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第62話 聖女、勝利宣言してお姫様抱っこされる。
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水龍さまと神龍さまがそろって実体化を解除したことで、あたりは嘘のように静かになった。
すでに気力の現界──ってくらいに、へとへとだったわたしは、
「クレア様、お務めご苦労様でした。後片づけは、どうか私どもにお任せください」
申しわけなく思いながらも、そう申し出てくれたサポート役の巫女さんたちに後片付けをお任せすると、『祭壇の間』を後にした。
神殿を出るともうすっかり夜もふけていて、雲一つない夜空には大きな満月が天の高くまで登っている。
そしてそこには見送りをしてくれた時と同じように、ライオネルの姿があったんだ。
「ライオネル! もしかして、ずっとここで待っててくれたんですか!?」
わたしはびっくりしちゃった。
だって6時間以上たってるのに、ずっと待っててくれたんだよ!?
「ははっ、当然だよ。だって君を送り出すときに、ここで待っているって約束したからね」
「でもこんなに何時間も待っててくれるなんて――」
「そんなの、何時間も『神龍の巫女』としての務めを果たしていたクレアと比べれば、待っているだけなんて大したことはなかったよ。お疲れさま、クレア」
そう言ってライオネルは、キラッと爽やかに笑いかけてくる。
「はわん……(*'ω'*)」
わたしは体と心の疲れも思わず忘れて、そんなライオネルに「ほわ~」って見とれてしまっていた。
「なによりボクは、クレアを一人で戦わせたくなかったんだ。だけど残念なことに、ボクには何もできなかった。ここでクレアの成功を祈って待つことが、何もできないボクにできる唯一の戦い方だったのさ」
「はぅぅ……」
わたしはライオネルのイケメンスマイル&イケメンボイスで優しく言われて、疲れなんて吹っ飛びそうなくらいに、胸の中がぽかぽかしちゃっていた。
「それで首尾はどうだったのかな? まぁ状況を見れば一目瞭然なんだけど、ここはやはり、立役者からの言葉をいただきたいところだね」
ライオネルに促されて、わたしは大勢の人達の前に歩みでた。
みんながわたしを見ていて、そして人々の数はどんどんと増えていた。
きっとみんな、荒れ狂っていたカミナリがピタリと止まったのを見て、もしやと思って駆け付けてきたんだ――。
そんなたくさんの人たちの期待に応えるように、わたしは深く息を吸いこむと、大きな声で成果を報告する。
なるべく多くの人々に、この声が届きますように――そう思いを込めて!
「みなさん! 安心してください、『神龍災害』はもう起こりません! 『神龍の巫女』にして『水龍の巫女』であるわたしクレアが、神龍さまのお怒りを鎮めて参りました! これからはどうぞ、前と同じように安らかな日々をお過ごしください!」
一瞬の静寂ののち、
「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおっっっっっ――――!!」
地鳴りのような大歓声が鳴り響いた。
「ふぇぇぇぇっ!?」
おどろくわたしを放ったらかしにして、歓声はわたしを中心に次から次へと外に向かって広がっていく――!
そして大歓声はいつしか、
「クレア! クレア! クレア! クレア!!」
わたしの名前を連呼する、街全体の大合唱に変わっていって――。
その中心にいたわたしは、
「はふぅ……はわっ!?」
めっちゃんこ驚いたあげくに、いい加減に疲れがピークに達して、よろめいてバランスを崩して、あろうことか転びかけた。
「クレア――!」
でもとっさにライオネルが力強く抱きかかえてくれて、わたしは事なきを得たのだった。
「すみません、ありがとうございました」
「ううん、ふらついちゃうくらい疲労がたまってるよね。そろそろ休んだ方がいい」
――事なきを得たんだけどね?
「あの、これ……お、お姫様抱っこ……(*'ω'*)」
わたしはライオネルに、お姫様抱っこで抱きかかえられていたんだ!
筋肉質な腕が、胸板との間でわたしをガッチリとホールドしちゃってるの!
「ごめん、とっさのことだったんだけど嫌だったかな?」
「まさかそんなです! むしろ嬉しいんですけど……その、わたし重くないかなって気になって……」
「あはは、クレアは水鳥の羽毛のように軽いよ。よし、それを証明するためにも、このままお姫様抱っこして帰るとしよう」
「ふぇぇぇぇっっ!? でもでもその、みんなの見てる前では、ちょっと恥ずかしいといいますか……」
「そんな恥ずかしがるクレアもすごく可愛いよ?」
ライオネルがいたずらっぽく笑う。
「へぅっ!?」
お姫様抱っこされながら目と鼻の先で、イケメン王子さまの滅多に見せない子供みたいなイタズラ顔に胸キュンさせられちゃったわたしは、つまりいつものようにアホな声を上げるしかなかったのだった。
「うん、じゃあそういうことで、帰ろうか」
「えっと、皆さんすごく盛り上がってるのに、帰っちゃていいんでしょうか……?」
「そりゃこのままここに居てもいいけど、そうなるときっと、夜を明かすことになっちゃうんじゃないかな?」
「あ、さすがにそれは無理かもです……はい、大人しく休みます。正直言うと、お風呂に入って汗を流したら、すぐにでも寝たいです」
「そう言うと思って、既にシェンロンの王宮に君の部屋を用意してもらってるよ。お風呂ももういつでも入れるよ」
「わわっ、ありがとうございます! ライオネル大好き!」
「ボクもクレアのことが大好きだよ」
とどまることを知らないクレアコールが鳴り響く中、わたしはライオネルにお姫様抱っこをされたまま、この場を後にした。
ライオネルの腕の中で、これ以上ない充実感がわたしの身体を満たしていた。
割り当てられたお部屋についたらすぐにお風呂に入って、ベッドに横になった。
そして横になった次の瞬間には、わたしはもう気絶するように寝入ってしまっていたのだった――。
すでに気力の現界──ってくらいに、へとへとだったわたしは、
「クレア様、お務めご苦労様でした。後片づけは、どうか私どもにお任せください」
申しわけなく思いながらも、そう申し出てくれたサポート役の巫女さんたちに後片付けをお任せすると、『祭壇の間』を後にした。
神殿を出るともうすっかり夜もふけていて、雲一つない夜空には大きな満月が天の高くまで登っている。
そしてそこには見送りをしてくれた時と同じように、ライオネルの姿があったんだ。
「ライオネル! もしかして、ずっとここで待っててくれたんですか!?」
わたしはびっくりしちゃった。
だって6時間以上たってるのに、ずっと待っててくれたんだよ!?
「ははっ、当然だよ。だって君を送り出すときに、ここで待っているって約束したからね」
「でもこんなに何時間も待っててくれるなんて――」
「そんなの、何時間も『神龍の巫女』としての務めを果たしていたクレアと比べれば、待っているだけなんて大したことはなかったよ。お疲れさま、クレア」
そう言ってライオネルは、キラッと爽やかに笑いかけてくる。
「はわん……(*'ω'*)」
わたしは体と心の疲れも思わず忘れて、そんなライオネルに「ほわ~」って見とれてしまっていた。
「なによりボクは、クレアを一人で戦わせたくなかったんだ。だけど残念なことに、ボクには何もできなかった。ここでクレアの成功を祈って待つことが、何もできないボクにできる唯一の戦い方だったのさ」
「はぅぅ……」
わたしはライオネルのイケメンスマイル&イケメンボイスで優しく言われて、疲れなんて吹っ飛びそうなくらいに、胸の中がぽかぽかしちゃっていた。
「それで首尾はどうだったのかな? まぁ状況を見れば一目瞭然なんだけど、ここはやはり、立役者からの言葉をいただきたいところだね」
ライオネルに促されて、わたしは大勢の人達の前に歩みでた。
みんながわたしを見ていて、そして人々の数はどんどんと増えていた。
きっとみんな、荒れ狂っていたカミナリがピタリと止まったのを見て、もしやと思って駆け付けてきたんだ――。
そんなたくさんの人たちの期待に応えるように、わたしは深く息を吸いこむと、大きな声で成果を報告する。
なるべく多くの人々に、この声が届きますように――そう思いを込めて!
「みなさん! 安心してください、『神龍災害』はもう起こりません! 『神龍の巫女』にして『水龍の巫女』であるわたしクレアが、神龍さまのお怒りを鎮めて参りました! これからはどうぞ、前と同じように安らかな日々をお過ごしください!」
一瞬の静寂ののち、
「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおっっっっっ――――!!」
地鳴りのような大歓声が鳴り響いた。
「ふぇぇぇぇっ!?」
おどろくわたしを放ったらかしにして、歓声はわたしを中心に次から次へと外に向かって広がっていく――!
そして大歓声はいつしか、
「クレア! クレア! クレア! クレア!!」
わたしの名前を連呼する、街全体の大合唱に変わっていって――。
その中心にいたわたしは、
「はふぅ……はわっ!?」
めっちゃんこ驚いたあげくに、いい加減に疲れがピークに達して、よろめいてバランスを崩して、あろうことか転びかけた。
「クレア――!」
でもとっさにライオネルが力強く抱きかかえてくれて、わたしは事なきを得たのだった。
「すみません、ありがとうございました」
「ううん、ふらついちゃうくらい疲労がたまってるよね。そろそろ休んだ方がいい」
――事なきを得たんだけどね?
「あの、これ……お、お姫様抱っこ……(*'ω'*)」
わたしはライオネルに、お姫様抱っこで抱きかかえられていたんだ!
筋肉質な腕が、胸板との間でわたしをガッチリとホールドしちゃってるの!
「ごめん、とっさのことだったんだけど嫌だったかな?」
「まさかそんなです! むしろ嬉しいんですけど……その、わたし重くないかなって気になって……」
「あはは、クレアは水鳥の羽毛のように軽いよ。よし、それを証明するためにも、このままお姫様抱っこして帰るとしよう」
「ふぇぇぇぇっっ!? でもでもその、みんなの見てる前では、ちょっと恥ずかしいといいますか……」
「そんな恥ずかしがるクレアもすごく可愛いよ?」
ライオネルがいたずらっぽく笑う。
「へぅっ!?」
お姫様抱っこされながら目と鼻の先で、イケメン王子さまの滅多に見せない子供みたいなイタズラ顔に胸キュンさせられちゃったわたしは、つまりいつものようにアホな声を上げるしかなかったのだった。
「うん、じゃあそういうことで、帰ろうか」
「えっと、皆さんすごく盛り上がってるのに、帰っちゃていいんでしょうか……?」
「そりゃこのままここに居てもいいけど、そうなるときっと、夜を明かすことになっちゃうんじゃないかな?」
「あ、さすがにそれは無理かもです……はい、大人しく休みます。正直言うと、お風呂に入って汗を流したら、すぐにでも寝たいです」
「そう言うと思って、既にシェンロンの王宮に君の部屋を用意してもらってるよ。お風呂ももういつでも入れるよ」
「わわっ、ありがとうございます! ライオネル大好き!」
「ボクもクレアのことが大好きだよ」
とどまることを知らないクレアコールが鳴り響く中、わたしはライオネルにお姫様抱っこをされたまま、この場を後にした。
ライオネルの腕の中で、これ以上ない充実感がわたしの身体を満たしていた。
割り当てられたお部屋についたらすぐにお風呂に入って、ベッドに横になった。
そして横になった次の瞬間には、わたしはもう気絶するように寝入ってしまっていたのだった――。
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