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第一部 腰痛勇者編
第1話 腰痛勇者、パーティと国を惨めに追われる。
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クロウ=アサミヤ――俺はついこの間まで、セントフィリア王国で勇者と言われていた。
5年前、勇者パーティを率い前衛剣士として魔王を討伐したことを高く評価された俺は、セントフィリア王国から莫大な報奨金と爵位、さらには王都の一等地の大きな屋敷をもらって悠々自適な生活を約束されていた――はずだった。
しかし俺は今、自ら率いた勇者パーティを追放された上に、故郷でもあるセントフィリア王国を追われ、ゆく当てもなく辺境の森をさまよっていた。
セントフィリア王国の東の果てにあるエルフたちの自治領の、その周囲に広がる広大な森の中を俺は重い足取りで進んでいく。
それら全ての原因はというと――、
「いたたたた……」
ここ数年俺を悩ませてきた重度の腰痛だった。
魔王との最終決戦で限界を超えて身体を酷使したことで、俺は重度の腰痛になってしまったのだ。
ここ1年ほどはどうにも痛みが酷く、何をするにも俺の悩みの種だったのだが、先日ついに一線を越えてしまった俺の腰は、もはや日常生活にも支障をきたすようになってしまっていた。
もはや戦闘なんてできるわけもなく、長年愛用し魔王も討伐した『破邪の聖剣』などは、今や振るわれることもなくすっかり杖の代わりになり果てている。
俺は足を止めると、ギシギシミシミシと痛む腰に手をやり揉みほぐした。
「ううっ、まるで腰が岩にでもなったみたいにガチガチだ……」
腰痛の辛さは、なった人にしかわからないと思う。
なにせ腰というのは身体のど真ん中にあるのだ。
そのため、どんなささいな動作であっても腰に痛みが発生してしまうのだった。
歩いても、座って本を読んでいても、高いものを取ろうと背伸びしても、それどころか横になって寝ているだけでも、腰はつらい痛みを慢性的に俺に与えてくるのだ。
それでも魔王は無事に討伐されたし、平和になった世界ならなんの問題もなく生きていけるはずだった――のだが。
人間とはどうしようもなく愚かなもので、魔王という共通の敵がなくなったことで王侯貴族や大商人たちの権力争いが激化。
もちろん俺はそんな権力闘争には何の興味もない。
伏魔殿と化した宮廷に顔を出すこともなく、俺は酷くなるばかりの腰の痛みを和らげるために、毎日のように行きつけの接骨院にマッサージをしてもらいに通っていたのだが。
魔王討伐という俺の栄誉を疎ましく思っていたらしい、家柄だけはいっちょまえの戦場に出たこともない上級貴族たちが、
『彼は怪しげな性的マッサージ店に足しげく通ったあげく、腰を激しく振り過ぎて腰痛になってしまったのです! もはや彼は勇者ではない、いまやセントフィリア王国の恥の象徴です!』
『勇者は民からの人気が高いのをいいことに、いたずらに庶民と通じ勢力を拡大しております。いずれこの国と王位を簒奪せんとする野心があるのやもしれませんぞ!』
などと、あることないこと――っていうかないことばかりを王様に吹聴し。
それを信じてしまった王様から、俺は国外追放を言い渡されてしまったのだった。
その裏には、魔王討伐の手柄と栄誉を独り占めしようとした勇者パーティのメンバー、戦士ダグラス=ブラフマンの謀略もあったらしい。
ダグラスを除いた他の勇者パーティのメンバーも、俺が追放されるのと前後して国政から遠く離れた閑職や僻地へと追いやられていた。
たしかにダグラスは昔から自己中心的で利己的なところがなくはなかった。
だけど俺たちは一緒に修行し、一緒に魔王と戦って討伐した一番古い仲間だっただろう?
だっていうのにこの仕打ちは酷すぎる……。
っていうか怪しげな性的マッサージ店がどうとか言ってたけど、むしろ当の上級貴族たちの方がこぞって高級娼館に足しげく通ってたじゃないか。
ラブ・エンジェルっていうところだ、俺も名前くらいは知ってるんだぞ?
ダグラスだってよく通ってるくせに……。
そんな奴らが、真っ当な接骨院に通ってた俺に対して、どの口で批判してるんだよ。
「だめだ、あれこれ思い悩むと腰痛が酷くなってきた……腰痛ってメンタルにも連動するんだよなぁ……ううっ、もう一歩も歩けない、というか歩きたくない。腰と心が辛いよ。魔王を倒した俺が追放されたあげくに、こんなところで腰痛に苦しんで野垂れ死ぬなんて……」
腰痛のせいで身体はろくに動かず、追放されて心はひたすらにネガティブに。
ついには立っていられなくなり森の中の小道で惨めにうずくまった俺が、世の無常に一人涙していると、
「おにーさん、そんなところで寝てたら風邪ひくよ?」
そんな声がしたかと思うと、地面にうずくまる俺の前に何者かが現れたのだった。
見上げた先にいたのは一人の少女。
非常に整った綺麗な顔立ちをしていて、そして耳が鋭く長かった。
髪は美しい銀髪で、肌もとても白い。
これ以上ないくらいにエルフらしいエルフの少女だった。
年齢はハタチくらいだろうか。
「おにーさんは行き倒れ? お腹減ってるの? 携帯食持ってるけど食べる?」
少女は俺の前にしゃがみ込むと、心配したように語り掛けてきた。
―――――――
数ある作品の中から「腰痛勇者」をお読みいただきありがとうございました~
当作品は、次世代ファンタジーカップに参加しております!
「お気に入り」していただければ嬉しいです!
なにとぞ~(>_<)
5年前、勇者パーティを率い前衛剣士として魔王を討伐したことを高く評価された俺は、セントフィリア王国から莫大な報奨金と爵位、さらには王都の一等地の大きな屋敷をもらって悠々自適な生活を約束されていた――はずだった。
しかし俺は今、自ら率いた勇者パーティを追放された上に、故郷でもあるセントフィリア王国を追われ、ゆく当てもなく辺境の森をさまよっていた。
セントフィリア王国の東の果てにあるエルフたちの自治領の、その周囲に広がる広大な森の中を俺は重い足取りで進んでいく。
それら全ての原因はというと――、
「いたたたた……」
ここ数年俺を悩ませてきた重度の腰痛だった。
魔王との最終決戦で限界を超えて身体を酷使したことで、俺は重度の腰痛になってしまったのだ。
ここ1年ほどはどうにも痛みが酷く、何をするにも俺の悩みの種だったのだが、先日ついに一線を越えてしまった俺の腰は、もはや日常生活にも支障をきたすようになってしまっていた。
もはや戦闘なんてできるわけもなく、長年愛用し魔王も討伐した『破邪の聖剣』などは、今や振るわれることもなくすっかり杖の代わりになり果てている。
俺は足を止めると、ギシギシミシミシと痛む腰に手をやり揉みほぐした。
「ううっ、まるで腰が岩にでもなったみたいにガチガチだ……」
腰痛の辛さは、なった人にしかわからないと思う。
なにせ腰というのは身体のど真ん中にあるのだ。
そのため、どんなささいな動作であっても腰に痛みが発生してしまうのだった。
歩いても、座って本を読んでいても、高いものを取ろうと背伸びしても、それどころか横になって寝ているだけでも、腰はつらい痛みを慢性的に俺に与えてくるのだ。
それでも魔王は無事に討伐されたし、平和になった世界ならなんの問題もなく生きていけるはずだった――のだが。
人間とはどうしようもなく愚かなもので、魔王という共通の敵がなくなったことで王侯貴族や大商人たちの権力争いが激化。
もちろん俺はそんな権力闘争には何の興味もない。
伏魔殿と化した宮廷に顔を出すこともなく、俺は酷くなるばかりの腰の痛みを和らげるために、毎日のように行きつけの接骨院にマッサージをしてもらいに通っていたのだが。
魔王討伐という俺の栄誉を疎ましく思っていたらしい、家柄だけはいっちょまえの戦場に出たこともない上級貴族たちが、
『彼は怪しげな性的マッサージ店に足しげく通ったあげく、腰を激しく振り過ぎて腰痛になってしまったのです! もはや彼は勇者ではない、いまやセントフィリア王国の恥の象徴です!』
『勇者は民からの人気が高いのをいいことに、いたずらに庶民と通じ勢力を拡大しております。いずれこの国と王位を簒奪せんとする野心があるのやもしれませんぞ!』
などと、あることないこと――っていうかないことばかりを王様に吹聴し。
それを信じてしまった王様から、俺は国外追放を言い渡されてしまったのだった。
その裏には、魔王討伐の手柄と栄誉を独り占めしようとした勇者パーティのメンバー、戦士ダグラス=ブラフマンの謀略もあったらしい。
ダグラスを除いた他の勇者パーティのメンバーも、俺が追放されるのと前後して国政から遠く離れた閑職や僻地へと追いやられていた。
たしかにダグラスは昔から自己中心的で利己的なところがなくはなかった。
だけど俺たちは一緒に修行し、一緒に魔王と戦って討伐した一番古い仲間だっただろう?
だっていうのにこの仕打ちは酷すぎる……。
っていうか怪しげな性的マッサージ店がどうとか言ってたけど、むしろ当の上級貴族たちの方がこぞって高級娼館に足しげく通ってたじゃないか。
ラブ・エンジェルっていうところだ、俺も名前くらいは知ってるんだぞ?
ダグラスだってよく通ってるくせに……。
そんな奴らが、真っ当な接骨院に通ってた俺に対して、どの口で批判してるんだよ。
「だめだ、あれこれ思い悩むと腰痛が酷くなってきた……腰痛ってメンタルにも連動するんだよなぁ……ううっ、もう一歩も歩けない、というか歩きたくない。腰と心が辛いよ。魔王を倒した俺が追放されたあげくに、こんなところで腰痛に苦しんで野垂れ死ぬなんて……」
腰痛のせいで身体はろくに動かず、追放されて心はひたすらにネガティブに。
ついには立っていられなくなり森の中の小道で惨めにうずくまった俺が、世の無常に一人涙していると、
「おにーさん、そんなところで寝てたら風邪ひくよ?」
そんな声がしたかと思うと、地面にうずくまる俺の前に何者かが現れたのだった。
見上げた先にいたのは一人の少女。
非常に整った綺麗な顔立ちをしていて、そして耳が鋭く長かった。
髪は美しい銀髪で、肌もとても白い。
これ以上ないくらいにエルフらしいエルフの少女だった。
年齢はハタチくらいだろうか。
「おにーさんは行き倒れ? お腹減ってるの? 携帯食持ってるけど食べる?」
少女は俺の前にしゃがみ込むと、心配したように語り掛けてきた。
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