剣の力に反応してやがるな? マジで魔王と戦っていたときと同じなんだよな。上位の魔獣ってのはよほど勇者と聖剣が嫌いと見える」
魔王の影響を受けて強大化・活性化した魔獣たちはどれもこれも、俺が勇者の力を高めると狂ったように俺に向かって襲いかかってきた。
「ってことはもしかしたら魔王か、それに近い存在が復活したのかもな。ま、その辺のことは今はいいや。まずはお前らを全て討伐する、話はそれからだ」
グルルルルルル――――ッッ!!
俺が『破邪の聖剣』の切っ先を向けると、先ほど俺に蹴り飛ばされたギガントグリズリーが、怒りに満ちた獰猛な唸り声をあげた。
並の戦士が見たらそれだけで恐怖を覚え、戦意を喪失するような恐ろしい唸り声だ。
実際、魔獣の唸り声には相手の戦意を低下させるデバフ効果が多少ある。
もちろん何があろうとも戦うことを宿命づけられた勇者相手には、全くの無意味なのだが。
「でも思ってたよりは数が少ないな、しかもギガントグリズリーばかりだし」
「最初はグレートタイガーやキングウルフもいたんだが、そっちはどうにか討伐したんだ」
疑問を口にした俺に、さっき助けた騎士が仲間とともに撤退しながらその理由を教えてくれた。
「そういうことか。さすがフィオナが精鋭騎士部隊と言ってただけはあるな。ちゃんとお膳立てはしてくれたわけだ、サンキューな」
疑問も解けたことだし、とっと討伐にかかるとするか。
俺は気合を入れると、勇者の力をガンガンと高めはじめた。
「さてと魔獣ども、SSSランクの勇者の力をとくと見せてやるぜ」
最強の勇者の力を解放した俺と、SSランクを含むギガントグリズリー15体との戦いが幕をあげた。
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