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第一部 腰痛勇者編
第4話 クロウとアリスベル、自己紹介をする。
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「あー、実は謀略にあってさ。俺はセントフィリア王国を追放されちゃったんだ。だから王国内ではあるけど、完全自治が認めらてるエルフの自治領でなんとか生活できないかなと思って、ここまで来たんだ」
「そうなんだぁ、重度の腰痛に謀略だなんておにーさんも大変だったんだね」
「だけど行きつく前に腰痛で動けなくなっちゃってさ。そこをたまたま通りかかった君に助けてもらったってわけさ」
この子に警戒されても何の得もないので、俺は全てを正直に話した。
「つまり行く当てがないってこと?」
「そうなるな」
「よかったらうち来る? おにーさんは悪い人じゃなさそうだし、しばらくいてくれていいよ?」
「いいのか? つまり結婚してくれるってことか?」
「違います」
「そうだよな、まだ同棲段階だよな」
「違うっつーの! アタシはおにーさんがちょっと好みの顔だからって、すぐにホイホイ股を開くような安い女じゃありませんから!」
「ふむ、俺の外見は気に入ってくれてるのか」
「うえっ!? い、いい今のはちょっとした言葉の綾だし! ほら、ここであったのも何かの縁ってことでね? あ、でもタダ飯はだめだからね、仕事はしてもらいます。働かざるもの食うべからず、我が家の家訓です」
「任せろ、こう見えて俺は勇者、勇者パーティでフロントアタッカーをしていたんだ。力仕事だろうがなんだろうが、腰さえ問題なければなんでもござれ、どんとこいだ」
「勇者って、魔王を倒したあの勇者? ってことはおにーさんってば超強いの?」
「おうよ。こと戦闘力ってことならセントフィリア王国でもナンバーワンだ」
「セントフィリア王国でナンバーワン!? それって超すごくない!?」
「そうだぞ。だからなにか困ってることがあったら何でも言ってくれ。腰痛を治してくれた君は俺にとって命の恩人であり、愛しい想い人だ。犯罪と違法行為と、あと勇者道に反するずるい行為以外なら何でもすると約束しよう」
「あ、だったらお願いなんだけど……ああでも、ちょっと難しいかなぁ」
「俺と君の仲だろ、遠慮はいらないさ」
「アタシとおにーさんは、ついさっき偶然たまたま出会ったばかりのほぼほぼ他人だよね?」
「さぁ俺は何をすればいい? 気兼ねなく言ってくれ」
エルフ少女の言葉を俺は華麗にスルーした。
「だったら言うけど。実は最近森の奥に住む魔獣たちが活性化してて、エルフの生活圏まで出てくることが結構あるの。その魔獣たちを退治してくれないかなって思ったんだけど……」
「なんだ、そんなことか。魔獣討伐は勇者の専売特許、大の得意分野だぞ、ぜひやらせてくれ」
「でもでも、Aランク魔獣のキングウルフとかグレートタイガーがいっぱい出てるんだよ?」
「安心しろ。この鬱陶しいことこの上なかった腰痛さえなければ、俺はSSSランクの最強の勇者だ。Aランクの魔獣なんざ100匹いようが1000匹いようが10000匹いようが俺の相手にはならないさ。大船に乗った気でいてくれ」
「あはは、さすがに10000匹はふかし過ぎじゃないかな? まぁその話は後にするとして、まずはうちに案内だよね。狭いけどもう一人くらいならギリギリ泊まれるから。あ、そう言えばおにーさんの名前聞いてなかったっけ?」
「おっと悪い、自己紹介がまだだったな。俺はクロウ、クロウ=アサミヤだ。職業は勇者――いや追放されたからもう元勇者なのかな?」
勇者の力を持っているのは間違いないけど、国が認める社会的な勇者ではない的な?
勇者としては社会的に抹殺された状態というか?
「アタシはアリスベル。アリスベルって呼び捨てで呼んでくれていいわよ」
「わかった、これからよろしくなアリスベル」
「よろしくね、おにーさん」
「……えっと俺、今自己紹介したよな? クロウだぞ?」
「んー、最初におにーさんって呼んだから、この呼び方がしっくりくる感じ?」
「そんなもんか」
「嫌ならやめるけど」
「嫌じゃないから問題ないさ。ただの名前よりもそっちの方が特別感がある」
「よくわかんないけど、じゃあそういうことで。早速うちに案内するね、レッツ・ゴー!」
そういうわけで。
俺は、長年俺を悩ませ続けていた腰痛を完治させてくれたエルフの少女アリスベルに連れられて、足取りも軽く腰も軽く、エルフの町に向かったのだった。
「そうなんだぁ、重度の腰痛に謀略だなんておにーさんも大変だったんだね」
「だけど行きつく前に腰痛で動けなくなっちゃってさ。そこをたまたま通りかかった君に助けてもらったってわけさ」
この子に警戒されても何の得もないので、俺は全てを正直に話した。
「つまり行く当てがないってこと?」
「そうなるな」
「よかったらうち来る? おにーさんは悪い人じゃなさそうだし、しばらくいてくれていいよ?」
「いいのか? つまり結婚してくれるってことか?」
「違います」
「そうだよな、まだ同棲段階だよな」
「違うっつーの! アタシはおにーさんがちょっと好みの顔だからって、すぐにホイホイ股を開くような安い女じゃありませんから!」
「ふむ、俺の外見は気に入ってくれてるのか」
「うえっ!? い、いい今のはちょっとした言葉の綾だし! ほら、ここであったのも何かの縁ってことでね? あ、でもタダ飯はだめだからね、仕事はしてもらいます。働かざるもの食うべからず、我が家の家訓です」
「任せろ、こう見えて俺は勇者、勇者パーティでフロントアタッカーをしていたんだ。力仕事だろうがなんだろうが、腰さえ問題なければなんでもござれ、どんとこいだ」
「勇者って、魔王を倒したあの勇者? ってことはおにーさんってば超強いの?」
「おうよ。こと戦闘力ってことならセントフィリア王国でもナンバーワンだ」
「セントフィリア王国でナンバーワン!? それって超すごくない!?」
「そうだぞ。だからなにか困ってることがあったら何でも言ってくれ。腰痛を治してくれた君は俺にとって命の恩人であり、愛しい想い人だ。犯罪と違法行為と、あと勇者道に反するずるい行為以外なら何でもすると約束しよう」
「あ、だったらお願いなんだけど……ああでも、ちょっと難しいかなぁ」
「俺と君の仲だろ、遠慮はいらないさ」
「アタシとおにーさんは、ついさっき偶然たまたま出会ったばかりのほぼほぼ他人だよね?」
「さぁ俺は何をすればいい? 気兼ねなく言ってくれ」
エルフ少女の言葉を俺は華麗にスルーした。
「だったら言うけど。実は最近森の奥に住む魔獣たちが活性化してて、エルフの生活圏まで出てくることが結構あるの。その魔獣たちを退治してくれないかなって思ったんだけど……」
「なんだ、そんなことか。魔獣討伐は勇者の専売特許、大の得意分野だぞ、ぜひやらせてくれ」
「でもでも、Aランク魔獣のキングウルフとかグレートタイガーがいっぱい出てるんだよ?」
「安心しろ。この鬱陶しいことこの上なかった腰痛さえなければ、俺はSSSランクの最強の勇者だ。Aランクの魔獣なんざ100匹いようが1000匹いようが10000匹いようが俺の相手にはならないさ。大船に乗った気でいてくれ」
「あはは、さすがに10000匹はふかし過ぎじゃないかな? まぁその話は後にするとして、まずはうちに案内だよね。狭いけどもう一人くらいならギリギリ泊まれるから。あ、そう言えばおにーさんの名前聞いてなかったっけ?」
「おっと悪い、自己紹介がまだだったな。俺はクロウ、クロウ=アサミヤだ。職業は勇者――いや追放されたからもう元勇者なのかな?」
勇者の力を持っているのは間違いないけど、国が認める社会的な勇者ではない的な?
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「アタシはアリスベル。アリスベルって呼び捨てで呼んでくれていいわよ」
「わかった、これからよろしくなアリスベル」
「よろしくね、おにーさん」
「……えっと俺、今自己紹介したよな? クロウだぞ?」
「んー、最初におにーさんって呼んだから、この呼び方がしっくりくる感じ?」
「そんなもんか」
「嫌ならやめるけど」
「嫌じゃないから問題ないさ。ただの名前よりもそっちの方が特別感がある」
「よくわかんないけど、じゃあそういうことで。早速うちに案内するね、レッツ・ゴー!」
そういうわけで。
俺は、長年俺を悩ませ続けていた腰痛を完治させてくれたエルフの少女アリスベルに連れられて、足取りも軽く腰も軽く、エルフの町に向かったのだった。
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