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第一部 腰痛勇者編
第21話「あっ! あやしー! めっちゃあやしー!」
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「おいおい、急になに言ってんだよ。フィオナは同じ戦士として、俺の強さに感動してるんだよ。普通はAランクの魔獣を何十体も討伐するには、200人とか300人規模の大規模な討伐軍が必要だからな。なぁフィオナ?」
「えっ? あ、はい、もちろんですとも。ま、まったくもってその通りでしゅので」
「あっ! あやしー! めっちゃあやしー! いつも冷静沈着なフィオナさんが焦って語尾を噛んでるし!」
「まぁまぁアリスベル。俺はアリスベルに一途で一筋だから、そんな風に嫉妬なんかしなくても大丈夫だっての」
「嫉妬じゃないし! ぜんぜん違うし! ノー嫉妬だし!」
「照れなくていいぞ?」
「照れてません! これは穴さえあれば前だろうが後ろだろうがどこにでも入れたがる、おにーさんのえっちっちな心と、どうしようもなくだらしない下半身に釘を刺してるだけだもん!」
「うんうん、嫉妬するアリスベルも可愛いなぁ」
「だから嫉妬違うし! 勘違いしないでよねっ!」
「ご安心くださいアリスベルさん。たしかに勇者様はとても素敵な男性です」
「え、そう? そんなストレートに言われると照れるなぁ」
「ううっ、おにーさんが完全に鼻の下伸ばしてるし……おにーさんのばか……たしかにフィオナさんは綺麗だけど……」
「ですが私は清廉潔白な騎士道に生きる身でありますので、他人の恋人を寝取ったりなどということは決して致しません」
「う、うん。ならいいんだけど」
「私はただ少し、その圧倒的なまでの強さとカッコよさに見惚れてしまっただけなんです、一人の騎士として」
「う、うん……? まぁそういうこともあるかもね……?」
「ただ、このような強くて素敵な男性の子供を産みたいと思ってしまっただけなんです、一人の女として。だからアリスベルさんが嫉妬する必要はないのですよ」
「ええっと……」
「ご安心ください、子供ができたとしても、私が責任を持って一人で育てますのでお二人にご迷惑はおかけしません。勇者様の子としてどこに出しても恥ずかしくないように、深い愛情を注いで強く正しく立派に育て上げてみせますので」
「さっきから発言がむやみやたらと不穏なんだけど!? フィオナさんの言葉にアタシは不安しか感じないんだけど!?」
とまぁそんなこんなでグレートタイガーの群れの討伐は俺の圧勝で終わったんだけど――、
「んんっ? こっちに向かってまっすぐ何かが来てるな? かなりすごい気配だぞ?」
俺は強大な何かが、しかも邪悪な気配を持った何かがこの場所に向かって猛スピードで急速接近してくるのを察知したのだった。
「おにーさん? 急にどうしたの?」
俺が突然険しい顔をしたので、アリスベルがビックリしたように尋ねてくる。
「話は後だ。フィオナ、急いでアリスベルを連れてそこの大木の陰に避難するんだ。俺はここで迎え撃つ」
「かしこまりました! さ、アリスベルさんこちらへ」
俺の言葉に事態の急変を察したフィオナが、まだイマイチ状況が飲み込めていないアリスベルの手を引いて、大きな木の陰に隠れるのを見届けてから、
「この感じだと目当ては俺だな? 大物が勇者の力に反応したか。だが俺とアリスベルのおしゃべりタイムを邪魔するとはいい度胸だ。二度とそんな舐めた気が起きないように完膚なきまでに返り討ちにしてやろう」
俺はそう言うと、森の間から姿を現した巨大な魔獣に向かって『破邪の聖剣』を構えた。
「えっ? あ、はい、もちろんですとも。ま、まったくもってその通りでしゅので」
「あっ! あやしー! めっちゃあやしー! いつも冷静沈着なフィオナさんが焦って語尾を噛んでるし!」
「まぁまぁアリスベル。俺はアリスベルに一途で一筋だから、そんな風に嫉妬なんかしなくても大丈夫だっての」
「嫉妬じゃないし! ぜんぜん違うし! ノー嫉妬だし!」
「照れなくていいぞ?」
「照れてません! これは穴さえあれば前だろうが後ろだろうがどこにでも入れたがる、おにーさんのえっちっちな心と、どうしようもなくだらしない下半身に釘を刺してるだけだもん!」
「うんうん、嫉妬するアリスベルも可愛いなぁ」
「だから嫉妬違うし! 勘違いしないでよねっ!」
「ご安心くださいアリスベルさん。たしかに勇者様はとても素敵な男性です」
「え、そう? そんなストレートに言われると照れるなぁ」
「ううっ、おにーさんが完全に鼻の下伸ばしてるし……おにーさんのばか……たしかにフィオナさんは綺麗だけど……」
「ですが私は清廉潔白な騎士道に生きる身でありますので、他人の恋人を寝取ったりなどということは決して致しません」
「う、うん。ならいいんだけど」
「私はただ少し、その圧倒的なまでの強さとカッコよさに見惚れてしまっただけなんです、一人の騎士として」
「う、うん……? まぁそういうこともあるかもね……?」
「ただ、このような強くて素敵な男性の子供を産みたいと思ってしまっただけなんです、一人の女として。だからアリスベルさんが嫉妬する必要はないのですよ」
「ええっと……」
「ご安心ください、子供ができたとしても、私が責任を持って一人で育てますのでお二人にご迷惑はおかけしません。勇者様の子としてどこに出しても恥ずかしくないように、深い愛情を注いで強く正しく立派に育て上げてみせますので」
「さっきから発言がむやみやたらと不穏なんだけど!? フィオナさんの言葉にアタシは不安しか感じないんだけど!?」
とまぁそんなこんなでグレートタイガーの群れの討伐は俺の圧勝で終わったんだけど――、
「んんっ? こっちに向かってまっすぐ何かが来てるな? かなりすごい気配だぞ?」
俺は強大な何かが、しかも邪悪な気配を持った何かがこの場所に向かって猛スピードで急速接近してくるのを察知したのだった。
「おにーさん? 急にどうしたの?」
俺が突然険しい顔をしたので、アリスベルがビックリしたように尋ねてくる。
「話は後だ。フィオナ、急いでアリスベルを連れてそこの大木の陰に避難するんだ。俺はここで迎え撃つ」
「かしこまりました! さ、アリスベルさんこちらへ」
俺の言葉に事態の急変を察したフィオナが、まだイマイチ状況が飲み込めていないアリスベルの手を引いて、大きな木の陰に隠れるのを見届けてから、
「この感じだと目当ては俺だな? 大物が勇者の力に反応したか。だが俺とアリスベルのおしゃべりタイムを邪魔するとはいい度胸だ。二度とそんな舐めた気が起きないように完膚なきまでに返り討ちにしてやろう」
俺はそう言うと、森の間から姿を現した巨大な魔獣に向かって『破邪の聖剣』を構えた。
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